偽りステータス冒険者は神秘級ステータス

すみ 小桜(sumitan)

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020 ☆遅い朝ごはん☆

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 「いただきます!」

 パクッと母さんが作ってくれた朝ごはんにかぶりつく。薄い肉を野菜に巻いた肉巻きとご飯。それとたっぷりの野菜。

 朝ごはんと言ってももう九時です。リーさんとギルドで待ち合わせしたけど、時間言ってなかったし、特段する事もないからまったりでいいかなぁって、かなりの朝寝坊です。

 「仕事はいいのか? 午後からなのか?」

 不安そうに父さんは聞いて来た。
 結局、王宮入りは出来なかった事を伝え、今日からマッターリ街で勤務とだけ伝えてある。いやフリー冒険者なんだけど、言いづらい!
 冒険者になった手前、稼がないといけないんだけど、私に出来る仕事なんてあるのかな? なかったらどうしよう……。

 トントントン。
 ドアがノックされ、私達はドアに振り向く。
 こんな朝早く誰だろう? いや早くもないか。

 「おはようございます。フェアルさんご在宅でしょうか?」

 うん? 私? ってこの声もしかしてリーさん!?

 「あ、はい。居ります……」

 そう言ってドアを開けた母さんは、凄い勢いで私に振り返った。その顔は驚きで目が見開いていた。
 そこまで驚くかなぁ……。まあ確かに今まで浮いた話なんてなかったけどさ!

 「あれ? ギルドで待ち合わせじゃなかったっけ?」

 もぐもぐ。ご飯を口に頬張る。

 「……君なら朝寝坊して、まだ家にいるだろうと思って迎えに来たんだけど……。ギルド行く気あったの君?」

 リーさんが、少しムッとして言った。
 別に急いでいる訳でもないし、ゆっくり朝ごはんぐらい食べてもいいじゃん! それに時間だって決めてなかったし。

 「まあ、うちの娘がご迷惑を! どうぞ中へ」

 母さんがそう言うと、リーさんとマルモンドさん!? が入って来た。なんでマルモンドさんまで?

 「マルモンドさん!?」

 私が叫ぶと、父さんと母さんが驚いてマルモンドさんを見た。

 「まあこの方が師匠さん? 娘がお世話になりまして」
 「まさか、師匠のお孫さんとか……!?」

 母さんは普通のご挨拶をしたのに、父さんは突拍子もない事を口走る。

 「あ、すみません。ご挨拶が遅れました。俺は彼女と同じ冒険者のリーと申します」

 ぺこりと丁寧にお辞儀をする。
 リーさんって、外面いいよねぇ……。

 「それでなんで、マルモンドさんまで?」
 「うん? リーくんが君の所に行くって言うのでな。一緒について来た」

 リーくんって……。まあそれはどうでもいいとして、一緒について来た理由を聞いたんだけどなぁ。暇だったんだねきっと。

 「あ、どうぞこちらへ」

 食卓テーブルしかないので、いつも父さんと母さんが座っている椅子を進める。

 「あ、俺はいいです」

 そう言って鋭い視線を私に送って来た。早く食べろって事みたい。
 あぁまったりした朝の時間が……。

 仕方なく残りの朝ごはんを口に放り込み、朝ごはんを完了させる。

 「行って来ます!」

 父さんと母さんに手を振り、私達は馬車乗り場に向かう。

 「よく家がわかったわね」
 「うん? 君の住所は把握していたからね」

 リーさんがつらーっとして言った。……なんで把握してるの? 一緒に王都に行く事になったとしても、住所は関係ないよね?
 ……本当に私の為を思ってやってくれたのかな? まさか他に王宮に入れたくない理由があって、邪魔したとかないよね?
 でも……。

 少し前を歩くリーさんの背中を見つめる。

 彼は、職をなくした。
 もし邪魔したのならそこまでして? って事だけど、まあこれは結果そうなったから、そうなると思わなかったのかもしれないし。いや思ってなかったよね。昨日の反応を見ると。
 はぁ……。

 「もう、朝からため息しないでよ」

 リーさんは、振り向き私に言った。

 「今日は、これから仕事を探しに行くんだから。そこでして……」
 「そこでって……」

 その意味は、着いてわかった。

 馬車に乗り揺られる事一時間。マッターリ街の冒険者ギルドの前に着いた。

 「ワシは、ここでいい。用事もないしな」

 中に入ろうとすると、マルモンドさんがそう言って、手を振る。
 じゃ、何しについて来たんですかぁ?

 「そうですか。では、ここで。荷物は後で取りに伺います」
 「うん? 行くところがないのなら今日も泊まると良い。何なら明日も」
 「そんな事言ったら本気にして、居座っちゃいますよ?」

 リーさんがそう言うと、マルモンドさんは二カッとした。
 いいって事みたい。

 「わかりました。お言葉にまた甘えさせて頂きます」

 マルモンドさんは、リーさんの言葉にうんうんと頷く。

 「どうせ。暇なのだろう。畑でも手伝ってくれたらそれでいい」
 「……わかりました。二人でお手伝いしますね」

 なるほど。宿泊代の代わりね……って!

 「二人!?」
 「君にも原因あるんだから。それに師匠なんでしょ?」

 昨日は、私のせいじゃないって言っていたのに……。
 マルモンドさんがジッとこっちを見ている。

 「……一緒に頑張ります」

 ……畑仕事したくないから冒険者になったのに!!

 「じゃ後で」

 私達は、マルモンドさんに見送られギルドの中に入った。

 「俺はカウンターに用事あるから、君は掲示板を先に見ていなよ」

 リーさんは、左奥を指差す。そこには掲示板があった。
 私は頷くと、掲示板に向かう。それには、仕事内容が書かれた紙が張り出されている。人数は一人から二人。
 って、これ力仕事ばっかり! 冒険者の仕事とは程遠いと思われるものばかりなんですが!

 はぁ……。
 この中から選ぶのか。

 「だから言ったでしょ。ここでしてって」

 後ろからリーさんがそう言った。もう用事が終わったみたいね。

 「二人以下の仕事は個人用として扱われて張り出される。三人以上は、カムラッドの仕事になる」
 「詳しいね」
 「昨日まで職員でしたので、知識だけはあります」

 あぁ……そうでした。

 「リー」

 突然声を掛けられ振り向くと、そこにはアーチさんが立っていた。
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