18 / 67
第2章 騎士の正体
第18話
しおりを挟む
「リーフ。もう感づいているとは思うが、召喚師は存在する。この国に伝わる召喚師の話は、真実とは少し異なるのだ」
「え……」
驚くリーフだが、オルソは真剣な顔つきだ。
「召喚師全員が悪だくみをした訳ではない。加わっていないその者達は、処罰を受けてはいない。現代もその子孫はおり、正体を隠し生活をしている。そして、彼らを王族が管理している」
「管理……?」
リーフが呟くと、そうだとオルソは頷く。
そして詳しく内容を語り始めた。
◇ ◇ ◇
――召喚師とは、魔術師の中で召喚の能力を持つ者を言う。
そして現在は、その血筋の者は、十歳になった時に召喚師になるか、魔術師になるかを選択させ、召喚師を選べば魔術の能力を魔術師を選べば召喚の能力を封印している。
つまり召喚師を選べば、生まれ持った魔術を使えなくなる。
その者達は、騎士として生活する事を義務付けられ、不用意に王都から出る事を禁じられる。
勿論、どちらを選んだとしても、召喚の能力の事は秘密にしなければならない――。
◇ ◇ ◇
その話を聞き、リーフは強張った顔で皆を見渡した。
オルソが語った話が本当ならば、騎士は召喚師という事になる!
「そうだ。ここにいる我々は全員、召喚師だ。だが勝手に召喚する事は、禁じられている。要は、召喚師だが、ただの騎士という事だ」
ゴーチェはそう語る。
ここにいる者達は、元魔術師だったって事だ。
アージェが、リーフに怒った訳もわかった。
自分で選んだとはいえ、奪われた能力があるのにって言う所だったのだろう。
「な、何故僕にそんな話を?」
あの署名は、この話を聞かせる為のものだったと、今更ながら気が付いた。
でもリーフは、何故そんな重大な話を自分に話したのか、初めはわからなかった。
別にヘリムの事を口止めするだけでいいはずだ。
きっと自分の魔術を封印するつもりなのかもしれない!
そうリーフは思ったのだ!
「魔獣を封印したリボンは、普通の魔術師にはほどけないだろう。何せ召喚師が特別に掛けた術だ。召喚師にしか解けない。という事は、あなたは召喚師という事になる」
ゴーチェがそう答えた!
リーフが思った通り、召喚師として魔術を封印するつもりだ!
「僕は……」
「リーフさん!」
嫌だと言おうと思うも、ゴーチェに強く名を呼ばれ恐怖でそれ以上言えなくなった。
「お願いがあります。あなたは魔術師ですよね? たっだら召喚の能力は必要ないでしょう? その召喚の能力を封印させて頂きます」
「え? そっち?」
ゴーチェの言葉に、リーフは目をぱちくりとする。
よく考えれば、そっちの選択の方が最良だ。リーフには、剣など振るえない。
それに魔術師証を取得している。魔術師を選んだのだ!
「言っておくが、リボンの封印はある条件によって解けるようになっていた。リーフが、召喚師だとは限らない」
リーフが安堵した矢先、ずっと黙っていたヘリムが、驚くような事を言った!
一体なぜそんな事を言い出したと、リーフは焦る。
別にリーフにとって召喚の能力など必要ない。
そこでハッとする。
(そう言えば、マスターになってと言われた!)
もし本当にヘリムのマスターになっているとすれば、ヘリムにとってはリーフの召喚の能力がなくなる事は問題だ!
実際どんな能力はわからないが、それ以外ヘリムがそんな事を言い出す理由が思いつかない。
(大変な事になった! どうしよう!)
マスターになった事が知れれば、魔術の方を封印されるかもしれない!
「あなたは、その条件をご存知で?」
リーフが内心ハラハラしている中、ゴーチェはヘリムに問う。
だが口を挟める雰囲気ではない。
「勿論。施したのも俺のマスターだ」
「で? その人物は今どこに?」
「もうこの世にはいない」
そう淡々とヘリムは答えた。
リーフは、気が気じゃない。
このまま今のマスターはなんて聞かれたら、自分だと言われそうだとリーフは一人青ざめていた。
「話にならないな。条件も答える気はなさそうだ。あなたは、リーフさんの召喚の能力を封印させたくない。そう言う事かな?」
(もうダメだ……)
ゴーチェの核心に迫る問いにリーフは覚悟を決める。
だが、意外な事をヘリムが言う。
「では聞くが、召喚の能力が最初からない者に、その封印を行った場合はどうなる?」
「何?」
ゴーチェもそんな質問が帰されると思っていなかったらしく、直ぐには答えられない。
「あなた何を言って! リーフさんは……」
ヘリムに向かって何かを言おうとしたアージェだが、そのヘリムに睨まれ、あの口うるさいアージェが口ごもる。
有無を言わせぬ目線で黙らせるという事は、本当にヘリムは魔獣なんだとリーフは今更ながら驚く。そうかもと思っていても今一確信がなかった。
そして何か言おうとしたのだから、アージェは何かを知っている!
