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第64話~呪われた草原
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私達はぬかるみの中、必死で歩いてます!
って、虹の刻になり雨が降っている草原を歩いているだけなんですけどね。
辺りはずっと草原で、スコールの様な雨は、緑色の草原を白っぽくし、神秘的な感じにしてくれます。ですが、このぬかるみが現実に引き戻します。
「思ったより凄い事になってきたね。さっきあそこら辺に小屋が見えていたからお世話になろう。走るよ」
うんと言わないうちにユージさんは、私を抱き上げ走り出しました。
ユージさんが指差した場所は、雨が降る前までは見えていたのですが、雨のせいで小屋の姿が見えなくなってしまっています。
板の地図にも小屋までは、表示されないのでユージさんの勘を信じて進んでいます。
「あった!」
おぼろげに見えて来た小屋に向かって、ユージさんは走ります。
小屋は木で出来た馬小屋でした!
中には、10頭ほどの馬がいます。そして、お世話をする少年が一人。
「あのすみませんが、雨宿りして行っていいですか?」
ユージさんが、お世話をしている少年に声を掛けた。
振り向いた少年は驚いた顔をしている。
茶色髪に瞳。青いチョッキに青いズボン。
「びっくりした! 君達はだれ? って、もしかしてそのお姿は……錬金術師様?」
お姿? あ、そう言えば、錬金術師はケモミミ族。もふもふの耳と尻尾がある。
少年にはない。って、普通の人間なの?
「えっと。ここではそう言われているかな?」
ユージさんがそう答えると、少年は私達に頭を下げた。
「お願いです。錬金術師様。僕の馬たちを助けて下さい!」
私達は顔を見合わせる。
目の前にいる馬がどうやら困った事になってるらしい。
「兎に角顔を上げて。えっと……君、お名前は?」
「バジーといいます」
ユージさんが聞くと、顔を上げ名前を教えてくれた。
「で、バジーさん。一体馬に何があったの?」
ユージさんが聞くとバジーくんは、私達が来た草原を指差した。
「あの草原の呪いを封じて欲しいのです!」
バジーくんは、そう必死に私達に訴えてきました――。
この草原は、栄養値が高い牧草が生えていてるが、その地面は雨が降るとすぐにぬかるむ。その為、虹の刻の前の一時間程しか乾いている時がなかった。
錬金術師は草原に結界を張り、雨が降ってもぬかるまない様に施した。
ところがその効力が切れ、草原は昔のぬかるむ草原に戻ってしまったそうです。
ここの人達は、こういう土地などを呪いのせいだと思っているみたい。
「うーん。前はどうやって結界を張っていたかわかる?」
話を聞き終えたユージさんが、バジーくんに訪ねます。すると頷きました。
「これを使っていたみたい」
床に置いてあった大きな木の杭をバジーくんは指差しました。
その杭は、きっと効力が消えたせいなのでしょう。朽ちてボロボロです。
それをユージさんは手に取って見ています。
杭の大きさは、バットぐらいの大きさです。
「見て、ソレイユさん。これ魔法陣ぽくない?」
杭のてっぺんをユージさんは、私に見せて来ました。見れば薄いですが、円がありその中に模様があるようです。
でもかすれているので、なぞれそうもありません。
「これをなぞるのは無理かも」
「うん。この杭もボロボロだし、これを使うのは無理だろうね。本にないかな? 結界を張る杭のようなもの」
「あ、そっか! 見てみるね」
ユージさんが頷き、私はリュックから本を取り出しました。
『聖なる杭』というアイテムを発見。
普通に杭を作り、杭一つ一つに魔法陣を描く。
ただ、杭には強度があり、私が作れるのは一番最低な100年用の杭です。
うーん。今はこれしか作れないし、仕方がないけど、100年後また作りに来ないと行けないですよね。
この最低の奴だけ、粘土で杭を作るんです。他のは、『生命の枝』で作るらしい。その枝さえ聞いた事ない私には無理です。
しかしこれ、気が遠くなりそうな作業です! 粘土で作るこの杭は、千本必要なのです! どうしましょう……。
「ユージさん。どうしよう。あったけど、無理っぽい」
泣きそうな顔でユージさんに相談する。
もし三人で粘土で作ったとしても、窯の魔法陣を千回描かなくてはならない!
「うーん。作った物を複写するとか、魔法陣を複数回利用するを魔法陣ってないかな?」
とユージさんは提案してくれました!
手抜き出来る魔法陣ですね! あ、違う便利な魔法陣ですね!
私は、そういうのを本で探します。
ありました!
ですが、杭千本分の粘土は必要そうです。作るのは大変ですが、幸い土は豊富です。
後は、魔法陣を描く場所です。
これは雨が止んでから描くとしましょう。
私達は雨が止むまで、粘土を借りたバケツに土と魔石の粉を混ぜて入れて行きました。大量の場合は、入れ物に入れて魔法陣に置いてもよいと書いてあったので、今回はそうする事にしました。
バ、バケツ100杯分になりました……。
雨が晴れ虹の刻から暮れの刻になりました。
杭を作るところまでは、闇の刻までにまでに終わらせたい。
私達は、草原ではない場所に移動しました。移動だけで15分程掛かりました。
暮れの刻は二時間ですので、時間を無駄にできません!
ユージさんに杭を一本だけ作ってもらう様に頼み、私は魔法陣を描きにかかります。
今回は連携という業を使います。
いつも通り窯を一つ作ります。
そしてこれからが大変な作業です。
千個分の杭を作る魔法陣を描くのです!
