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俺達は世界に降り立った

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 目の前には広大な大地が広がている。ずっと遠く、地平線辺りがキラキラ輝いているから、もしかしたら海なのかもしれない。

 俺は、高校一年生の高橋梓魔あずま。夏休みを利用して、VRゲームのテスターのアルバイトをする事にした。
 ゲームが出来て、お金が貰えるのだ。幼馴染の一之瀬颯俊さとしと一緒に応募した。
 このゲームには条件が二つあった。
 一つは、ペアを組んでゲームをする事。
 もう一つは、一か月間毎日、一日三時間以上INをする事。
 なので俺は、毎日颯俊の家に通っている。

 俺のキャラ名は、『アズマ』で颯俊は、『サトシ』。ひねりもなくそのままだ。
 このゲームは、開拓ゲームで物を壊し材料を集めて、新しく物を作ったり家を建てたりするらしい。
 で、ここから問題だ。俺達は、与えられたジョブでそれをしなくてはならない。ジョブの相性をテストするからだ。
 俺がダイスマスターで、サトシがカードマスター。
 開拓ゲームに向かないジョブの様だけど、大丈夫だろうか?

 「すげー!!」

 サトシが興奮して叫んでいる。って、何か普段と変わらないな。紺系のブレザーに紺色の髪。顔つきは、写真認証だかをしているので、顔も似ている。

 「お前、凄いな。ゲームキャラって感じ!」

 サトシが俺を見て言った。
 自分の服装を見る為、視線を下に向けた。

 うわぁ。オレンジ系のブレザー。って、まさか髪も?
 それを確かめる為に髪をつまんでみて見た。
 見事にオレンジだ! 服はパステル系で薄いけど、髪はどぎついオレンジだ!

 どうやら色の選択を間違えたかも。一色選べっていうから普段選ばないような色を選んだらこうなった。
 まあ、ピンクよりましか?

 「なあ、早く色々試してみようぜ」

 そう言うとサトシは、パチンと指を鳴らした。いや、実際は音はなってない。
 俺も同じく指を鳴らす。って、俺も鳴らねぇ。
 で、カッコつけた訳ではなく、これでタブレッドが出現する。
 リアルと一緒で、目の前に文字などでない。文字系は、全てこのタブレットに表示されるらしい。

 まずはやり方だな。壊して作るゲーム自体はした事はあるが、VRでは初めてだ。いやVR自体がはじめて。そうこのゲームでVRデビューだ。
 このゲームでは死という概念がない。なので親子とかカップルとかが楽しめるゲームを目指しているようだ。
 なのに俺達は、野郎同士でペア組んじゃったけどな。いいんだ。恋人なんていないから!

 話がそれたが、まずは壊し方だよな。材料を集めないといけない。
 何だこれ、読んでみてわかったけど、俺は壊す専門みたいだ。
 ターゲットを決めて、ダイスを振る。そうすると出目で材料のランクが変わるらしい。めちゃ、ギャンブルじゃん!

 「おれ今の所壊す事しか出来ないみたいだから、そこにある木を壊してみる」

 と、一番近い木を指差した。
 この辺は、空き地の様に地面に少し草が生えた程度で、家一軒分のスペースがある。たぶんここが俺達のテリトリーになるんだと思う。

 「え? そうなの? じゃ、俺は作る方? でもコレクトがどうのって書いてあるんだけど」

 俺達は、タブレットの解説を読んで、初めてジョブの特性を知った。
 そして俺は、破壊のみ。サトシは、コレクトとかだけだったら作れないだろう!!

 「取りあえず、俺、試してみるわ」

 「うんじゃ、俺も行く!」

 試す為木の前まで来た俺は、タブレットを覗く。
 壊す為のスキルの使い方を見る為だ。

 「まずは、ターゲットを決めるか……」

 俺は木を見上げる。取りあえずやってみるか。

 「ターゲットオン!」

 そう言いながら、木を指差した。すると目の前の木がフワッと光を帯びた!

 「おぉ、すげえ!」

 「それ、俺もやりたい!」

 サトシは無理な事を言っている。まあ面白そうと思ったんだろうけど。
 えっと、次は……ダイスを振るか。

 「シャッフル!」

 そう叫ぶと、光を帯びた20センチぐらいの正方形の大きなダイスが目の前に現れ、コロコロと転がった! これもオレンジ色で、ダイスの目? ●が白だ。

 「びっくりした。2?」

 覗き込む様に見ると、スッと消えた。
 俺はタブレットを確認する。出目について書いてあったからだ。
 その項目を見ると、1と6が大当たりらしい。
 じゃ、2って一番悪い数字なのか?

 「おい、アズマ!」

 興奮気味に名前を呼ばれてタブレットから顔を上げれば、木の目の前に枝が落ちていた!
 枝と言っても俺達と同じぐらい太い。
 その枝は、ほんのり光を帯びていた。
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