「何だアージェ。リーフさんがどうした?」
「いえ、何でもありません……」
「そうか」
本当にアージェは、口を閉ざした。
それにゴーチェは、ヘリムを睨むだけで留め、追及はしなかった。
「あなたが何と言おうとも封印の儀式は行う。そういう訳で、この話は終わりだ」
ゴーチェは追及はしないが、ヘリムのいう事も聞く気はなかったようだ。
「では、ここに来る時に襲われた件を聞こう」
そう言ってゴーチェは、この話を打ち切った。
そう言えばそうだったとリーフは、その時に怪我を負ったフランクを見た。
今は、怪我は完治しようだ。
「何故狙われたか見当はついているか?」
「思い当たるとすれば、魔獣の件ぐらいですが……」
そうゴーチェの問いにオルソが答える。
「この件は知っている者がかなり限られる上、襲ってきた者が二年前にシリルを襲った者と同一人物かもしれないとすると、わからなくなります。目的もどうやって情報を仕入れたのかも」
続けてアージェが言った。
リーフが二年前に、シリルと一緒に襲われたリーファーだと知らないアージェ達は、ヘリムが狙われたと思っているようだった。
だがたまたまヘリムが居合わせただけで、リーフが狙われた。それが真相だろう。
リーフがオルソの紹介状を使った事で、リーフがリーファーだとわかり、後をつけていた。
ただし何故、シリルを使って襲わせたかは、リーフにもわからなかった。
「そうか。もし二年前の事と繋がりがあるとすると、その者に内情を漏らした者がいるのは確かだ。不自然な行動を取った者がいないか、今一度調べるとしよう」
ゴーチェがそう言うと、アージェ、オルソ、それにフランクが頷いた。
もう自分が、二年前の当事者のリーファーだと名乗る勇気など、リーフにはなかった。
言えば魔術師証を剥奪される覚悟も必要だ。
リーフは、小さくため息をつく。
「アージェ」
「はい」
「あなたはリーフさんをかん……いや保護してもらいたい。陛下と儀式の封印の段取りが済み次第行うまでの間だ。三日ほどだろう。勿論、彼を雇い寝泊りする場所を提供という体裁でだ。部屋はあったな?」
「はい。わかりました。その間、普通に仕事をさせても宜しでしょうか?」
勿論とゴーチェは頷いた。
リーフは焦る。まさかの展開だった!
アージェは、あまりリーフによい感情を持っていないように感じていたからだ。
こき使われる……。
そう思うリーフだが、拒否権はなかった。
「さて後は、ヘリムさん。あなたは、この館に留まって頂く」
ガシャ。
ゴーチェがそう言ったかと思うと、自分の席を立ちヘリムの横に来ていたフランクが、ヘリムの左手を取り手首にブレスレットはめた!
「それはリボンの代わりだ。勝手に動かれて何かあっても困るのでな。今のところ、元の世界に戻る気もないのだろう?」
「ないな。まあ犬にされないだけマシか」
ヘリムは、ゴーチェにそう返す。
ゴーチェは、フランクからある程度話を聞いていた。
知らないふりをして、リーフとヘリムに話を聞いていたのだ!
「以上で解散する」
そう言うとゴーチェは、立ち上がった。
「あの、団長! 少しここでリーフと二人でお話をして行っても宜しいでしょうか?」
オルソが何故かそう申し出た。
「構わないが。一人では帰さない様に」
「はい。送って行きます」
ゴーチェは頷くと、フランクとヘリムと一緒に部屋を出て行く。
「私は一足先に研究室に戻っています。早めに帰して下さいね」
アージェの言葉に、わかったとオルソは頷く。
リーフは、何の話だろうと、オルソを見た。
「え……」
驚くリーフだが、オルソは真剣な顔つきだ。
「召喚師全員が悪だくみをした訳ではない。加わっていないその者達は、処罰を受けてはいない。現代もその子孫はおり、正体を隠し生活をしている。そして、彼らを王族が管理している」
「管理……?」
リーフが呟くと、そうだとオルソは頷く。
そして詳しく内容を語り始めた。
◇ ◇ ◇
――召喚師とは、魔術師の中で召喚の能力を持つ者を言う。
そして現在は、その血筋の者は、十歳になった時に召喚師になるか、魔術師になるかを選択させ、召喚師を選べば魔術の能力を魔術師を選べば召喚の能力を封印している。
つまり召喚師を選べば、生まれ持った魔術を使えなくなる。
その者達は、騎士として生活する事を義務付けられ、不用意に王都から出る事を禁じられる。
勿論、どちらを選んだとしても、召喚の能力の事は秘密にしなければならない――。
◇ ◇ ◇
その話を聞き、リーフは強張った顔で皆を見渡した。
オルソが語った話が本当ならば、騎士は召喚師という事になる!
