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『レベル10―嘘は魔法使いの始まり ―』

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 うわぁ! とうとう稲葉いなば先輩まで巻き込んじゃったよ!!
 何でいつも事を大きくしてくれちゃうかな!

 僕の少し前には、一つ上の先輩で、生徒会長の稲葉先輩が杖を持ち立っていた。そして、彼はこちらを向きどや顔だ!
 その先輩の向こう側には、かわいらしい青いスライムがいる。いやかわいいは、今回語弊があるかもしれない。何せこのスライムは、僕と同じぐらいの背丈がありますから!!

 「どうだ!」
 「どうだじゃないわ! 私の杖~~!!」

 稲葉先輩がそう言うと、安達あだち先輩は半泣きだ。
 どういう事だと、稲葉先輩が僕を見た。
 だから、違うと言ったのに――!!



 僕は、あきら七生なお。今年高校生になったばかりだ。登校初日の帰り道に、銀色に光る水色の髪に瞳の少女ミーラさんと出会った。
 僕はミーラさんが持参した『杖』で、彼女の世界から召喚したモンスター倒しを押し付けられた! その『杖』はよりによってレア物だったらしく、僕にしか使えないものだった!

 向こうの世界では、その杖を造れば名が轟く程の逸品らしい。でも地球じゃ使わないものだし、杖なんて持って歩けない! と言ったらミーラさんの師匠のパスカルさんは、ペン型にしてくれた――大きなお世話だ!!

 パスカルさんは、その杖をレベルアップさせたいが為に、ミーラさんを送り込んで来た。彼女は、杖野つえのミラとして、僕の学校に来た! お蔭で僕は、この世界で杖のレベルを上げるために、モンスター狩りをするはめになったのだった!!

 そして、とうとうその杖がレベルアップして、形成を変えたのだ!
 だが、僕はだまし討ちをされた(ダブルの意味で)!
 本当は、杖の形が変われば解放されるはずだった。けど何故か、卒業式でその杖の試し打ちを披露する事になり、見事その杖は認められた!
 なのに、至高の杖だと言って、もっとレベルアップさせられる羽目になった!

 だから、ミーラさんはまだこの世界にいる。
 そして、またやらかしてくれたんだ!!
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