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第4章 姿を現した魔術師
第29話
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慌ててウリッセが、フランクに結界を張った!
だが魔術師は彼を通過し、近くに吹き飛ばれていたフランクの剣を拾うと急上昇する。
襲われなかった事に皆は安堵するも何故剣を奪ったかわからない。
「剣など何に使う気です……」
アージェも体を起こした。
そしてフランクも目を覚ます。
「魔術師は?」
全員無事だと思ったフランクが聞くも、全員無言で空を見上げたままだ。
フランクも顔を上げ驚く。
「剣?!」
フランクは体を起こし、自分の剣を探す。
「私の剣か!」
その声に魔術師は、チラッとフランク見るも腰辺りに剣を構えると、ヘリムに向かって一直線に飛んで行く!
「まさか、あの魔術師は、ヘリムが魔獣だと知っていて……」
アージェは呟いた後、叫ぶ!
「ヘリムさん! たとえあなたでもその剣で刺されれば、ただではすみません! 回避して下さい!」
魔獣はマスターを得れば、ほぼ無敵だと言われている。
だが人間と同じで、心臓を刺されれば死ぬ。
十年程前から対魔獣用に剣の研究がされていた。
使う事はないかもしれないが、試験的に研究者の騎士がその剣を所持していた。
効能は、刺した数秒間だけだが、体の自由を縛るものだった。その時間があれば、急所を突け、必ず仕留める事が出来る事になる。
今その剣をあの魔術師が手にしている!
そして、相手は魔獣のヘリム。
研究が成功していれば、ヘリムは魔術師に仕留められる事になる。
「え? あの剣って魔獣の術までも打ち消すんですか?」
「いえ、違います。魔獣を殺傷する能力が備わっています」
「え! じゃ……」
リーフは驚いた!
もし、あの魔術師がヘリムのマスターだったら下手すれば、自分が呼び出した魔獣を殺してしまう行為をしている事になる。
演技だとしてもしないだろう。
それに偶然って事もない。
魔術師が自分の得意な魔術ではなく、わざわざ剣で理由なく戦う事などないからだ。
(あれ? じゃヘリムのマスターは、あの魔術師ではない?)
しかしあの魔術師が、犬のヘリムが魔獣だと知っていて捕らえていた事は確かだ。
そのヘリムが逃げ出し、イサルコを使って探した。
自分が動くと目立つし、彼なら異国の者だ。動かしやすかったのかもしれない。
「僕は凄い勘違いを……」
「オルソさん。彼、魔獣ですよね? マスターもいるのですよね? おかしくないですか?」
そう言うアージェの言葉がリーフの耳に届く。
アージェの台詞に、オルソが頷く。
「え? 何がおかしいんですか?」
「相手は、君と同じ魔術師だ。俺達からしたら手練れた魔術師だったとしても、彼からしたらただの魔術師のはず。まあこれは、そう言い伝えられているだけだが」
「こんなものなのでしょうか? 少しがっかりです」
オルソの説明が終わると、アージェがボソッと呟いた。
魔獣は、人間より優れていると思われていた。
だがヘリムを見る限り、あの魔術師と強さは変わらない様に思えたのだった。
魔術師が手にしている剣を作ったのが、アホらしくなるほどに……。
だが魔術師は彼を通過し、近くに吹き飛ばれていたフランクの剣を拾うと急上昇する。
襲われなかった事に皆は安堵するも何故剣を奪ったかわからない。
「剣など何に使う気です……」
アージェも体を起こした。
そしてフランクも目を覚ます。
「魔術師は?」
全員無事だと思ったフランクが聞くも、全員無言で空を見上げたままだ。
フランクも顔を上げ驚く。
「剣?!」
フランクは体を起こし、自分の剣を探す。
「私の剣か!」
その声に魔術師は、チラッとフランク見るも腰辺りに剣を構えると、ヘリムに向かって一直線に飛んで行く!
「まさか、あの魔術師は、ヘリムが魔獣だと知っていて……」
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「ヘリムさん! たとえあなたでもその剣で刺されれば、ただではすみません! 回避して下さい!」
魔獣はマスターを得れば、ほぼ無敵だと言われている。
だが人間と同じで、心臓を刺されれば死ぬ。
十年程前から対魔獣用に剣の研究がされていた。
使う事はないかもしれないが、試験的に研究者の騎士がその剣を所持していた。
効能は、刺した数秒間だけだが、体の自由を縛るものだった。その時間があれば、急所を突け、必ず仕留める事が出来る事になる。
今その剣をあの魔術師が手にしている!
そして、相手は魔獣のヘリム。
研究が成功していれば、ヘリムは魔術師に仕留められる事になる。
「え? あの剣って魔獣の術までも打ち消すんですか?」
「いえ、違います。魔獣を殺傷する能力が備わっています」
「え! じゃ……」
リーフは驚いた!
もし、あの魔術師がヘリムのマスターだったら下手すれば、自分が呼び出した魔獣を殺してしまう行為をしている事になる。
演技だとしてもしないだろう。
それに偶然って事もない。
魔術師が自分の得意な魔術ではなく、わざわざ剣で理由なく戦う事などないからだ。
(あれ? じゃヘリムのマスターは、あの魔術師ではない?)
しかしあの魔術師が、犬のヘリムが魔獣だと知っていて捕らえていた事は確かだ。
そのヘリムが逃げ出し、イサルコを使って探した。
自分が動くと目立つし、彼なら異国の者だ。動かしやすかったのかもしれない。
「僕は凄い勘違いを……」
「オルソさん。彼、魔獣ですよね? マスターもいるのですよね? おかしくないですか?」
そう言うアージェの言葉がリーフの耳に届く。
アージェの台詞に、オルソが頷く。
「え? 何がおかしいんですか?」
「相手は、君と同じ魔術師だ。俺達からしたら手練れた魔術師だったとしても、彼からしたらただの魔術師のはず。まあこれは、そう言い伝えられているだけだが」
「こんなものなのでしょうか? 少しがっかりです」
オルソの説明が終わると、アージェがボソッと呟いた。
魔獣は、人間より優れていると思われていた。
だがヘリムを見る限り、あの魔術師と強さは変わらない様に思えたのだった。
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