「そうだ。ここにいる我々は全員、召喚師だ。だが勝手に召喚する事は、禁じられている。要は、召喚師だが、ただの騎士という事だ」
ゴーチェはそう語る。
ここにいる者達は、元魔術師だったって事だ。
アージェが、リーフに怒った訳もわかった。
自分で選んだとはいえ、奪われた能力があるのにって言う所だったのだろう。
「な、何故僕にそんな話を?」
あの署名は、この話を聞かせる為のものだったと、今更ながら気が付いた。
でもリーフは、何故そんな重大な話を自分に話したのか、初めはわからなかった。
別にヘリムの事を口止めするだけでいいはずだ。
きっと自分の魔術を封印するつもりなのかもしれない!
そうリーフは思ったのだ!
「魔獣を封印したリボンは、普通の魔術師にはほどけないだろう。何せ召喚師が特別に掛けた術だ。召喚師にしか解けない。という事は、あなたは召喚師という事になる」
ゴーチェがそう答えた!
リーフが思った通り、召喚師として魔術を封印するつもりだ!
「僕は……」
「リーフさん!」
嫌だと言おうと思うも、ゴーチェに強く名を呼ばれ恐怖でそれ以上言えなくなった。
「お願いがあります。あなたは魔術師ですよね? たっだら召喚の能力は必要ないでしょう? その召喚の能力を封印させて頂きます」
「え? そっち?」
ゴーチェの言葉に、リーフは目をぱちくりとする。
よく考えれば、そっちの選択の方が最良だ。リーフには、剣など振るえない。
それに魔術師証を取得している。魔術師を選んだのだ!
「言っておくが、リボンの封印はある条件によって解けるようになっていた。リーフが、召喚師だとは限らない」
リーフが安堵した矢先、ずっと黙っていたヘリムが、驚くような事を言った!
一体なぜそんな事を言い出したと、リーフは焦る。
別にリーフにとって召喚の能力など必要ない。
そこでハッとする。
(そう言えば、マスターになってと言われた!)
もし本当にヘリムのマスターになっているとすれば、ヘリムにとってはリーフの召喚の能力がなくなる事は問題だ!
実際どんな能力はわからないが、それ以外ヘリムがそんな事を言い出す理由が思いつかない。
(大変な事になった! どうしよう!)
マスターになった事が知れれば、魔術の方を封印されるかもしれない!
「あなたは、その条件をご存知で?」
リーフが内心ハラハラしている中、ゴーチェはヘリムに問う。
だが口を挟める雰囲気ではない。
「勿論。施したのも俺のマスターだ」
「で? その人物は今どこに?」
「もうこの世にはいない」
そう淡々とヘリムは答えた。
リーフは、気が気じゃない。
このまま今のマスターはなんて聞かれたら、自分だと言われそうだとリーフは一人青ざめていた。
「話にならないな。条件も答える気はなさそうだ。あなたは、リーフさんの召喚の能力を封印させたくない。そう言う事かな?」
(もうダメだ……)
ゴーチェの核心に迫る問いにリーフは覚悟を決める。
だが、意外な事をヘリムが言う。
「では聞くが、召喚の能力が最初からない者に、その封印を行った場合はどうなる?」
「何?」
ゴーチェもそんな質問が帰されると思っていなかったらしく、直ぐには答えられない。
「あなた何を言って! リーフさんは……」
ヘリムに向かって何かを言おうとしたアージェだが、そのヘリムに睨まれ、あの口うるさいアージェが口ごもる。
有無を言わせぬ目線で黙らせるという事は、本当にヘリムは魔獣なんだとリーフは今更ながら驚く。そうかもと思っていても今一確信がなかった。
そして何か言おうとしたのだから、アージェは何かを知っている!
