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第二章 マルとバツ。とんだハプニング!?

第一一話

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 三〇分ほどコボルトと格闘していた。

 「てーい!」

 コボルトが俺の刀で切られ倒れた。だいぶ森の中での戦闘になれてきた。
 うん? コボルトが倒れていたところに何かが落ちている。

 「リンゴ?」

 俺は左手で拾い上げる。

 『戦利品です』

 「おぉ! って三〇分してリンゴ一個かよ!」

 『まさにその通りでございます。経験値もゼロですので』

 「え!」

 『コボルトは、六レベル以上のプレイヤーには、経験値は入りません』

 そうだったのか。まあ入っても一か二だと思っていたから別にいいが。

 討伐クエストでエンカウントするモンスターからは、ドロップは一切ない仕様だ。因みに採取のクエストの時は、通常のエンカウントでドロップ率が上がる、または追加される仕様だ。なので、初のドロップだ。

 リンゴって食べ物なのか? 素材なのか? 俺はふと思い詳細を見てみる。

 ポン。
 《リンゴは、料理の素材です。そのまま食べた時は、満腹度が五%回復します。通常二日で腐ります》

 食べれるみたいだ。取りあえずアイテムボックスに入れておこう。
 さて、次はラビーを狩るかな。ラビーも攻撃が当たれば一撃のはずだ。

 俺は森の奥へ入って行った。

 「だ、誰か……」

 うん? 小さい声だが確かに聞こえた。俺は辺りを見渡す。一〇時の方向で微かに何かが動いた。そっと近づいてみる。

 少女がうずくまっていた!
 黒髪を後ろで一つに束ねていて、紺色の冒険者の服をきている。
 たぶん種族は人間だ。

 「どうした?」

 一応声を掛けてみると、少女は驚いてこっちに振り返った。

 「だ、誰?」

 何か怯えているな?

 「あぁ、俺はキソナって言うけど、もしかしてHP二〇%切ってる?」

 『choose one』では、HP二〇%を切ると攻撃を一番受けていた場所の動きが鈍くなる仕様だ。つまり足に攻撃を受けて二〇%切ると歩けなくなる。因みにこのゲームには、初心者免除みたいな仕様はないので、一レベルでも死亡すればペナルティーが発生し、経験値が減る仕組みだ。まあ一レベルで死亡はまずないだろうけど。

 悪いけど見せてもらうよ。
 ――裏ステータス!


 名前:リナ
 種族:人間
 性別:女性
 年齢:一六歳
 職業:冒険者
 レベル:三
 HP:一一〇
 MP:二〇
 攻撃:二〇
 防御:二〇
 補正:なし
 所得スキル:逃げ足
 取得魔法:なし
 貢献:なし
 二つ名:なし
 経験値:二〇〇
 その他:毒状態


 毒?! なんで? って、なぜHPが満タンにある事になってる?

 『ピピ! 裏だと現在のHPって見れない?』

 『彼女のですか? 見れません』

 「おい! 今HPいくつだ?」

 「……一〇です」

 状況説明を聞くのは後だ!

 「リナに回復魔法!」

 リナの体が光に包まれた。
 多分HPはほぼ全快したはずだ。

 『俺って彼女の表のステータスって見る事出来るか?』

 『魔王の力は裏を見る能力なので、認定書を見せて頂くか、パーティーを組み確認するかの二通りしかございません』

 やはりそうか。

 「あの、ありがとうございました」

 リナは立ち上がり、お辞儀をした。その顔色は悪い。
 これって空腹? っは? 何この子。どうなってるんだ?

 満腹率はゼロ以下にはならず、何かしら食べれば空腹ゼロから回復される。今彼女は空腹になっており、HPが減り続けている事になる。しかも毒にも掛かっている。

 俺はテスターで自分では空腹なった事はなかったが、なった者を見た事がある。今の彼女のように顔が青ざめるようになっていた。

 よくわかんないけど、テスターをしたプレイヤーではなさそうだ。どうして毒にかかったかは謎だが、タード街まで送って行こう。多分敵から攻撃を食らえば死亡する。

 「街まで送って行くからパーティーを組もう。それとこれあげる」

 先ほどゲットしたリンゴだ。どうせ回復五%だし、取りあえず食べれば空腹からは脱出する。

 俺達はパーティーを組んだ。


 名前:リナ
 種族:人間
 性別:女性
 年齢:一六歳
 職業:冒険者
 レベル:三
 HP:九八
 MP:一〇
 攻撃:二〇
 防御:二〇
 補正:なし
 所得スキル:なし
 取得魔法:なし
 貢献:なし
 二つ名:なし
 経験値:二〇〇
 その他:なし


 あれ? 毒が消えている? 俺の回復魔法って、解毒の効果もあったのかよ。魔王補正ってすげぇ。

 「えっと。キソナさんありがとうございます」

 「いえいえ。じゃ行こうか」

 「いた! あそこだ!」

 俺の声と被るように遠くから男の声が聞こえた。聞こえて来た場所に顔を向けると、男二人がこちらに向かってきている。
 ガサガサと聞こえたようだとリナに振り向くと、彼女は男たちと反対側に逃げ出していた! そっちは森の奥だ!

 「おい! 待てって!」

 俺は慌てて、彼女を追いかけた!
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