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第99話~私達のお友達
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私達は、モーグの森を抜け、実りの鳥を飼うライマルさんを訪ねました。
実りの鳥は、透明なネットに囲まれた実りの園を元気に駆け回っています。
「こんにちは。ライマルさん」
「おぉ、これは、錬金術師様。また何か入り用ですか?」
ライマルさんには、バレンタインイベントの時に、畑を借りています。って今もそのまま借りっぱなしです……。
「えっと、そうなんです。ちょっと、ご相談したい事がありまして……」
「なんでしょう?」
ユージさんも実りの鳥をくださいとは、言いづらいみたい。
ライマルさん。大切にしているもんね。
「あのどうしても実りの鳥が必要なのですが、手に入れる方法をご存知ありませんか?」
ユージさんは、実りの鳥をほしいけど、くださいとは言わなかった。
そっか。紹介してもらう方法もあるのね。
「うーん。湯が沸く向こう側にいる、リャンさんに聞くといいかもしれない。彼は、ヒナを育てているからね」
「ヒナ!」
私は、ヒナという響きに惹かれました!
早く行ってみたいです。ヒヨコ達がいっぱいいるって事だよね?
「ありがとうございます」
私達は、ライマルさんから聞いたリャンさんを訪ねる為、温泉を横切ります。けど喉が苦しい。
「マスクした方がいいみたいだね」
「うん」
バレンタインイベントで作ったマスクを装着。
これで苦しくありません!
暫く進むと、ぴよぴよとヒナ達の声が聞こえてきました!
すぐ近くの様です。
遠くにヒナたちが見え始めました。
たぶん、ライマルさんの所みたいに、透明な網で囲まれた園なんだと思う。
「おや? どなたかな?」
「あ、すみません、勝手に」
声がしたので振り返ると、何やら箱を持った男性が立っています。
「あの、リャンさんでしょうか?」
「そうですが……」
「あ、僕はユージと言います。彼女は、ソレイユさん。ライマルさんに紹介して頂いて訪ねて来ました」
「紹介?」
私達は、そうですと頷きました。
「実は、ヒナを……」
「あなた達が錬金術師様ですか!」
「え……あ、はい。そう呼ばれ……て……」
「今、ヒナと言いましたな! さすが錬金術師様!」
「え?」
ユージさんも困り顔です。
何となく、話がずれているような感じがします。
「えっと、僕達ヒナを……」
「はい! 宜しくお願いします!」
そう言って手に持っていた箱をスッとユージさんの前に出したのです。
「これって……」
何だろう? っと、思っていたらユージさんは箱を受け取り、屈んで箱の中を見せてくれました。
箱の中には、フワフワの布に包まれたヒナがいたのです!
ってどういう事?
「今、エサもお持ちします」
「あの……」
ユージさんが聞こうとするも走って建物の中へ消えて行ってしまいました。
「ユージさん。どうなってるの?」
「よくわからないけど、この元気のないヒナがいるという事を知って、僕達が来たと思ってるみたいだね」
「え……」
それって、ヒナを下さいとは言いづらいですよね。
「これがエサです! 宜しくお願いします」
私が、ヒナが入っている箱をユージさんから受け取り、走って戻って来たリャンさんからユージさんは餌を受け取りました。
「あの、このヒナはどうしたのでしょう?」
「ぐったりしているのを発見したのです。噂は聞いています! 何でも解決するそうですね! 子供と二人組の錬金術師だとライマルに聞いていたので。まさか、ヒナの事を知って駆けつけてくれるとは! 私もね、世話をしてやりたいのですが、仕事で精一杯で。あ、エサは足りなくなったら差し上げますので、宜しくお願いします」
と、まくしたてられました。
何か今更違いますとも言えません。
「あの、網とかありますか?」
「網ですか?」
「はい」
「ありますよ。ちょっとお待ちください」
また走ってリャンさんは取りに行きます。
「もしかして、囲うのに使うの?」
「うん。これも何かの縁だからね。その子を看病しよう」
「うん!」
「お待たせしました」
「ありがとうございます」
ユージさんは、エサと網で両手がふさがりました。
「悪いけど、僕に掴まれる?」
「うん」
私は頷いて、屈んだユージさんの腕に掴まります。
ヒムネさんの所にワープすのには、二人揃って……どこかに触れて一緒にワープと言わないとワープできないのです。
リャンさんは、私達が何をしているのだろうという顔つきで見ています。
「ではお預かりします。それでは」
「「ワープ」」
私達が声を揃えて「ワープ」と言うと、一瞬で枯れ木の風景に変わりました。
目の前には、ヒムネさんが止まっている木があります。
「おかえり。どうだね? 何か進展はあったか?」
「はい。ここでヒナを育てさせてください」
「ヒナ……」
私が持った箱の中を木の上からジッとヒムネさんは見つめます。
「弱っているようだな。まずは、魔法陣の中に」
ヒムネさんがそう言うので、箱ごと地面に置きました。
「この生命は、神秘の力と言われている。この子にも効くだろう」
「うん。よくなるといいね」
ヒムネさんの言葉に私がそう言うと、ユージさんはうんと頷いた。
そして、網は必要ないねと、地面に置いたのだった。
「そういえば、あと数時間で虹の刻だね」
「あ! この子が死んじゃうかも!」
大雨です! 濡れれば体が冷えてしまいます!
どうしよう!
