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『レベル7―チョコにはご用心!?―』

―エピローグ―

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 僕達はそのまま、二色さん家に寄る事になった。
 入った途端、甘い香りが漂ってきた。

 「飲んどけ」

 そう言って、大場に何かを手渡される。それは、胃薬だ!

 「何これ?」

 驚くも大場は、苦笑いするだけ。
 お水をもらい、一応飲んでおく。

 「はい。どうぞ」

 二色さんが、僕達の前に置いた物はチョコだ!
 別々じゃなくて、大場と一緒にだけど、初のチョコだ!!
 って、喜んでいたら次々と運んで来る。
 そしてテーブルにいっぱいになった!! 何この数!?

 「これがシンプルな普通ので、これがストロベリー。ミント、ナッツ、抹茶……」
 「ちょ、ちょっと待って! これ四人で食べるの?」

 僕は驚いて聞いた。
 四人で食べても胸やけしそうな量だ!

 「あら、三人で食べるのよ。足りない?」
 「いや、まさか! って、二色さんは食べないの?」
 「味見もしたし、これ以上食べたら太るわ!」

 そうですか。って、まさか食べきれないほどってこれ!?
 僕が大場を見れば、ニヤッとする。

 「ほら、食え! 念願のチョコだ!」
 「……なんか、イメージと全然違うというか」
 「何かいいまして?」
 「いえ、何でもありません! 頂きます!」

 コーヒーを持って来た、二色さんに睨まれた!
 わがまま言っちゃいけないよね!

 パクッと一つチョコを口にしてみる。
 うん。おいしい!

 「う!!」

 うん? 大場が涙目になっている。そしてコーヒーをグビグビと飲んだ。

 「あ、その杖のは、私が作ったの!」

 ミーラさんが言った、杖の形のチョコをつまんで、大場は食えと僕に手渡して来た。きっと今、これを食べて……。――これ何味なんだ?
 チョコを見つめていると、三人が僕を見つめていた。

 「食べてよ!」
 「い、頂きます」

 ミーラさんに言われて、口に入れた途端! 口の中に苦みが広がった!!
 これ全く甘くないんですけど!!!!
 コーヒーの方が苦くないという……。

 まさかと思うけど、これを配ってないよね?
 これは、苦情が来るわけだ!

 「ねえ、どう? 美味しい? 師匠にもあげようと思うんだけど」
 「まあ、あげるといいよ」

 美味しいとは言わない。けど師匠も食べろ!!

 「なあ、審。これお前の魔法で消せない?」

 そっと指さしたのは、杖の形をしたチョコだ!
 気持ちはわかるけど、僕は魔法使いじゃないから!!

 「あのね! 僕は魔法使いじゃないから!」
 「あ、っそ!」

 大場は、杖のチョコを全部僕の皿に置いた!

 「そうだ。お返しは美味しいお菓子を宜しくね!」

 ミーラさんが、にっこり言った!
 美味しいお菓子を買ってやるから、このチョコを甘くしてくれぇ!!
 僕は、しばらくチョコを見るのも嫌だった――。
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