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第59話~森番

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 「君達は仕事が早いね」

 地図を受け取った事務のお兄さんの一言です。流石と感心しています。

 「そんな君達にお願いが……」

 「……え?」

 ユージさんがお兄さんの言葉に、嫌さそうな顔をする。

 「ここだけの話なんだけど、どうやら崖の向こう側は、ケモミミ族とは違う者達が治めているらしくて。で、森とかは森番という役目の者が取り仕切ってるとか。地図を製作したって事は、認められたって事でしょ? だから統治者と話し合いの場を出来ないか、その人物を通して聞いてほしんだよね」

 「え? 僕が?」

 お兄さんが頷く。
 それってすご~く大切な役目なんじゃ……。

 「いや、無理かな。って、そういうのって下っ端がする事じゃないよね?」

 「下っ端だなんて! もし肩書がほしいならこれを……」

 バッチと同じマークのペンダントだった。

 「何、これ?」

 「これは特別任務の人が持てるペンダント。つまり国王直属の部下的な? ほら、俺も!」

 そう言ってお兄さんは、首に下げているペンダントを見せてくれました!

 「な、何それ! そんな簡単に決めて良いわけ?」

 「簡単になんて決めてない。君達の働きを評価してだよ。目の前に欲にも目もくれず、ちゃんと役目も果たし、しかも仕事が早い! 文句ないだろう?」

 お兄さんはにっこりと微笑んだ。そして私に振り向き、手を出して来た。

 「君にもあげるよ。彼のサポート宜しくね」

 そう言われ、つい手をだしてペンダントを受け取った。

 「何受け取ってるの……」

 「あ!」

 ため息交じりでユージさんが言うも、どうしていいかわからない。

 「……わかったよ。失敗しても文句なしでお願いね」

 「さすが! 話がわかる! あ、ペンダントの件はまだ、他のプレイヤーには内緒で宜しく。それ語源変換機能付きらしいから便利らしいよ」

 私達は書状を受け取り、それを持って再びモーグの森へ向かう事になりました。



 ☆   ☆   ☆



 「まずは森番を見つけないとね。モーグさんに聞きに行こう」

 「うん」

 虹の刻になり雨が降っていましたが、レインコートを着て森に向かいました。
 私達は森についてからモーグくんを探す事にしました。出会った場所まで歩いて行きます。

 「おぉ。もう会いに来てくれたのか!」

 モーグくんは大喜びです!
 うん? 片言だったのが普通の言葉に聞こえます! もらったペンダントの効果みたいです。本当に変換機能がついていたのね。

 「ちょっとお願いがあって。森番に会いたいんだけど、取り次いでもらえないかな?」

 「……会ってどうする?」

 「この書状を渡したいんだけど」

 モーグくんの質問にユージさんが、持たされた書状を見せた。

 「わかった。ここで待ってて」

 そう言うと、穴に潜りモーグくんは消えました。
 ちょうど雨が上がった頃です。待っている間にレインコート脱ぎました。

 「会ってくれるかな?」

 「これで会えないなら無理だろうね」

 私が不安げに聞くと、ユージさんがそう答えました。そうだよね。拒否されたって事になるもんね。

 キュイー!

 暫くすると、鳥の鳴き声が聞こえ上を見上げると、もう既に大きな鳥の足が目の前にありました!
 私達はガシッと掴まれ大空へ!

 「きゃ」

 取りあえず会ってはくれるようです。

 私達が運ばれた場所は、見覚えがあるフクロウさんと出会った大きな木の枝の上でした。

 「私に用があるとか」

 「はい。これを渡す様に言い渡され持ってきました」

 私達が予想した通り、フクロウさんが森番だったようです。フクロウさんの質問に、ユージさんは書状を取り出し見せました。

 「わかった。読ませていただこう」

 そう言って近づいて来たと思ったら人の姿を取っていました!
 目がクリッとした可愛い12、3歳ぐらいの少年で、背中にはフクロウと同じ羽が! それでばさばさと飛んでユージさんの前に来て、書状を受け取って元の場所へ戻ってききました。

 人の姿になれるなら、前もそうしてくれればいいのに……。
 私達は暗くなっていく中、木の上で待たされる事になりました。高所恐怖症でなくても、これは怖いです!
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