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第16話~結局旅立ちました

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 まずは何でも自分で作ってみなさい。
 魔石があれば、MPを消費せずに魔法陣を描く事も出来る。
 そして、採取、観察力、発掘、複写、創作、魔力耐性、魔法陣、粉砕、目利きのスキルの習得。
 DEX5,000,000、LUK5,000,000、創造力5,000,000のパラメータを目指しなさい。――


 あぁ、無理難題が書いてある。どうやって、500万ずつ振れと……。会えるの早くてリアル一年後ぐらいになりそうだね。はぁ……。
 これじゃ、錬金術師を取得している人がいないはずだわ。
 でも、探求者としてやっていれば、スキルは身に付くって事だよね?

 本には魔法陣も載っていた。スタミナを回復する『リフレッシュ』。これは、汚れを取る魔法らしい。何故かわからないけど、綺麗になるとスタミナが回復するようです。勿論、ある程度汚れていないと効果が無い。
 探求者や冒険者には便利な魔法陣かもね。

 私は本を閉じ懐中時計と共にリュックにしまった。

 兎に角、探求者になる旅にでよう!

 私はそう決心し、リュックを持ちおじいちゃんの部屋を出た。

 椅子に座っているお父さんに私は話しかけた。

 「お父さん、お願いがあるの。条件をクリア出来なかったけど、探求者になりたいの!」

 お父さんは私に振り向きニッコリとして頭を撫でた。
 思っていた反応と違う為、私は戸惑う。

 「お前は立派な探求者だ。滅多にない発見をしたのだからな」

 お父さんはそう言うと、何やらガサゴソとして持って来た。

 「父さんに託された物だ。探求する時に着る服一式だ」

 見れば、一番上にブーツも乗っている。

 「それと、これはお前が持って行きなさい」

 テーブルの上に置かれたのは、迷宮から持ち帰った魔石だった。

 「ありがとう。お父さん!」

 私は早速着替えた。

 水色のズボン。太ももとお尻には大きなフラップポケットが付いている。それから紺のベルト。これに光る鉱石を付けた。紺のワイシャツにその上に水色のベスト。これにも胸ポケットと前の両下にフラップポケットが付いている。そして最後に紺のブーツ。
 どれも私にぴったりのサイズだった。
 後は帽子もあった。つばさがぐるっとついている帽子ではなく、紺色のベレー帽。
 色はともあれ、探求者に見えそうだわ。

 「私からはこれよ」

 部屋から着替えて出てくるとお母さんが手渡してくれたのは、これまた水色のフード付きポンチョ。レインコートらしい。

 って、水色って誰が好きな色なのでしょうか?

 私は、魔石が入った袋とポンチョをリュックにしまった。そして懐中時計を取り出しベストの左下ポケットにしまう。

 「ソレイユ。出来ればユージくんが許してくれるならば、彼と一緒に出掛けてほしい。本当なら俺も行って謝った方がいいかもしれないが、行かない方が丸くおさまるような気がする。すまなかったと伝えておいてくれ」

 私は頷いた。

 「わかったけど、一体何が……」

 「彼は悪くない。……つい、カーとなってな」

 「はぁ……」

 説明になってないんですが?
 この様子だとユージさんが怒っているって事だよね?
 ついてきてくれるかな? 私としても一緒の方が心強いんだけどなぁ。でも、やっぱり人付き合いは無理! って言われるかもね……。その時は仕方がないから一人で頑張りましょう。

 「じゃ、行ってきます!」

 「気を付けてな! 無理するなよ!」

 「いつでも帰って来ていいからね」

 二人共涙を拭きつつのお別れです。一応まだ10歳だからかな?

 私はライオンの村を目指し走った。


 ◇ ◇ ◇


 ライオンの村に付くが、ユージさんは見つからない。

 畑仕事をしていない。もしかしてINすらしていないとか?!

 「あ、あの、ユージさんいますか?」

 「おぉ、ソレイユちゃんじゃないか! いるよ。そこに掛けて待ってな!」

 話しかけた相手はダンダさんだった。言われた通り椅子に腰かける。

 「お久しぶり。よかった。来ないかと思ったよ」

 そう言ってニッコリと微笑んで、ユージさんは私の前に立った。

 よかった。INはしていたみたい。それに怒ってはなさそう。

 「ごめんなさい。私さっきINして……。そうしたら何かお父さんが、ユージさんに酷い事言ったみたいで……ごめんなさい!」

 私は頭を下げて謝った。

 「やだなぁ。君が謝る事ないだろう? まあ何故あそこまで怒ったかはわからないけど……」

 ですよね。事情知らないんだから。

 「でも多分、僕が選択を間違えたからなんだろうね」

 「選択?」

 うんとユージさんは頷いた。

 「君が探求者になるイベントだったんだよ。僕が気づくのが遅れて、悪いパターンを選んだみたい。本当は、君が選択しなくちゃいけないのにね……」

 「えっと?」

 どういう意味でしょう?

 「あのサササ迷宮に行くのはイベントだったって事。一応皆、ケモミミ族には探求者になるイベントが発生するんだ。きっと君の名前は伝えてはいけなかったんだね。勝手に教えるなって、凄い剣幕で怒られたから……」

 「そうだったんだ。ログアウトしていたから知らなくて……」

 「いいって。僕のところに来たって事は、一緒に旅をしようって事でいいよね?」

 「うん。お願い出来ますか?」

 「勿論。もともとそのつもりだったんだから。改めて宜しくね」

 そう言われれば、この前と違う服装だった。なんと言いますか……ザ・探索隊! って感じです。
 深緑のズボンにこげ茶のひざ下まであるブーツ。これは、ベルトのようなもので固定してある。勿論ズボンはIN。上着も深緑で腰より長く、上着の上に黒のベルトをして光る鉱石を付けている。
 リュックは多分前と同じ物だと思う。確かこげ茶色だったはず。腰ぐらいまであるこげ茶色のケープを羽織っている為に見えない。首元をベルトで固定している。
 手もこげ茶色のグローブを嵌めている。ブーツと一緒でベルトで固定している。

 うん。行く気満々だね!

 「ありがとう! こちらこそよろしくね!」

 私は満面な笑みで言った。
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