「何だアージェ。リーフさんがどうした?」
「いえ、何でもありません……」
「そうか」
本当にアージェは、口を閉ざした。
それにゴーチェは、ヘリムを睨むだけで留め、追及はしなかった。
「あなたが何と言おうとも封印の儀式は行う。そういう訳で、この話は終わりだ」
ゴーチェは追及はしないが、ヘリムのいう事も聞く気はなかったようだ。
「では、ここに来る時に襲われた件を聞こう」
そう言ってゴーチェは、この話を打ち切った。
そう言えばそうだったとリーフは、その時に怪我を負ったフランクを見た。
今は、怪我は完治しようだ。
「何故狙われたか見当はついているか?」
「思い当たるとすれば、魔獣の件ぐらいですが……」
そうゴーチェの問いにオルソが答える。
「この件は知っている者がかなり限られる上、襲ってきた者が二年前にシリルを襲った者と同一人物かもしれないとすると、わからなくなります。目的もどうやって情報を仕入れたのかも」
続けてアージェが言った。
リーフが二年前に、シリルと一緒に襲われたリーファーだと知らないアージェ達は、ヘリムが狙われたと思っているようだった。
だがたまたまヘリムが居合わせただけで、リーフが狙われた。それが真相だろう。
リーフがオルソの紹介状を使った事で、リーフがリーファーだとわかり、後をつけていた。
ただし何故、シリルを使って襲わせたかは、リーフにもわからなかった。
「そうか。もし二年前の事と繋がりがあるとすると、その者に内情を漏らした者がいるのは確かだ。不自然な行動を取った者がいないか、今一度調べるとしよう」
ゴーチェがそう言うと、アージェ、オルソ、それにフランクが頷いた。
もう自分が、二年前の当事者のリーファーだと名乗る勇気など、リーフにはなかった。
言えば魔術師証を剥奪される覚悟も必要だ。
リーフは、小さくため息をつく。
「アージェ」
「はい」
「あなたはリーフさんをかん……いや保護してもらいたい。陛下と儀式の封印の段取りが済み次第行うまでの間だ。三日ほどだろう。勿論、彼を雇い寝泊りする場所を提供という体裁でだ。部屋はあったな?」
「はい。わかりました。その間、普通に仕事をさせても宜しでしょうか?」
勿論とゴーチェは頷いた。
リーフは焦る。まさかの展開だった!
アージェは、あまりリーフによい感情を持っていないように感じていたからだ。
こき使われる……。
そう思うリーフだが、拒否権はなかった。
「さて後は、ヘリムさん。あなたは、この館に留まって頂く」
ガシャ。
ゴーチェがそう言ったかと思うと、自分の席を立ちヘリムの横に来ていたフランクが、ヘリムの左手を取り手首にブレスレットはめた!
「それはリボンの代わりだ。勝手に動かれて何かあっても困るのでな。今のところ、元の世界に戻る気もないのだろう?」
「ないな。まあ犬にされないだけマシか」
ヘリムは、ゴーチェにそう返す。
ゴーチェは、フランクからある程度話を聞いていた。
知らないふりをして、リーフとヘリムに話を聞いていたのだ!
「以上で解散する」
そう言うとゴーチェは、立ち上がった。
「あの、団長! 少しここでリーフと二人でお話をして行っても宜しいでしょうか?」
オルソが何故かそう申し出た。
「構わないが。一人では帰さない様に」
「はい。送って行きます」
ゴーチェは頷くと、フランクとヘリムと一緒に部屋を出て行く。
「私は一足先に研究室に戻っています。早めに帰して下さいね」
アージェの言葉に、わかったとオルソは頷く。
リーフは、何の話だろうと、オルソを見た。
0
お気に入りに追加
92
あなたにおすすめの小説

ここは貴方の国ではありませんよ
水姫
ファンタジー
傲慢な王子は自分の置かれている状況も理解出来ませんでした。
厄介ごとが多いですね。
裏を司る一族は見極めてから調整に働くようです。…まぁ、手遅れでしたけど。
※過去に投稿したモノを手直し後再度投稿しています。
魔石と神器の物語 ~アイテムショップの美人姉妹は、史上最強の助っ人です!~
エール
ファンタジー
古代遺跡群攻略都市「イフカ」を訪れた新進気鋭の若き冒険者(ハンター)、ライナス。
彼が立ち寄った「魔法堂 白銀の翼」は、一風変わったアイテムを扱う魔道具専門店だった。
経営者は若い美人姉妹。
妹は自ら作成したアイテムを冒険の実践にて試用する、才能溢れる魔道具製作者。
そして姉の正体は、特定冒険者と契約を交わし、召喚獣として戦う闇の狂戦士だった。
最高純度の「超魔石」と「充魔石」を体内に埋め込まれた不死属性の彼女は、呪われし武具を纏い、補充用の魔石を求めて戦場に向かう。いつの日か、「人間」に戻ることを夢見て――。
強制フラグは、いりません! ~今いる世界が、誰かの二次小説の中だなんて思うかよ! JKと禁断の恋愛するなら、自力でやらせてもらうからっ!~
ハル*
ファンタジー
高校教師の俺。
いつもと同じように過ごしていたはずなのに、ある日を境にちょっとずつ何かが変わっていく。
テスト準備期間のある放課後。行き慣れた部室に向かった俺の目の前に、ぐっすり眠っているマネージャーのあの娘。
そのシチュエーションの最中、頭ん中で変な音と共に、俺の日常を変えていく声が聞こえた。
『強制フラグを、立てますか?』
その言葉自体を知らないわけじゃない。
だがしかし、そのフラグって、何に対してなんだ?
