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第二十三話
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もう諦めて認めてしまい全てを話し謝罪すれば、少しは罪が軽くなるというのに、アルザンヌさんは頑として認めない。
シルーからアルザンヌさんに追いかけ回されて床を凍らせた。と聞いたレイサード様はおっしゃった。それを聞いたビスナさんが、彼女がエーネルを低体温症にした犯人だと気づいたから一芝居打った。
けどアルザンヌさんが、偽聖女と繋がっているとは知らなかったので、彼女が彼を殺しに来るのではと思っていたようです。アルザンヌさんはそれで、ビスナさん達に自分が犯人だと知れたと気づき、同室の私を貶めようとした。
計画とはちょっと違うけど、偽聖女を自害にみせかけ殺し、私を毒を盛った犯人に仕立て上げる予定だった。まさか私が、逆に毒を除去できるとは思いもよらなかったでしょうね。
「な、なんの話? よく覚えてないわ。その日、彼が休みだったからそう言ったんじゃない?」
なんとか言い訳をするアルザンヌさん。やっぱり最後の切り札を使わないとダメかしら?
「そう。薬師とも倒れていた場所も言っていないのにね」
「そういうけど、彼が言い残した言葉はどう解釈するのよ!」
それはもう解明されているけど、ここは私達が言っても無駄よね?
「そうね。エーネルさんに直接聞きましょう」
「え?」
「ついでに、本当に私が聖女だという証明もしましょう」
アルザンヌさんは、目を見開いて私を見ている。何をする気だという顔ね。ううん。もうわかっているわよね? 彼を起こすのよ。
もし彼女の魔法を除去したら彼女もわかるかもしれないから、わざと偽聖女から話を聞いた後もそのままにしておいた。その勘は当たったようね。
治せていないから安心していたのでしょう。彼が起きれば、魔法を使った事がバレるものね。
私は、エーネルさんに触れて、アルザンヌさんが掛けた魔法を解いた。
「うそ……」
「終わりました」
「エーネル、聞こえるか?」
薬師長のジェールエイトさんが話しかけると、エーネルさんはうっすらと目を開く。
「あれ?」
「起きて早々ではあるが、最後にある記憶を教えてほしい」
ベットの横に来たレイサード様がそう声を掛けると、エーネルさんは飛び起きた。
「あれ? 僕は一体?」
「記憶はあるか?」
「え? レイサード殿下!?」
「落ち着いてエーネル」
「あ、ジェールエイトさん。えーと……」
少し考えてから、思い出したという顔つきに彼はなった。
「猫をアルザンヌさんが追いかけていました!」
「だそうですよ。アルザンヌ。『ネ』コを『ア』ルザンヌが追いかけていたとあの時言った。今と同じようにね」
「そうだ! 猫の足元が凍って滑って行ったんだ!」
ビスナさんが勝ち誇ったように言うと、追い打ちをかける様にエーネルさんが思い出した事を言うと、憎々し気にアルザンヌさんが、私を睨み付けるのだった。
シルーからアルザンヌさんに追いかけ回されて床を凍らせた。と聞いたレイサード様はおっしゃった。それを聞いたビスナさんが、彼女がエーネルを低体温症にした犯人だと気づいたから一芝居打った。
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計画とはちょっと違うけど、偽聖女を自害にみせかけ殺し、私を毒を盛った犯人に仕立て上げる予定だった。まさか私が、逆に毒を除去できるとは思いもよらなかったでしょうね。
「な、なんの話? よく覚えてないわ。その日、彼が休みだったからそう言ったんじゃない?」
なんとか言い訳をするアルザンヌさん。やっぱり最後の切り札を使わないとダメかしら?
「そう。薬師とも倒れていた場所も言っていないのにね」
「そういうけど、彼が言い残した言葉はどう解釈するのよ!」
それはもう解明されているけど、ここは私達が言っても無駄よね?
「そうね。エーネルさんに直接聞きましょう」
「え?」
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もし彼女の魔法を除去したら彼女もわかるかもしれないから、わざと偽聖女から話を聞いた後もそのままにしておいた。その勘は当たったようね。
治せていないから安心していたのでしょう。彼が起きれば、魔法を使った事がバレるものね。
私は、エーネルさんに触れて、アルザンヌさんが掛けた魔法を解いた。
「うそ……」
「終わりました」
「エーネル、聞こえるか?」
薬師長のジェールエイトさんが話しかけると、エーネルさんはうっすらと目を開く。
「あれ?」
「起きて早々ではあるが、最後にある記憶を教えてほしい」
ベットの横に来たレイサード様がそう声を掛けると、エーネルさんは飛び起きた。
「あれ? 僕は一体?」
「記憶はあるか?」
「え? レイサード殿下!?」
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少し考えてから、思い出したという顔つきに彼はなった。
「猫をアルザンヌさんが追いかけていました!」
「だそうですよ。アルザンヌ。『ネ』コを『ア』ルザンヌが追いかけていたとあの時言った。今と同じようにね」
「そうだ! 猫の足元が凍って滑って行ったんだ!」
ビスナさんが勝ち誇ったように言うと、追い打ちをかける様にエーネルさんが思い出した事を言うと、憎々し気にアルザンヌさんが、私を睨み付けるのだった。
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