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第十四話★
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「な、なぜ彼女がここにいるのだ?」
そう口走っていた。
「申し訳ありません。すぐに下がらせます」
「いや、責めているのではなく、理由を聞いている」
「彼女が第一発見者でしたので」
俺の質問にネツレスアが答えた。
なんだ彼を見つけた発見者だっただけか。
うん? なぜ安心をしているのだ?
「で、何かございましたか?」
「はい。毒を盛られたわけでもないのに、低体温症になっているのです」
ビスナの質問に、困惑した顔のジェールエイトが答えた。
彼があの顔をするという事は、まったくわからないのだろう。そんな事があるのか? やはり魔法か?
「魔法の線はないか?」
俺の言葉に皆驚いていた。まあ聞いた事がないからな。
「リリナージュ。君はどう思う?」
自然と彼女に問いていた。
リリナージュは、驚いた顔というより困り顔だけどなぜだ?
「あ、あるかもしれません。体を冷やす魔法なら可能かと」
「魔法で冷やすですか。なるほど。しかし王宮内にはその様な魔法の持ち主はいませんが」
リリナージュの答えに、いないとビスナは答えたが、一人思い当たる者がいる。だが、ジェールエイトやビスナが気づかないという事は、外傷がないのだろう。方法はどうであれ、吐かせればいい。
それよりも――。
「ビスナ。どうせだから聖女に、診てもらったらどうだ?」
「え? 聖女様に彼をですか?」
「聖女は、毒を除去する能力だけではなく、どんな病気も治すと言われている。本物かどうか確かめないとダメだろう?」
ビスナが目を細めた。
まだそういう事を言うかという目だな。
「そうですね。私も殿下の意見に賛成です。本物だと信じておりますので、彼を治癒して下さることでしょう」
「せ、聖女様に診せるのですか?」
ジェールエイトが俺に賛成してくれたが、なぜか関係ないリリナージュの顔色が悪い。
「あの……聖女様って魔法で具合が悪くなっていると、わかるものなのでしょうか?」
リリナージュが、変な質問をしてきた。
そこまでは、本人に聞かないとわからないが出来るのではないだろうか? そう思い、ビスナを見る。
「わかりません」
一言、ビスナがそう言った。
そして、鋭い視線で、リリナージュを見つめている。
「リリナージュ。もう戻って結構ですよ」
「え? あ、はい。失礼します」
ビスナが言うと、軽く会釈してリリナージュは去って行く。
「彼女、何か隠しているような気がしませんか?」
リリナージュを追っていた目線をそう発言したビスナに向けると、怖い顔つきをしている。本気でそう思っているようだ。
「もしかしたら彼は、魔法でこういう状態にされているのかもしれません。それをしたのが彼女なのか、または気づいただけなのか」
「な、何をいう。彼女がそんな事をするわけないではないか!」
ジェールエイトの言葉に俺は、そう言っていた。
「これは、重症ですね」
はぁっとため息と共に、ビスナがそう漏らした。
そう口走っていた。
「申し訳ありません。すぐに下がらせます」
「いや、責めているのではなく、理由を聞いている」
「彼女が第一発見者でしたので」
俺の質問にネツレスアが答えた。
なんだ彼を見つけた発見者だっただけか。
うん? なぜ安心をしているのだ?
「で、何かございましたか?」
「はい。毒を盛られたわけでもないのに、低体温症になっているのです」
ビスナの質問に、困惑した顔のジェールエイトが答えた。
彼があの顔をするという事は、まったくわからないのだろう。そんな事があるのか? やはり魔法か?
「魔法の線はないか?」
俺の言葉に皆驚いていた。まあ聞いた事がないからな。
「リリナージュ。君はどう思う?」
自然と彼女に問いていた。
リリナージュは、驚いた顔というより困り顔だけどなぜだ?
「あ、あるかもしれません。体を冷やす魔法なら可能かと」
「魔法で冷やすですか。なるほど。しかし王宮内にはその様な魔法の持ち主はいませんが」
リリナージュの答えに、いないとビスナは答えたが、一人思い当たる者がいる。だが、ジェールエイトやビスナが気づかないという事は、外傷がないのだろう。方法はどうであれ、吐かせればいい。
それよりも――。
「ビスナ。どうせだから聖女に、診てもらったらどうだ?」
「え? 聖女様に彼をですか?」
「聖女は、毒を除去する能力だけではなく、どんな病気も治すと言われている。本物かどうか確かめないとダメだろう?」
ビスナが目を細めた。
まだそういう事を言うかという目だな。
「そうですね。私も殿下の意見に賛成です。本物だと信じておりますので、彼を治癒して下さることでしょう」
「せ、聖女様に診せるのですか?」
ジェールエイトが俺に賛成してくれたが、なぜか関係ないリリナージュの顔色が悪い。
「あの……聖女様って魔法で具合が悪くなっていると、わかるものなのでしょうか?」
リリナージュが、変な質問をしてきた。
そこまでは、本人に聞かないとわからないが出来るのではないだろうか? そう思い、ビスナを見る。
「わかりません」
一言、ビスナがそう言った。
そして、鋭い視線で、リリナージュを見つめている。
「リリナージュ。もう戻って結構ですよ」
「え? あ、はい。失礼します」
ビスナが言うと、軽く会釈してリリナージュは去って行く。
「彼女、何か隠しているような気がしませんか?」
リリナージュを追っていた目線をそう発言したビスナに向けると、怖い顔つきをしている。本気でそう思っているようだ。
「もしかしたら彼は、魔法でこういう状態にされているのかもしれません。それをしたのが彼女なのか、または気づいただけなのか」
「な、何をいう。彼女がそんな事をするわけないではないか!」
ジェールエイトの言葉に俺は、そう言っていた。
「これは、重症ですね」
はぁっとため息と共に、ビスナがそう漏らした。
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