それが入り切る大きな魔法陣を描かなくてはいけません。
円は何とかなるけど、模様が一時間半ぐらいで描き終わるかどうか……。
って、虹の刻になり雨が降っている草原を歩いているだけなんですけどね。
辺りはずっと草原で、スコールの様な雨は、緑色の草原を白っぽくし、神秘的な感じにしてくれます。ですが、このぬかるみが現実に引き戻します。
「思ったより凄い事になってきたね。さっきあそこら辺に小屋が見えていたからお世話になろう。走るよ」
うんと言わないうちにユージさんは、私を抱き上げ走り出しました。
ユージさんが指差した場所は、雨が降る前までは見えていたのですが、雨のせいで小屋の姿が見えなくなってしまっています。
板の地図にも小屋までは、表示されないのでユージさんの勘を信じて進んでいます。
「あった!」
おぼろげに見えて来た小屋に向かって、ユージさんは走ります。
小屋は木で出来た馬小屋でした!
中には、10頭ほどの馬がいます。そして、お世話をする少年が一人。
「あのすみませんが、雨宿りして行っていいですか?」
ユージさんが、お世話をしている少年に声を掛けた。
振り向いた少年は驚いた顔をしている。
茶色髪に瞳。青いチョッキに青いズボン。
「びっくりした! 君達はだれ? って、もしかしてそのお姿は……錬金術師様?」
お姿? あ、そう言えば、錬金術師はケモミミ族。もふもふの耳と尻尾がある。
少年にはない。って、普通の人間なの?
「えっと。ここではそう言われているかな?」
ユージさんがそう答えると、少年は私達に頭を下げた。
「お願いです。錬金術師様。僕の馬たちを助けて下さい!」
私達は顔を見合わせる。
目の前にいる馬がどうやら困った事になってるらしい。
「兎に角顔を上げて。えっと……君、お名前は?」
「バジーといいます」
ユージさんが聞くと、顔を上げ名前を教えてくれた。
「で、バジーさん。一体馬に何があったの?」
ユージさんが聞くとバジーくんは、私達が来た草原を指差した。
「あの草原の呪いを封じて欲しいのです!」
バジーくんは、そう必死に私達に訴えてきました――。
この草原は、栄養値が高い牧草が生えていてるが、その地面は雨が降るとすぐにぬかるむ。その為、虹の刻の前の一時間程しか乾いている時がなかった。
錬金術師は草原に結界を張り、雨が降ってもぬかるまない様に施した。
ところがその効力が切れ、草原は昔のぬかるむ草原に戻ってしまったそうです。
ここの人達は、こういう土地などを呪いのせいだと思っているみたい。
「うーん。前はどうやって結界を張っていたかわかる?」
話を聞き終えたユージさんが、バジーくんに訪ねます。すると頷きました。
「これを使っていたみたい」
床に置いてあった大きな木の杭をバジーくんは指差しました。
その杭は、きっと効力が消えたせいなのでしょう。朽ちてボロボロです。
それをユージさんは手に取って見ています。
杭の大きさは、バットぐらいの大きさです。
「見て、ソレイユさん。これ魔法陣ぽくない?」
杭のてっぺんをユージさんは、私に見せて来ました。見れば薄いですが、円がありその中に模様があるようです。
でもかすれているので、なぞれそうもありません。
「これをなぞるのは無理かも」
「うん。この杭もボロボロだし、これを使うのは無理だろうね。本にないかな? 結界を張る杭のようなもの」
「あ、そっか! 見てみるね」
ユージさんが頷き、私はリュックから本を取り出しました。
『聖なる杭』というアイテムを発見。
普通に杭を作り、杭一つ一つに魔法陣を描く。
ただ、杭には強度があり、私が作れるのは一番最低な100年用の杭です。
うーん。今はこれしか作れないし、仕方がないけど、100年後また作りに来ないと行けないですよね。
この最低の奴だけ、粘土で杭を作るんです。他のは、『生命の枝』で作るらしい。その枝さえ聞いた事ない私には無理です。
しかしこれ、気が遠くなりそうな作業です! 粘土で作るこの杭は、千本必要なのです! どうしましょう……。
「ユージさん。どうしよう。あったけど、無理っぽい」
泣きそうな顔でユージさんに相談する。
もし三人で粘土で作ったとしても、窯の魔法陣を千回描かなくてはならない!
「うーん。作った物を複写するとか、魔法陣を複数回利用するを魔法陣ってないかな?」
とユージさんは提案してくれました!
手抜き出来る魔法陣ですね! あ、違う便利な魔法陣ですね!
私は、そういうのを本で探します。
ありました!
ですが、杭千本分の粘土は必要そうです。作るのは大変ですが、幸い土は豊富です。
後は、魔法陣を描く場所です。
これは雨が止んでから描くとしましょう。
私達は雨が止むまで、粘土を借りたバケツに土と魔石の粉を混ぜて入れて行きました。大量の場合は、入れ物に入れて魔法陣に置いてもよいと書いてあったので、今回はそうする事にしました。
バ、バケツ100杯分になりました……。
雨が晴れ虹の刻から暮れの刻になりました。
杭を作るところまでは、闇の刻までにまでに終わらせたい。
私達は、草原ではない場所に移動しました。移動だけで15分程掛かりました。
暮れの刻は二時間ですので、時間を無駄にできません!
ユージさんに杭を一本だけ作ってもらう様に頼み、私は魔法陣を描きにかかります。
今回は連携という業を使います。
いつも通り窯を一つ作ります。
そしてこれからが大変な作業です。
千個分の杭を作る魔法陣を描くのです!
それが入り切る大きな魔法陣を描かなくてはいけません。
円は何とかなるけど、模様が一時間半ぐらいで描き終わるかどうか……。
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