聞いたことがない声。聞こえてくる場所も、ハッキリしない。
混乱する俺に、さっきの声が繰り返された。
しかも、ちょっとだけ違うセリフで。
『強制フラグを立てますよ? いいですね?』
その変化は、目の前の彼女の名前を呼んだ瞬間に訪れた。
「今日って、そんなに疲れるようなことあったか?」
今まで感じたことがない違和感に、さっさと目の前のことを終わらせようとした俺。
結論づけた瞬間、俺の体が勝手に動いた。
『強制フラグを立てました』
その声と、ほぼ同時に。
高校教師の俺が、自分の気持ちに反する行動を勝手に決めつけられながら、
女子高生と禁断の恋愛?
しかも、勝手に決めつけているのが、どこぞの誰かが書いている某アプリの二次小説の作者って……。
いやいや。俺、そんなセリフ言わないし!
甘い言葉だなんて、吐いたことないのに、勝手に言わせないでくれって!
俺のイメージが崩れる一方なんだけど!
……でも、この娘、いい子なんだよな。
っていうか、この娘を嫌うようなやつなんて、いるのか?
「ごめんなさい。……センセイは、先生なのに。好きに…なっちゃ、だめなのに」
このセリフは、彼女の本心か? それともこれも俺と彼女の恋愛フラグが立たせられているせい?
誰かの二次小説の中で振り回される高校教師と女子高生の恋愛物語が、今、はじまる。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
【R18】ハメられましたわ!~海賊船に逃げ込んだ男装令嬢は、生きて祖国に帰りたい~
世界のボボ誤字王
恋愛
「婚約破棄だ、この魔女め! 役立たずめ! 私は真実の愛を見つけた!」
要約するとそんなようなことを王太子に言われた公爵令嬢ジョセフィーナ。
従妹のセシリアに黒魔術の疑いをかけられ、異端審問会に密告されて、とんとん拍子に海に沈められそうになった彼女は、自分が何かの陰謀に巻き込まれたのだと気づく。
命からがら、錨泊していた国籍不明の船に逃げ込むも、どうやらそれは海賊船で、しかも船長は自分をハメた王太子に瓜二つだった!
「わたくしには王家を守る使命がございますの! 必ず生き残って、国に帰ってやりますでげすわ!」
ざまぁありです。(教会にはそれほどありません)
※今気づいたけど、ヒーロー出るまで2万字以上かかってました。
(´>∀<`)ゝゴメンね❤

とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。
貧乏奨学生の子爵令嬢は、特許で稼ぐ夢を見る 〜レイシアは、今日も我が道つき進む!~
みちのあかり
ファンタジー
同じゼミに通う王子から、ありえないプロポーズを受ける貧乏奨学生のレイシア。
何でこんなことに? レイシアは今までの生き方を振り返り始めた。
第一部(領地でスローライフ)
5歳の誕生日。お父様とお母様にお祝いされ、教会で祝福を受ける。教会で孤児と一緒に勉強をはじめるレイシアは、その才能が開花し非常に優秀に育っていく。お母様が里帰り出産。生まれてくる弟のために、料理やメイド仕事を覚えようと必死に頑張るレイシア。
お母様も戻り、家族で幸せな生活を送るレイシア。
しかし、未曽有の災害が起こり、領地は借金を負うことに。
貧乏でも明るく生きるレイシアの、ハートフルコメディ。
第二部(学園無双)
貧乏なため、奨学生として貴族が通う学園に入学したレイシア。
貴族としての進学は奨学生では無理? 平民に落ちても生きていけるコースを選ぶ。
だが、様々な思惑により貴族のコースも受けなければいけないレイシア。お金持ちの貴族の女子には嫌われ相手にされない。
そんなことは気にもせず、お金儲け、特許取得を目指すレイシア。
ところが、いきなり王子からプロポーズを受け・・・
学園無双の痛快コメディ
カクヨムで240万PV頂いています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる