38 / 55
『レベル8―僕はスライムより弱かった?―』
―3―
しおりを挟む
僕達は、安達先輩も一緒に二色さんのお家にお邪魔した。そして、僕と大場でキッチンに立つ。
本を見つつ、二人でお菓子作り。三人は、リビングで女子トーク中。
「え?! あの杖って本物なのですか?!」
安達先輩が驚く声が、聞こえて来た!
何を話しているんだ! 内容が全然女子トークじゃない!
「おい、ちゃんとやれよな」
「いや、だって……。先輩に変な事吹き込んで……」
「うん? 本当の事だろう? 俺、お腹すいたから早く作っちゃおうぜ」
そうだった。大場は、隠す必要ないと思っているんだった。しかも作ったクッキー食べる気満々だし。
仕方がないので、サクサクと作って行く。そして、オーブンで焼くまでになった。
「後は焼きあがるまで待つだけだな。俺達も向こうで休もうぜ」
「うん」
早く何を話したか聞きたい!
きっと、二人の魔法使いトークに、ドン引きしているに違いない!
「お疲れ様。コーヒーを入れてあげるわ」
「おぉ、サンキュー」
「ありがとう」
二色さんが立ち上がると、私もやりたいとミーラさんもついて行く。僕と大場、それと安達先輩だけになった。
「あの……二人の話は、半分冗談で聞いて……」
「魔法使いなんですってね!」
「え!?」
安達先輩は、僕をキラキラして目で見て言った!
嘘だろう! 彼女も魔女っ子大好き派なんですかぁ!?
この目は間違いなく、二色さんと同じ目だ!
「あの。今日、訪ねて来たのって……」
僕は、恐る恐る聞いた。僕の予想が外れますようにって!
「はい。魔法を使ったのかどうか、聞きたくて……。一か月も悩んじゃいました。聞きに来てよかったです!」
なんじゃそりゃ!!
初めは、もじもじと語っていたけど、パッと顔を上げキラキラした目で来てよかったって言われたよ!
あぁ見た目は凄くいいのに、中身は僕的には残念だ……。
もしかして、僕が知らないだけで、少女達は魔法使いに憧れているのか?
はぁ……。
ため息をついて、ぐったりしていると、チンと鳴った。どうやら出来上がったみたい。
僕達の目の前には、少し焦げてしまったクッキーが並べられている。焼きあがったクッキーで、お祝いだそうです。――って、何のお祝いだよ!
「私……魔法使い部入ろうかな」
「げっほげっほ」
「お前、汚いって!」
突然驚くような事を口走った安達先輩の言葉に、僕はむせてしまった。大場が、ギャーギャー言っているがそんな場合じゃない! 止めないと!
「あの、やめた方がいいです! せっかく生徒会に入ったのに!」
「いえ。生徒会をしながら部活出来るので問題はないです」
僕の言葉に、にっこりと安達先輩は答える。
いや僕が言いたいのは、生徒会に入って先生方の覚えがめでたいのに、この部に入ったらだだ下がりだと言う事なんだけどなぁ。通じてない。
「あ、そうそう。魔法使い部ではなく、正しくはかそう部ですわ」
それ訂正しなくても内容は魔法使い部の様なものだろうに……。
二色さんの訂正に、大場とミーラさんはうんうんと頷いている。
「そうだ! 魔法見てみる? それとも使って……」
「ダメ!」
慌てて変な事を言い出したミーラさんの手を僕は掴んだ!
こんな所でモンスターをだしたら大変な事になるだろうに!!
「えぇ~。なんで?」
「学べよ! ここで出したら大変な事になる!」
「あ、そっか! じゃ、外でしようよ!」
「こ、今度な……」
ジッと三人が期待した目を送っているので、そう答えてしまった。
「そうね。では、どんなモンスターを出したいか先輩には考えておいてもらいましょう」
「ちょ、何言って……」
「モンスター?」
「うん。私が作った杖で出せるよ!」
「だから、待てって!!」
「えぇ! 本当? 私にも出せるの?」
「勿論だ! 俺、オオカミだしたぜ」
「私は、雪女よ! 凄かったんですから!」
ダメだもう。止められない……。
二色さんの余計な一言で、自慢げにミーラさんが杖の事を話し、大場達がその杖でモンスターを出した自慢話が始まった。
どうしてこうなるんだよ!
あぁ、魔女っ子大好きが三人になった……!
「やっぱりすぐに体験してもらいましょう!」
「はぁ? いや、クッキー……」
「持ってけばいいだろう?」
「わぁーい! じゃ、学校の裏で!」
またそこですか!
ミーラさんが提案した場所は、あと少しで雪が降る季節だというのに、雪が見たいと言った彼女のせいで、二色さんがその願いを叶える為に雪女を出した場所だ。
そこだけ銀世界になって喜んだのは、勿論ミーラさんのみ!
そんな曰く付きの場所だ!
「あの……。今日じゃなくても」
「では、いつならいいのですか?」
そう質問してきたのは、安達先輩だ!
彼女も杖でモンスターを出したいらしい。
勘弁してくれ! 退治するの僕なんだからぁ!!
「じゃ、今で……」
「お前、先輩に弱いなぁ」
ニヤニヤして、大場が言った。
そうじゃなくて! 僕一人反対しても決定事項でしょって事だよ!
多勢に無勢だよな……はぁ。
本を見つつ、二人でお菓子作り。三人は、リビングで女子トーク中。
「え?! あの杖って本物なのですか?!」
安達先輩が驚く声が、聞こえて来た!
