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第一話
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「にゃ~」
それは森の中で薬草摘みをしている時でした。銀の毛並みの珍しい猫ちゃんに出会ったのです。
弱弱しく鳴いた猫ちゃんは動かなくなった。いえ動けなくてうずくまったようで、よく見れば、後ろ足を怪我しているではありませんか。
「大丈夫?」
摘んだばかりの薬草で怪我の手当てしてあげた時、私は猫ちゃんに触れて気がついた。毒に侵されていると。
「キュア」
私は、毒を取り除いてあげた。そして、抱き上げて家に連れて帰る事にして、家に急いだ。
私の家は、街の外れの森の入り口にある。
猫ちゃんにミルクをあげると、喜んで飲んでくれた。
「おなかが空いていたのね。あら……」
よく見ると、耳にピアスをしていた。
このピズリーツ王国では、生まれてすぐに魔法のピアスを付ける。これはその者の魔力で宝石の色が変化する。10年ぐらい経つと、その者が持つ魔法の特性を現すと言われている不思議なピアスで、この国の風習。
私もしていて、黒に近い毒々しい紫色に染まっている。その為、毒魔女と恐れられこの森へと追いやられた。
「ちゃんと、リリナージュって、おばあちゃんが付けてくれた名前があるのにね」
そのおばあちゃんも半年前に亡くなった。とうとう一人になった私は、薬草を摘み、薬師だったおばあちゃんから教わって作れる様になった薬をこっそり変装して売りに行って生計を立てていた。
「それにしても猫ちゃんにまでつけるなんてね」
猫ちゃんのピアスは白。まあ猫ちゃんに魔力があるわけじゃないだろうからね。
「君も一緒にここに住む?」
「にゃ~」
「お名前どうしようかな? シル―なんてどう? シルバーのバとったの」
「にゃ~」
「そう? 嬉しい?」
私は、シルーを抱き上げ、撫でる。もちろん、猫の言葉などわかるわけないから勝手に嬉しいだろうと言う事にしていた。
次の日、目を覚ますとシルーは横で寝ていた。逃げなかったという事は、一緒に暮らしてくれるって事だよね?
「シルー。私、街に薬を売りに行ってくるね」
「にゃ~」
「あ、一緒に行きたい?」
「にゃ~」
「じゃ、一緒に行こうか」
猫のシルーを連れて街へと向かった。
街は、何かいつもと違い、兵士がいっぱいだ。何かあったのだろうか?
「レイサード殿下が昨日、襲われたそうよ」
そう話している街の噂を耳にする。
それでこの騒ぎのようだった。
「おばさん、これ薬」
「ありがとう。おや? リナちゃん、猫を連れているのかい? 珍しい色の猫だね」
変装中は、リナと名乗っている。私が開発した色素が赤くなる薬を飲んで、髪も瞳の色も赤い。ちなみに肌も赤っぽくなっているけど、手袋に外套のフードを被り、顔には化粧をして誤魔化しているから気づかれていない。
唇なんて、リップがいらないほど真っ赤。
ちなみにピアスの色は変わらないので、見えない様に髪で隠している。まあフードを被っているから大丈夫だとは思うけどね。
「うん。家族になったの」
「そうかい。そうだ。煮干しあげるよ」
「ありがとう!」
やったぁ。食料だわ。
手に入れた煮干しと、街で食料を買ってその日は、家に戻ったのでした。
それは森の中で薬草摘みをしている時でした。銀の毛並みの珍しい猫ちゃんに出会ったのです。
弱弱しく鳴いた猫ちゃんは動かなくなった。いえ動けなくてうずくまったようで、よく見れば、後ろ足を怪我しているではありませんか。
「大丈夫?」
摘んだばかりの薬草で怪我の手当てしてあげた時、私は猫ちゃんに触れて気がついた。毒に侵されていると。
「キュア」
私は、毒を取り除いてあげた。そして、抱き上げて家に連れて帰る事にして、家に急いだ。
私の家は、街の外れの森の入り口にある。
猫ちゃんにミルクをあげると、喜んで飲んでくれた。
「おなかが空いていたのね。あら……」
よく見ると、耳にピアスをしていた。
このピズリーツ王国では、生まれてすぐに魔法のピアスを付ける。これはその者の魔力で宝石の色が変化する。10年ぐらい経つと、その者が持つ魔法の特性を現すと言われている不思議なピアスで、この国の風習。
私もしていて、黒に近い毒々しい紫色に染まっている。その為、毒魔女と恐れられこの森へと追いやられた。
「ちゃんと、リリナージュって、おばあちゃんが付けてくれた名前があるのにね」
そのおばあちゃんも半年前に亡くなった。とうとう一人になった私は、薬草を摘み、薬師だったおばあちゃんから教わって作れる様になった薬をこっそり変装して売りに行って生計を立てていた。
「それにしても猫ちゃんにまでつけるなんてね」
猫ちゃんのピアスは白。まあ猫ちゃんに魔力があるわけじゃないだろうからね。
「君も一緒にここに住む?」
「にゃ~」
「お名前どうしようかな? シル―なんてどう? シルバーのバとったの」
「にゃ~」
「そう? 嬉しい?」
私は、シルーを抱き上げ、撫でる。もちろん、猫の言葉などわかるわけないから勝手に嬉しいだろうと言う事にしていた。
次の日、目を覚ますとシルーは横で寝ていた。逃げなかったという事は、一緒に暮らしてくれるって事だよね?
「シルー。私、街に薬を売りに行ってくるね」
「にゃ~」
「あ、一緒に行きたい?」
「にゃ~」
「じゃ、一緒に行こうか」
猫のシルーを連れて街へと向かった。
街は、何かいつもと違い、兵士がいっぱいだ。何かあったのだろうか?
「レイサード殿下が昨日、襲われたそうよ」
そう話している街の噂を耳にする。
それでこの騒ぎのようだった。
「おばさん、これ薬」
「ありがとう。おや? リナちゃん、猫を連れているのかい? 珍しい色の猫だね」
変装中は、リナと名乗っている。私が開発した色素が赤くなる薬を飲んで、髪も瞳の色も赤い。ちなみに肌も赤っぽくなっているけど、手袋に外套のフードを被り、顔には化粧をして誤魔化しているから気づかれていない。
唇なんて、リップがいらないほど真っ赤。
ちなみにピアスの色は変わらないので、見えない様に髪で隠している。まあフードを被っているから大丈夫だとは思うけどね。
「うん。家族になったの」
「そうかい。そうだ。煮干しあげるよ」
「ありがとう!」
やったぁ。食料だわ。
手に入れた煮干しと、街で食料を買ってその日は、家に戻ったのでした。
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