上 下
112 / 116

第111話~12個の魔法陣

しおりを挟む
 「お待たせ」

 ユージさんが、一時間半後ぐらいにテントから出て来ました。
 そしてなんと、手には精霊のハーキュリィさんが!

 「お久しぶり。まさかここに来るとは思わなかったな」

 「お久しぶりです……そっか。なるほど」

 そうだ私達は、ハーキュリィさんに小さくされた事があった。

 「まあ、ハーキュリィ!」

 「カーラ、元気そうだな」

 穴から顔を覗かせている精霊に、ハーキュリィさんは挨拶する。
 カーラさんって言うんだ。って二人共知り合いだったんだね。

 「では、二人共準備はいいか?」

 そう言いながらハーキュリィさんは、私達の上を旋回します。

 「ありがとうございます」

 「あ……」

 私の目の前の景色が変わりました。何もかも大きくなった。
 って、私が小さくなったんだよね。

 「やっぱり凄いね。地図もちゃんと繁栄されていると思う。兎に角穴に入ってみよう」

 「うん」

 私達は、カーラさんの元へ向かう。

 穴は、ユージさんでもスポッと入れるぐらいの大きさがあり、奥が深そうです。
 さて、どうやって穴に下りようか。

 「ねえ、気がついた?」

 「うん?」

 「僕達にも羽根がある!」

 「え!?」

 よく見れば、ユージさんに羽根が! 私にもある!

 「僕達、どこからみても精霊だよ!」

 何かユージさんが、興奮してます。

 「二人共ありがとうございます。この下です。案内します」

 カーラさんが、こくんと頭を下げて、お礼を言うと下に下りていく。
 羽根を広げても大丈夫な広さの穴だけど、羽根があるとはいえ勇気がいる。

 「はい」

 ユージさんが何故か手を伸ばして来る。

 「えっと」

 「手繋ごうか? あ、こっちの方がいいか」

 って、ユージさんは、私を抱き上げた。
 そして、ふわっと穴に飛び込んだのです!
 思ったよりゆっくりと降りていく。
 降りたユージさんは、私を下ろした。

 地面の中は、たぶん大きな空洞だと思うんだけど、木の根が伸びていて凄い事になってます。
 それより凄い事になっているのは、ここにいる精霊たちは皆、カーラさんと同じなんです!
 ウェーブがかかった腰まである茶色い髪の精霊。顔だちも同じ。
 私じゃ見分けがつかない。

 「うーん。僕達じゃ見分けがつかないかも」

 くるんと、カーラさんに向いてユージさんが言いました。

 「そうかもね。じゃ私はあなた達について行くわ」

 「そうですね。お願いします」

 そう答えてユージさんは、板の地図を見た。

 「うーん。結構あるな。地図を見ただけじゃ、発動しているかとかわからないからなぁ」

 「本当だ。いっぱいある」

 いっぱいと言っても数えてみると12個だった。

 「近場の一個見てみようか?」

 「うん」

 私達は、魔法陣の一つに向かって歩く。
 この空間にいる精霊は、何故か光を発していた!
 ほんわか明るいひかりで目に優しい。
 なので暗くて困る事はないみたい。勿論、カーラさんも光っていた。七色の光です。

 一番近い魔法陣は、発動しているっぽいです。
 なので次にいくもそれも発動しているみたい。
 こうして確かめて行くと、六個目で発動していない魔法陣を発見です。

 「あの土を頂いても……」

 「そうでした! ここでは魔法陣を使うのは禁じられています」

 ユージさんが粘土を作る為に土をもらっていいか聞く前に、カーラさんが思い出したと言った。

 「そうですか……」

 「地上に戻る?」

 「うーん。僕の魔力で足りるか確かめてみる? もしかしたらMP10でいいやつかもしれないし」

 「あ、そっか」

 大きい魔法陣だったからオーブ作っていたけど、この大きさならユージさんの魔力で発動した事あったわ。

 「また一緒にやろう」

 「うん」

 私は何もしないけど、杖に手を添える。
 魔法陣の中心に杖を立て、ユージさんが魔力を注ぐと魔法陣が発動しました!

 「よし! これでよさそうだね。次も見てみよう」

 「うん」

 って、残りの六個を見て回ったけど全て発動しています。
 うーん。これでOKなのかな?

 「この階のは全部発動できました?」

 と、カーラさんが聞いてきました。
 この階はって、まだ下にあるとか?

 「終わったようですけど、まだ下に階があるのですか?」

 「はい。あと二つ」

 ユージさんが聞くと、カーラさんはこくんと頷いて答えました。
 何かしっくりこないと思ったらまだあったのですね!
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

購買の喪女~30歳喪女で毒女の私が、男子校の購買部で働いている件について~

ダビマン
キャラ文芸
 自由に生きる!がモットーだった。 ちょっとお馬鹿で、ギャンブル好きな、佐倉公子(さくらきみこ)さんが。  バイトをクビになったのをキッカケに、男子校の購買部で働く事に……。  そして、いろんな事に毒を吐きながら、独断と偏見で渋々と問題事を解決?するお話し。  きみこさんは人と関わりたくは無いのですが……。男子高校生や周りの人達は面白い物がお好きな様子。

最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル
SF
 これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。 ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。 βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?  そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。  この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

処理中です...