何を話しているんだ! 内容が全然女子トークじゃない!
「おい、ちゃんとやれよな」
「いや、だって……。先輩に変な事吹き込んで……」
「うん? 本当の事だろう? 俺、お腹すいたから早く作っちゃおうぜ」
そうだった。大場は、隠す必要ないと思っているんだった。しかも作ったクッキー食べる気満々だし。
仕方がないので、サクサクと作って行く。そして、オーブンで焼くまでになった。
「後は焼きあがるまで待つだけだな。俺達も向こうで休もうぜ」
「うん」
早く何を話したか聞きたい!
きっと、二人の魔法使いトークに、ドン引きしているに違いない!
「お疲れ様。コーヒーを入れてあげるわ」
「おぉ、サンキュー」
「ありがとう」
二色さんが立ち上がると、私もやりたいとミーラさんもついて行く。僕と大場、それと安達先輩だけになった。
「あの……二人の話は、半分冗談で聞いて……」
「魔法使いなんですってね!」
「え!?」
安達先輩は、僕をキラキラして目で見て言った!
嘘だろう! 彼女も魔女っ子大好き派なんですかぁ!?
この目は間違いなく、二色さんと同じ目だ!
「あの。今日、訪ねて来たのって……」
僕は、恐る恐る聞いた。僕の予想が外れますようにって!
「はい。魔法を使ったのかどうか、聞きたくて……。一か月も悩んじゃいました。聞きに来てよかったです!」
なんじゃそりゃ!!
初めは、もじもじと語っていたけど、パッと顔を上げキラキラした目で来てよかったって言われたよ!
あぁ見た目は凄くいいのに、中身は僕的には残念だ……。
もしかして、僕が知らないだけで、少女達は魔法使いに憧れているのか?
はぁ……。
ため息をついて、ぐったりしていると、チンと鳴った。どうやら出来上がったみたい。
僕達の目の前には、少し焦げてしまったクッキーが並べられている。焼きあがったクッキーで、お祝いだそうです。――って、何のお祝いだよ!
「私……魔法使い部入ろうかな」
「げっほげっほ」
「お前、汚いって!」
突然驚くような事を口走った安達先輩の言葉に、僕はむせてしまった。大場が、ギャーギャー言っているがそんな場合じゃない! 止めないと!
「あの、やめた方がいいです! せっかく生徒会に入ったのに!」
「いえ。生徒会をしながら部活出来るので問題はないです」
僕の言葉に、にっこりと安達先輩は答える。
いや僕が言いたいのは、生徒会に入って先生方の覚えがめでたいのに、この部に入ったらだだ下がりだと言う事なんだけどなぁ。通じてない。
「あ、そうそう。魔法使い部ではなく、正しくはかそう部ですわ」
それ訂正しなくても内容は魔法使い部の様なものだろうに……。
二色さんの訂正に、大場とミーラさんはうんうんと頷いている。
「そうだ! 魔法見てみる? それとも使って……」
「ダメ!」
慌てて変な事を言い出したミーラさんの手を僕は掴んだ!
こんな所でモンスターをだしたら大変な事になるだろうに!!
「えぇ~。なんで?」
「学べよ! ここで出したら大変な事になる!」
「あ、そっか! じゃ、外でしようよ!」
「こ、今度な……」
ジッと三人が期待した目を送っているので、そう答えてしまった。
「そうね。では、どんなモンスターを出したいか先輩には考えておいてもらいましょう」
「ちょ、何言って……」
「モンスター?」
「うん。私が作った杖で出せるよ!」
「だから、待てって!!」
「えぇ! 本当? 私にも出せるの?」
「勿論だ! 俺、オオカミだしたぜ」
「私は、雪女よ! 凄かったんですから!」
ダメだもう。止められない……。
二色さんの余計な一言で、自慢げにミーラさんが杖の事を話し、大場達がその杖でモンスターを出した自慢話が始まった。
どうしてこうなるんだよ!
あぁ、魔女っ子大好きが三人になった……!
「やっぱりすぐに体験してもらいましょう!」
「はぁ? いや、クッキー……」
「持ってけばいいだろう?」
「わぁーい! じゃ、学校の裏で!」
またそこですか!
ミーラさんが提案した場所は、あと少しで雪が降る季節だというのに、雪が見たいと言った彼女のせいで、二色さんがその願いを叶える為に雪女を出した場所だ。
そこだけ銀世界になって喜んだのは、勿論ミーラさんのみ!
そんな曰く付きの場所だ!
「あの……。今日じゃなくても」
「では、いつならいいのですか?」
そう質問してきたのは、安達先輩だ!
彼女も杖でモンスターを出したいらしい。
勘弁してくれ! 退治するの僕なんだからぁ!!
「じゃ、今で……」
「お前、先輩に弱いなぁ」
ニヤニヤして、大場が言った。
そうじゃなくて! 僕一人反対しても決定事項でしょって事だよ!
多勢に無勢だよな……はぁ。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
性癖の館
正妻キドリ
ファンタジー
高校生の姉『美桜』と、小学生の妹『沙羅』は性癖の館へと迷い込んだ。そこは、ありとあらゆる性癖を持った者達が集う、変態達の集会所であった。露出狂、SMの女王様と奴隷、ケモナー、ネクロフィリア、ヴォラレフィリア…。色々な変態達が襲ってくるこの館から、姉妹は無事脱出できるのか!?
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる