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第12話~その名もケモミミ王国

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 次の日の朝、ユージさんは迎えに来た。
 普段とほとんど変わらない恰好。違うと言えば、Tシャツではない事かな。作業着みたいなのを着ていた。そして、腰には鉱石。後はリュックを背負っている。

 「おはようございます!」

 「おはよう。娘を頼んだよ」

 「はい」

 ユージさんは、少し緊張気味にお父さんに挨拶を済ませる。

 「おはよう。ソレイユさん。準備はOK?」

 「おはようございます! バッチリ。お父さん。じゃ、行ってくるね!」

 「無理するなよ!」

 「うん」

 私は、目を潤ませているお父さんに元気よく手を振った。

 「怪我なんかさせたら大変そう……」

 ボソッとユージさんが呟いた。

 「怪我? そう言えば、ここらへんって魔物いないね? 迷宮内にいるの?」

 「この島には魔物はいない事になっているよ」

 やっぱり。一度も会った事ないもんね。

 「迷宮の奥にはいると言われているけど……」

 「え?!」

 私が驚くと、うそうそと笑った。

 「今日行く所にはいないよ。きっと鉱石も取りつくされているから探すのが大変かもね。魔物はこの島にはいないけど、他の国にはいるんだ。それを倒して稼ぎにしている人たちを総称して冒険者と言っている。他のところの迷宮などには、魔物がわんさかいるんだって。だから探求者のみでは、行けないみたいだよ」

 「そうなんだ。なんで魔物はこの島にはいないのかな?」

 「この島は、その名もケモミミ王国って言うんだ。って、そのままだね。何でも結界で守られていてそれで魔物がいないみたい。それでも迷宮の奥深くは、魔力が充満していて魔物がいるらしいよ。それにケモミミ族以外は、普通この島に入れないらしい」

 なるほど。魔物は魔力が多い所にいるって事ね。
 いやぁ。平和なところでよかったぁ~。

 「あ、そうだ。ソレイユさんってVITっていくつ? 探求者になるのには、VIT100必要だから先に言っておくね。100に出来るのなら振った方がいいかも。スタミナの最大が増えるはずだから。……数値化はされてないからわからないけど、VITに振ったら減り方が遅くなったから」

 「わかったわ。ありがとう」

 今経験値は、300ちょっとあるのよね。
 あ! そう言えば、VITって長所だったわ! 500でいいね! あと少し……。歩くだけで貯まる!

 私はウキウキで歩いた。
 二十分歩いた頃、経験値は500を超えた。

 よし、VITに100振りましょう!

 貯まった経験値500を振った。VITは109になった。

 夜しか今のところスタミナを回復出来ないし、VITをもっと増やした方がいいかな……。

 「ねえ、ユージさんは、VITっていくつなの?」

 「僕? 100万かな。後、HPを1000にしているよ。HPは一万使って1なんだよね……。後は創造力に1000振ってる。忘れてた。これも探求者になるのに必要なんだった。後必要なのが握力50かな?」

 100万ってすご! でも最初からやっている人はINしているだけでも経験値は貯まるんだから凄いあるよね?
 普通のゲームはレベルだから段々上がらなくなるけど、このゲームは経験値が入る数値変わらないし、10で1振れるのもかわらないよね?
 HPは、上げるのは大変そうだけどね……。

 私は改めて自分のステータスをジッと見てみた――。


 HP:100/100
 MP:10/10

 攻撃力:1   武器:―
 防御力:1   防具:―
 素早さ:1   装飾:―

 STR:1   握力:20
 VIT:109  視力:100
 AGI:1   聴力:5
 DEX:1   読解力:20
 INT:1   創造力:112
 MND:1
 LUK:212

 魔 法:―
 スキル:採取・観察力


 当たり前だけど、ユージさんとは雲泥の差ですね……。

 ところで攻撃力とかはどうやったら上がるのかな? 普通はSTRだよね? VIT100超えてるけど、防御力は増えていないよね。

 「ユージさん、攻撃とか防御とかはどうやったらあがるのでしょうか?」

 「あぁ……。気が遠くなるかもしれないけど、攻撃力はSTRを防御力はVITを素早さはAGIをそれぞれ1000振ると1上がるんだ……。まあ、戦闘系じゃないしHP以外は後回しにしてもいいと思うよ」

 聞くんじゃなかった! 1000振るって事は、経験値一万使って攻撃力が1上がるって事でしょう?
 ユージさんの言う通り、最初は探求者に必要なステータスを上げよう!

 握力はあと30必要だから経験値は600必要で、創造力は900必要だけど経験値は4500でいいから、経験値は5100必要なのね……。
 ふう……。今は、これを貯めるのも大変だわ。
 取りあえず、握力の600を目指しましょうか。

 こうしてちょっとした会話をしながらサササ迷宮を目指した――。
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