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第3章 彼らの関係
第20話
しおりを挟む北東部にあるジーダペンスという王国が、このウイプルを狙っているという情報がある。
まだ噂の域を出ないという話だけど、用心はした方がいいか。
その国は、特に邪教と絡みがある訳ではないみたいだから、近隣の同盟国も、あまり関与したがらないだろう。
しかし、ジーダペンスか。
訊いた事がない国名という訳ではないけど、数回程度耳にした事があるぐらいで、情報はほぼ皆無だ。
このウイプルからどのくらい距離が離れているだろうか。
遥か遠方の様な気もする。
特に理由など、どうでもいいか。
このウイプルに剣を向ける者達を、許しはしない。
それだけだ。
アリグルド13日
ヘールベータ地区の家にて
___________
この間、お母様の手記を見た時、違和感を覚えた所がいくつかある。
あの手記は、誰にでも見られて良かったものではないだろう。
机の上に置かれていたけれど、僕以外のものに見られてしまい、あの内容がもし、ウイプルの国中に知られてしまっていたなら、明らかな不信感を持たれてしまったのではないか。
しまい忘れたという事はないはず。
あのお母様に限っては。
そして、ページが何枚も破かれていたのは、書き間違えて、破り捨てたせいか。
どうだろうか。
そのページを、家に侵入した誰かに盗まれたのか?
否定はできないけど、違う何かを示している気がする。
あの手記が、誰かに見せようとしている様に思えたのは、何故だろうか。
あまり、家を空ける僕も良くはなかったか。
この家に戻る回数を、増やす事にしよう。
アリグルド14日
自分の家にて
___________
僕は、とても冷酷な男だと気がついたんだ。
心の温もりなど、持ってはいない。
お母様との思い出の、この家に近づく事も、止めてしまいたいと、思うくらいだ。
何処か遠くで、1人で生きていく運命なんだよ。
何も、もう何もかも失くした気分だ。
本当なら、普通の人であったなら、喜ぶだろう。
そんな事くらい、僕でもわかるさ。
そんな事くらいは。
それすらできないのなら、僕は人を語るべきじゃない。
どうしてなんだ。
教えてほしい。
幼馴染のミスルタ、君が、
君が、生きていたなんて。
それを知った、冷酷な僕は。
死んでいたと、思ったままで良かったのに、って。
そう思ったんだ。
何て、酷い男なんだ。
僕は。
人と、一緒にいる資格はない。
さようなら、ミスルタ。
僕は、自分が恐くなったよ。
アリグルド15日
ヘールベータ地区の家にて
___________
まだ噂の域を出ないという話だけど、用心はした方がいいか。
その国は、特に邪教と絡みがある訳ではないみたいだから、近隣の同盟国も、あまり関与したがらないだろう。
しかし、ジーダペンスか。
訊いた事がない国名という訳ではないけど、数回程度耳にした事があるぐらいで、情報はほぼ皆無だ。
このウイプルからどのくらい距離が離れているだろうか。
遥か遠方の様な気もする。
特に理由など、どうでもいいか。
このウイプルに剣を向ける者達を、許しはしない。
それだけだ。
アリグルド13日
ヘールベータ地区の家にて
___________
この間、お母様の手記を見た時、違和感を覚えた所がいくつかある。
あの手記は、誰にでも見られて良かったものではないだろう。
机の上に置かれていたけれど、僕以外のものに見られてしまい、あの内容がもし、ウイプルの国中に知られてしまっていたなら、明らかな不信感を持たれてしまったのではないか。
しまい忘れたという事はないはず。
あのお母様に限っては。
そして、ページが何枚も破かれていたのは、書き間違えて、破り捨てたせいか。
どうだろうか。
そのページを、家に侵入した誰かに盗まれたのか?
否定はできないけど、違う何かを示している気がする。
あの手記が、誰かに見せようとしている様に思えたのは、何故だろうか。
あまり、家を空ける僕も良くはなかったか。
この家に戻る回数を、増やす事にしよう。
アリグルド14日
自分の家にて
___________
僕は、とても冷酷な男だと気がついたんだ。
心の温もりなど、持ってはいない。
お母様との思い出の、この家に近づく事も、止めてしまいたいと、思うくらいだ。
何処か遠くで、1人で生きていく運命なんだよ。
何も、もう何もかも失くした気分だ。
本当なら、普通の人であったなら、喜ぶだろう。
そんな事くらい、僕でもわかるさ。
そんな事くらいは。
それすらできないのなら、僕は人を語るべきじゃない。
どうしてなんだ。
教えてほしい。
幼馴染のミスルタ、君が、
君が、生きていたなんて。
それを知った、冷酷な僕は。
死んでいたと、思ったままで良かったのに、って。
そう思ったんだ。
何て、酷い男なんだ。
僕は。
人と、一緒にいる資格はない。
さようなら、ミスルタ。
僕は、自分が恐くなったよ。
アリグルド15日
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