庭園の国の召喚師

すみ 小桜(sumitan)

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第3章 彼らの関係

第19話

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 オルソは、全員が出て行くと、リーフの横に来た。

 「こんな事に巻き込んで申し訳ない」

 オルソは深々と頭を下げた。
 突然の行動にリーフは驚く。
 確かにヘリムが魔獣だった事で、リーフはここに来ることになった。
 だがリボンをほどいたのは、リーフだ。

 「あの、頭を上げて下さい。オルソさんは、何も悪くないですから」
 「いやアージェが、君にあんな事をさせなければ、こんな事態にはなってはいない」
 「いやわかりますけど……」

 原因を作ったのが、アージェとも言えなくもない。
 つい本音が出て肯定してしまう。

 「あの……騎士って皆、召喚師なんですか?」

 その質問で、オルソは顔を上げリーフをジッと見つめる。

 「いや王都に任務している騎士だけだ。王都に配属になっている者のほどんどが、召喚師だ」
 「僕はどうして、召喚師なんでしょうか?」
 「きっと初代王の目に留まらなかった者の子孫なんだろうな。俺も驚いた。まさかリーファーまで、召喚師とはな」
 「え!?」

 さらっと言ったが、オルソは確かにリーファーと言った!
 やはりバレていた。だから二人っきりで話をしたいと言い出したんだと、リーフは気が付いた。

 「バレていたんだ。アージェさんは、気づいていないようだったから……」
 「研究所に行った時は驚いた。アージェからは雇った少年が、俺の紹介状を使ったようだと聞いていたからな。名前どころか性別まで偽っているようだから、余程の事だあろうと今まで黙っていた」

 頷いてオルソはそう語った。
 見てすぐに気が付いていたらしい。

 「チェリ……チェチーリアは元気か?」

 その言葉にリーフは困惑する。
 シリルが目の前に敵として現れただけで、かなり動揺していた。本当の事を話して大丈夫だろうか?
 でも一番知りたい情報だろうと、意を決してリーフは教える事にした。

 「先日、亡くなりました……」
 「亡くなった……」

 ッガタ。
 やはりショックを受けたようで、ふらつきテーブルに手をついた。

 「大丈夫ですか?」
 「いや、すまない。大丈夫だ」
 「椅子どうぞ」

 ヘリムが座っていた椅子を引っ張って来て、自分の隣に置き、リーフも自分の椅子に座ると、オルソもその椅子に座った。

 「ありがとう。そうか。亡くなったか。無理をさせ過ぎたな。結局俺は、彼女を不幸にしただけかもしれない……」

 オルソはそう呟いた。
 何か訳アリの様だった。

 「そ、そんな事ないと思います。あの……今更なのですが、おばあちゃんとオルソさんの関係って?」
 「そうだな。君も十五歳だ。話してもいいだろう。もしかしたら君にとって、ショックな事も含まれているかもしれないが宜しいか?」

 リーフは真剣は顔で頷いた。
 今聞かなければ、知るチャンスはないだろう。
 そして聞けば、記憶がまた戻るかも知れないとも考えた。
 リーフは、膝に手を置きギュッと握る。
 話を聞く、万全の体勢だ。

 「少し、いやかなり昔の話になるが……」

 オルソはそう切り出し、話始めた。
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