【完結】 ご存知なかったのですね。聖女は愛されて力を発揮するのです

すみ 小桜(sumitan)

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第二話

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 とても機嫌がいいお義母様。理由など聞かなくてもわかっています。明日、リンナールと王太子ヘルーラド様の婚約発表があるからでしょう。
 王太子様の婚約発表は、特別なモノ。リンナールが犯罪者にでもならない限り、解消される事はないのですから。
 万々歳でしょう。

 お義母様の事はいいでしょう。そう思い込んで・・・・・いらっしゃるのでしょうから。問題はお父様ですわ。
 なので今日中にちゃんとお話をしなくてはなりません。

 「お父様、お話があります」

 「リンリーか。わかっている王太子様との婚約の事だろう。すまないな」

 「宜しいのですか? お父様には聖女を見守るというお役目がるのでは、ないのですか?」

 「………」

 お父様は何も言わず俯いた。

 私の本当のお母様は、私が一歳になる頃病気でなくなったそうです。そのお母様が、私に宛てた手紙を10歳の時に読みました。
 その手紙は、封印されていて私でないと封が開けられない様になっていたのです。いえ、正確には聖女・・である事が条件のようでした。

 お手紙には、聖女について書いてありました。

 聖女は、女性に受け継がれていきます。
 その昔、聖女だったお妃様は自分の娘を里子に出しました。自分が亡き後、その娘が聖女として力を引き継ぎますが、女性だけなので彼女が王女だと困るのです。
 なぜならアンドルダール国は、男性が王位を受け継ぐ事になっているからです。力関係が壊れます。

 本当に聖女の力必要になった時に、聖女の力を引き継いだ娘と王族が結婚出来る仕組みを作られました。
 聖女の家系は、婿をとり血を絶やさない様にしてきたのです。

 この内容からいくと、本来なら聖女である私がヘルラード様と結婚しないといけなかったのです。

 お義母様とリンナールは、フォオルソード家の血を継いでいれば聖女になれる。もっと言えば、その力は王族と結婚した時に発揮されると思っているようでした。
 傍から見れば、聖女の血筋の者がお妃になり、力を発揮していたのですから。

 ですが、お父様とお義母様との間に生まれたリンナールには聖女の血は流れていないのです。
 その事はもちろん、お父様は知っておいでです。

 いえ、この仕組みを熟知している王家の者は知っているはずなのです。
 知っていて、この仕組みを壊したのです!

 「止めるべきではなかったのですか?」

 「私に何ができる? 陛下は知っていてヘルラード様の想いの方をお取りになった。形だけでいいと」

 「でしたら、ご自分で対策を取る様に進言して下さい」

 「それは言っておいた。どちらにしても聖女には力はないからと言われてな」

 がっくしと肩を落とし、お父様は言われました。
 お母さまさえ生きていれば、違ったのかもしれません。
 まあ生きていらっしゃれば、リンナールは存在しておりませんけどね。
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