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王子と一緒に 2
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合格試験という単語は聞いた記憶がある。変なのって思ったから覚えているけど、試験内容は覚えてない!
「その様子だと知らない様だな。6階から少しスライムが強くなる。そのスライムを10階までに一人換算100体倒す試験だ。数のカウントは、魔石だから拾うのを忘れるなよ」
……王子に説明をさせてしまった。なんか情けなくなってきた。こんな事になるなら覚えておくんだったよ。
「ありがとうございます。記憶力が悪くてすみません……」
「君は、面白いな」
面白い!? どこが? つまんないやつだろうに。
何を話していいのかわからないので、後は6階までほぼ無言でついていった。ダンジョンの事を何も知らない僕に、語れるものなどない。
青っぽい光を放つ魔法陣に乗っかると、とうとう6階に着いた。
「あ、赤い……」
さっきまで青いスライムだったのが赤いスライムになっていた。大きさはかわらず小さいけど。
「魔法陣まで蹴散らせながら行くぞ」
蹴散らす? 凄いな。普通は、スライムは雑魚か……。
僕が剣を手に持つと、ガーナラルド王子も剣を手に持った。魔法は使わないんだ。
スライムって弱いけど、小さくて足元にいるから攻撃すると腰にくるんだよね。しかも倒したら小さな魔石を探さないといけない。面倒くさい。
僕達は、黙々と魔法陣に向かいながらスライムを狩って行った。
9階に降りた時には、100体以上になっていた。もう狩らなくてもいいよね?
「あの、ガーナラルド様。僕、100体以上になったので狩るのやめてもいいですか?」
「……驚いたな」
「え? まだ100体になってないですか?」
僕より倒している様に見えたのに。
「いやそうではなくて、自分が終わったから私の手伝いをするとか、自分の魔石を使って下さいとか言わないから驚いたのだ」
どういう事だろう? なぜ僕が、王子の分まで狩らなくてはいけないの? 自分の分だけで精一杯だよ。
「君はすぐに顔に出るな」
ふふふと笑いながら言われた。僕、どんな顔つきだったんだ?
「君は、媚びを売ったりしないのだな。嫌だとすぐに顔に出て、わかりやすい」
げ。嫌な顔つきしちゃっていたのか。
「す、すみません……」
「責めているわけではない。むしろ嬉しい」
「はあ……」
Mっ気がある王子様ですか……。
「なんだその表情は?」
「え……」
「凄く嫌そうだな。何か勘違いをしているみたいだから言っておく。あの三人なら試験だから倒す事をさせても、魔石を拾う事は彼らがするだろう。そういう事だ。だから驚いたのだ」
そこまでするのか……。
覚えがめでたくても別に僕には何のメリットもないからな。指導者になるだけだから。そこまでしなくてもいい。
あ、でも王子にとってそれが普通? でもさっき、嬉しいと言ったよな?
ふと王子を見ると、こっちをじーっと見ていた。
しまった。放っておいてしまった。何か返事が欲しかったのかな?
「えーと。僕には、そんな余裕はありませんでした」
「っぷ」
噴出して笑われてしまった!
僕、そんなに変な事を言ったか?
「百面相していると思ったらそんな答えか」
バカにされてしまった。
まあ試験の事も知らなかったのだから仕方ないけどさ。
「その様子だと知らない様だな。6階から少しスライムが強くなる。そのスライムを10階までに一人換算100体倒す試験だ。数のカウントは、魔石だから拾うのを忘れるなよ」
……王子に説明をさせてしまった。なんか情けなくなってきた。こんな事になるなら覚えておくんだったよ。
「ありがとうございます。記憶力が悪くてすみません……」
「君は、面白いな」
面白い!? どこが? つまんないやつだろうに。
何を話していいのかわからないので、後は6階までほぼ無言でついていった。ダンジョンの事を何も知らない僕に、語れるものなどない。
青っぽい光を放つ魔法陣に乗っかると、とうとう6階に着いた。
「あ、赤い……」
さっきまで青いスライムだったのが赤いスライムになっていた。大きさはかわらず小さいけど。
「魔法陣まで蹴散らせながら行くぞ」
蹴散らす? 凄いな。普通は、スライムは雑魚か……。
僕が剣を手に持つと、ガーナラルド王子も剣を手に持った。魔法は使わないんだ。
スライムって弱いけど、小さくて足元にいるから攻撃すると腰にくるんだよね。しかも倒したら小さな魔石を探さないといけない。面倒くさい。
僕達は、黙々と魔法陣に向かいながらスライムを狩って行った。
9階に降りた時には、100体以上になっていた。もう狩らなくてもいいよね?
「あの、ガーナラルド様。僕、100体以上になったので狩るのやめてもいいですか?」
「……驚いたな」
「え? まだ100体になってないですか?」
僕より倒している様に見えたのに。
「いやそうではなくて、自分が終わったから私の手伝いをするとか、自分の魔石を使って下さいとか言わないから驚いたのだ」
どういう事だろう? なぜ僕が、王子の分まで狩らなくてはいけないの? 自分の分だけで精一杯だよ。
「君はすぐに顔に出るな」
ふふふと笑いながら言われた。僕、どんな顔つきだったんだ?
「君は、媚びを売ったりしないのだな。嫌だとすぐに顔に出て、わかりやすい」
げ。嫌な顔つきしちゃっていたのか。
「す、すみません……」
「責めているわけではない。むしろ嬉しい」
「はあ……」
Mっ気がある王子様ですか……。
「なんだその表情は?」
「え……」
「凄く嫌そうだな。何か勘違いをしているみたいだから言っておく。あの三人なら試験だから倒す事をさせても、魔石を拾う事は彼らがするだろう。そういう事だ。だから驚いたのだ」
そこまでするのか……。
覚えがめでたくても別に僕には何のメリットもないからな。指導者になるだけだから。そこまでしなくてもいい。
あ、でも王子にとってそれが普通? でもさっき、嬉しいと言ったよな?
ふと王子を見ると、こっちをじーっと見ていた。
しまった。放っておいてしまった。何か返事が欲しかったのかな?
「えーと。僕には、そんな余裕はありませんでした」
「っぷ」
噴出して笑われてしまった!
僕、そんなに変な事を言ったか?
「百面相していると思ったらそんな答えか」
バカにされてしまった。
まあ試験の事も知らなかったのだから仕方ないけどさ。
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