お二人様のモフみみ錬金術師

すみ 小桜(sumitan)

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第89話~原因は私達!?

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 私とユージさん。そして、人の姿になったロウさんが、木の下に座り木を見上げます。
 その木の真上には、セイレイオウちゃんがスタンバイ。

 「では、はじめますね!」

 軽くお辞儀をすると、セイレイオウちゃんはクルクルかいてんしながら舞い始める。キラキラと輝いてきれい。
 セイレイオウちゃんは、外に向けて渦巻の様に舞う。
 舞い終わったセイレイオウちゃんは、お辞儀をしたその瞬間。ポッと木につぼみがつき、それが開いて行く。あっという間に、満開の桜の木になりました!

 「きれい!」

 私は、そう言って思いっきり拍手を送ります。
 ユージさんもロウさんも拍手した。

 「凄いね!」

 ユージさんは、大喜びです。

 「じゃ、本番も楽しみにしていてね!」

 「うん。楽しみにしているよ」

 セイレイオウちゃんは、手を振ると奥に向かって飛んでいきました。

 「で、これはいつになったら戻るのだ?」

 と、ロウさんが私達に聞きますが、わかりません。

 「まあ、たまにはいいか」

 そう言って、ロウさんはふくろうの姿に戻り木に止まりました。
 なんか、桜の中にふくろうがいるって不思議な感じです! でも絵になります!
 私達も一旦戻る事にしました。

 ワープで部屋に戻り、ふうっと一休み。
 椅子に座ってユージさんが、タブレットを確認します。

 「まあ、すぐには見つかりましたって乗らないか……うん?」

 「どうしたの?」

 「何かお願いがあるからカウンターまで来てほしいって」

 いつもお願いされるのは、行ったついでだったけど、向こうから言って来るって事は、急を要する事なのかな?

 「なんだろうね?」

 「うん。なんだろう?」

 私達は、カウンターまで向かいました。


 ☆   ☆   ☆


 「いやぁ、ごめんね。呼び出しちゃって」

 カウンターのお兄さんが、私達が行くとそう言って手招きします。
 なのでお兄さんが呼ぶはじっこまで行くと、手を合わせお願いのポーズをされました。

 「どうしても必要な物があるんだよね。ピンクの蜜って言うアイテムなんだけど……」

 「え? もしかしてそれを探してほしいとか?」

 うんうんとお兄さんは、頷いた。

 「その蜜って桜の蜜らしいんだ。たぶん養蜂ようほう場を営んでいる人から分けてもらえると思うんだ」

 「難しいと思うんだけど。桜って島の中央に咲くらしいから……」

 ユージさんがそう言うもお兄さんは手を合わせてお願いをしてきた。

 「この通り。向こう側に行けるのって君達数人だからさ」

 「探しては見るけど……」

 「ありがとう!」

 安堵してお兄さんは、私達に手を振っていた。
 でも桜が咲かないと蜜がないのでは? ふとそう思った。

 「よう。お二人さん」

 ギルドを出た所で、ラキガさんに声を掛けられた。

 「どうも……」

 「お前達も声を掛けられたみたいだな」

 うん? お前達という事は、ラキガさん達もって事?

 「錬金術師って認められたんだ」

 「まあな。あんたらのお蔭だ。って、今回の騒動の発端もあんたらだけどな」

 「発端?」

 「あれ? 聞かなかったのか?」

 「ラキガが無理やりしゃべらせたから知っているだけでしょう」

 ミケさんがそう言うと、ラキガさんがニヤッとする。

 「まあそうだが。ピンクの蜜って何の材料か知っているか?」

 「いえ……」

 「だろうな。それ、ポーションの材料だ。誰かさんが大量に買い込んだから皆真似たみたいだな。それで売れきれ。量産するも材料が枯渇したってわけさ」

 ラキガさんの説明に私達はお顔を見合わせた。
 私達が、あのピンクのポーションを大量に買った為に、何かあると思った人たちが買いあさった。そして、ポーションがなくなり、材料であるピンクの蜜も底をついたって事みたい!

 「で、精霊王は現れたか?」

 ポンとラキガさんは、ユージさんの肩に手を乗せた。

 「え?」

 「いやなぁ。桜の蜜なんだろう? だったら花見に行くついでに貰ってこれないかなって。俺達も錬金術師って認められているから連れて行ってくれるとありがたなって事だ。どうだ?」

 「それは、僕じゃ決められないんだけど」

 「なるほど。本当に精霊王を呼び出したのか!」

 ラキガさんの言葉に、ユージさんはハッとする。
 カマを掛けられたのです!

 「どんな感じだったの? 精霊王って。大きい? 普通? って、精霊って羽とかあるの?」

 いきなりミケさんが、ユージさんを質問攻めにします。

 「セイレイオウって精霊の王様じゃなかったよ」

 ユージさんの言葉に、二人はうん? となった。
 そりゃそうでしょう。表示は『精霊王』となっていたのですから。

 「じゃ、そういう事で。ソレイユさん行くよ」

 ユージさんは、私を抱き上げ走り出しました。

 「って、おい! どういう意味だ!」

 ラキガさんが叫ぶもユージさんは、そのまま走って逃げたのでした。
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