「うん。助けよ! この子は僕達のお友達なんだから」
「うん! 雨避けを作りましょう!」
私達は頷きあった。
実りの鳥は、透明なネットに囲まれた実りの園を元気に駆け回っています。
「こんにちは。ライマルさん」
「おぉ、これは、錬金術師様。また何か入り用ですか?」
ライマルさんには、バレンタインイベントの時に、畑を借りています。って今もそのまま借りっぱなしです……。
「えっと、そうなんです。ちょっと、ご相談したい事がありまして……」
「なんでしょう?」
ユージさんも実りの鳥をくださいとは、言いづらいみたい。
ライマルさん。大切にしているもんね。
「あのどうしても実りの鳥が必要なのですが、手に入れる方法をご存知ありませんか?」
ユージさんは、実りの鳥をほしいけど、くださいとは言わなかった。
そっか。紹介してもらう方法もあるのね。
「うーん。湯が沸く向こう側にいる、リャンさんに聞くといいかもしれない。彼は、ヒナを育てているからね」
「ヒナ!」
私は、ヒナという響きに惹かれました!
早く行ってみたいです。ヒヨコ達がいっぱいいるって事だよね?
「ありがとうございます」
私達は、ライマルさんから聞いたリャンさんを訪ねる為、温泉を横切ります。けど喉が苦しい。
「マスクした方がいいみたいだね」
「うん」
バレンタインイベントで作ったマスクを装着。
これで苦しくありません!
暫く進むと、ぴよぴよとヒナ達の声が聞こえてきました!
すぐ近くの様です。
遠くにヒナたちが見え始めました。
たぶん、ライマルさんの所みたいに、透明な網で囲まれた園なんだと思う。
「おや? どなたかな?」
「あ、すみません、勝手に」
声がしたので振り返ると、何やら箱を持った男性が立っています。
「あの、リャンさんでしょうか?」
「そうですが……」
「あ、僕はユージと言います。彼女は、ソレイユさん。ライマルさんに紹介して頂いて訪ねて来ました」
「紹介?」
私達は、そうですと頷きました。
「実は、ヒナを……」
「あなた達が錬金術師様ですか!」
「え……あ、はい。そう呼ばれ……て……」
「今、ヒナと言いましたな! さすが錬金術師様!」
「え?」
ユージさんも困り顔です。
何となく、話がずれているような感じがします。
「えっと、僕達ヒナを……」
「はい! 宜しくお願いします!」
そう言って手に持っていた箱をスッとユージさんの前に出したのです。
「これって……」
何だろう? っと、思っていたらユージさんは箱を受け取り、屈んで箱の中を見せてくれました。
箱の中には、フワフワの布に包まれたヒナがいたのです!
ってどういう事?
「今、エサもお持ちします」
「あの……」
ユージさんが聞こうとするも走って建物の中へ消えて行ってしまいました。
「ユージさん。どうなってるの?」
「よくわからないけど、この元気のないヒナがいるという事を知って、僕達が来たと思ってるみたいだね」
「え……」
それって、ヒナを下さいとは言いづらいですよね。
「これがエサです! 宜しくお願いします」
私が、ヒナが入っている箱をユージさんから受け取り、走って戻って来たリャンさんからユージさんは餌を受け取りました。
「あの、このヒナはどうしたのでしょう?」
「ぐったりしているのを発見したのです。噂は聞いています! 何でも解決するそうですね! 子供と二人組の錬金術師だとライマルに聞いていたので。まさか、ヒナの事を知って駆けつけてくれるとは! 私もね、世話をしてやりたいのですが、仕事で精一杯で。あ、エサは足りなくなったら差し上げますので、宜しくお願いします」
と、まくしたてられました。
何か今更違いますとも言えません。
「あの、網とかありますか?」
「網ですか?」
「はい」
「ありますよ。ちょっとお待ちください」
また走ってリャンさんは取りに行きます。
「もしかして、囲うのに使うの?」
「うん。これも何かの縁だからね。その子を看病しよう」
「うん!」
「お待たせしました」
「ありがとうございます」
ユージさんは、エサと網で両手がふさがりました。
「悪いけど、僕に掴まれる?」
「うん」
私は頷いて、屈んだユージさんの腕に掴まります。
ヒムネさんの所にワープすのには、二人揃って……どこかに触れて一緒にワープと言わないとワープできないのです。
リャンさんは、私達が何をしているのだろうという顔つきで見ています。
「ではお預かりします。それでは」
「「ワープ」」
私達が声を揃えて「ワープ」と言うと、一瞬で枯れ木の風景に変わりました。
目の前には、ヒムネさんが止まっている木があります。
「おかえり。どうだね? 何か進展はあったか?」
「はい。ここでヒナを育てさせてください」
「ヒナ……」
私が持った箱の中を木の上からジッとヒムネさんは見つめます。
「弱っているようだな。まずは、魔法陣の中に」
ヒムネさんがそう言うので、箱ごと地面に置きました。
「この生命は、神秘の力と言われている。この子にも効くだろう」
「うん。よくなるといいね」
ヒムネさんの言葉に私がそう言うと、ユージさんはうんと頷いた。
そして、網は必要ないねと、地面に置いたのだった。
「そういえば、あと数時間で虹の刻だね」
「あ! この子が死んじゃうかも!」
大雨です! 濡れれば体が冷えてしまいます!
どうしよう!
「うん。助けよ! この子は僕達のお友達なんだから」
「うん! 雨避けを作りましょう!」
私達は頷きあった。
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