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ちょっとだけ見えた希望 1
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次の日、スライムダンジョンに行って驚いた。ガーナラルド王子が来ていたんだ。てっきり昨日だけかと思ったらちゃんと三日間通うらしい。
僕を見かけると、「今日も頑張ろう」と声を掛けてくれて、ダンジョンに潜りに行った。
「じゃ、俺達も行くか」
「はい……」
「まずは、そのまま2階に直行だな」
そうすれば僕のスキルは増えるからね。
そうだ。毎日宝箱増えるんだよね? だったら下に降りたらサーチしてみよう。昨日は2階しかサーチしなかったけど、今日は5階までしてみるかな。
魔法陣で僕達は2階に降りた。
さてと……サーチ。
……うん? 表示されないな。
「サーチ」
「どうだ? 宝箱はあるか?」
「うーん。変だな。表示されない」
「うん? 表示されない? ちょっとステータス出して見ろ」
「うん。ステータス」
HP:25/25
MP:5/5
体力:108
魔力:10
腕力:6
素早さ:60
スキル増殖
バイバイ
「え……」
「なんだそのスキル……」
僕もレメゼールさんも驚いた。
まさか昨日と違うスキルとは思わなかったよ! しかも何その不吉なスキル名は!
「毎回違うのか……固定じゃないとすれば、それはそれで厄介だな。計画が立てられない」
うーんと腕組をして難しい顔つきでレメゼールさんが言う。
もしかしたらサーチも鑑定も、もう出て来なかったりして。一度きりのスキルだとしたらあんまりだ。
「で、バイバイってどんなスキル?」
「え? 確認するんですか?」
どうせ凄くたってここでは役に立たない。使わないからね。しかもダンジョンから出れば、なかった事になる。はぁ……。
「バイバイの詳細」
■バイバイ ダンジョンを出るまで素早さが倍になる。
あぁ。よく見れば、確かに倍になっている。このスキルが消えるまでは、倍でいられるって事か。スライム相手にこのスキルは必要ないな。
「これまた凄いスキルだな」
「凄いけど、必要ない」
「確かにそうかもしれないけど、考えようだぞ。例えば素早さがあれば早くダンジョン内を移動できる。倍にって事は、10階まで行けた時間で20階まで行けるんだぞ? うまく行けばいい装備を手に入れれるかもしれない」
それはみなさんの考えであって、僕はどっちにしても5階までしか行かない予定だし、もう出てこないかもしれないから全く意味がない。
「……なんていうかな。宝の持ち腐れ?」
「え?」
「凄いスキルなのに、本人はそれを活用する気がないようだからさ」
そうは言ってもね。ダンジョンに慣れてない僕が、毎回違うスキルを使わされるんだ。どんだけ大変だと思うんだよ。
一緒にパーティーを組む相手もいないし、一人なら安全を選ぶだろう?
そうすると必然的に、5階までとかになる。
それに使えるスキルが当たるかどうかわからないから、スキルをあてに出来ない。そうなれば、スキルに頼らなくても倒せるモンスターのダンジョンに行くだろうに。
「僕は、レメゼールさんと違って初心者なんだから毎回違うスキルを駆使するなんて無理。そうしたらスキルに頼らなくていいダンジョンに行くことになるから結局スキルは使わないんだよ」
「そっか。だったらギルドに所属したらどうだ?」
「ギルド?」
「やっぱり覚えてないんだな……」
確かにその単語には聞き覚えはあるけど、どんな意味だったか覚えてない。
「ギルドは、パーティーとは違ってずっと一緒に組む仲間だ。資金など出し合い、装備品を整えたり必要なモノを買ってみんなで使う。もちろん、沢山稼げば分け合う。ギルドにはランクがあって、ランク10なら10階まで行った事があるギルドだ」
なるほど。でも僕と組むメリットが相手にないんじゃ、受け入れてくれないだろうに。
僕を見かけると、「今日も頑張ろう」と声を掛けてくれて、ダンジョンに潜りに行った。
「じゃ、俺達も行くか」
「はい……」
「まずは、そのまま2階に直行だな」
そうすれば僕のスキルは増えるからね。
そうだ。毎日宝箱増えるんだよね? だったら下に降りたらサーチしてみよう。昨日は2階しかサーチしなかったけど、今日は5階までしてみるかな。
魔法陣で僕達は2階に降りた。
さてと……サーチ。
……うん? 表示されないな。
「サーチ」
「どうだ? 宝箱はあるか?」
「うーん。変だな。表示されない」
「うん? 表示されない? ちょっとステータス出して見ろ」
「うん。ステータス」
HP:25/25
MP:5/5
体力:108
魔力:10
腕力:6
素早さ:60
スキル増殖
バイバイ
「え……」
「なんだそのスキル……」
僕もレメゼールさんも驚いた。
まさか昨日と違うスキルとは思わなかったよ! しかも何その不吉なスキル名は!
「毎回違うのか……固定じゃないとすれば、それはそれで厄介だな。計画が立てられない」
うーんと腕組をして難しい顔つきでレメゼールさんが言う。
もしかしたらサーチも鑑定も、もう出て来なかったりして。一度きりのスキルだとしたらあんまりだ。
「で、バイバイってどんなスキル?」
「え? 確認するんですか?」
どうせ凄くたってここでは役に立たない。使わないからね。しかもダンジョンから出れば、なかった事になる。はぁ……。
「バイバイの詳細」
■バイバイ ダンジョンを出るまで素早さが倍になる。
あぁ。よく見れば、確かに倍になっている。このスキルが消えるまでは、倍でいられるって事か。スライム相手にこのスキルは必要ないな。
「これまた凄いスキルだな」
「凄いけど、必要ない」
「確かにそうかもしれないけど、考えようだぞ。例えば素早さがあれば早くダンジョン内を移動できる。倍にって事は、10階まで行けた時間で20階まで行けるんだぞ? うまく行けばいい装備を手に入れれるかもしれない」
それはみなさんの考えであって、僕はどっちにしても5階までしか行かない予定だし、もう出てこないかもしれないから全く意味がない。
「……なんていうかな。宝の持ち腐れ?」
「え?」
「凄いスキルなのに、本人はそれを活用する気がないようだからさ」
そうは言ってもね。ダンジョンに慣れてない僕が、毎回違うスキルを使わされるんだ。どんだけ大変だと思うんだよ。
一緒にパーティーを組む相手もいないし、一人なら安全を選ぶだろう?
そうすると必然的に、5階までとかになる。
それに使えるスキルが当たるかどうかわからないから、スキルをあてに出来ない。そうなれば、スキルに頼らなくても倒せるモンスターのダンジョンに行くだろうに。
「僕は、レメゼールさんと違って初心者なんだから毎回違うスキルを駆使するなんて無理。そうしたらスキルに頼らなくていいダンジョンに行くことになるから結局スキルは使わないんだよ」
「そっか。だったらギルドに所属したらどうだ?」
「ギルド?」
「やっぱり覚えてないんだな……」
確かにその単語には聞き覚えはあるけど、どんな意味だったか覚えてない。
「ギルドは、パーティーとは違ってずっと一緒に組む仲間だ。資金など出し合い、装備品を整えたり必要なモノを買ってみんなで使う。もちろん、沢山稼げば分け合う。ギルドにはランクがあって、ランク10なら10階まで行った事があるギルドだ」
なるほど。でも僕と組むメリットが相手にないんじゃ、受け入れてくれないだろうに。
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