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第81話》カースド・バディ
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「入れてくれるかしら」
「えーと……」
「やめておきなさいよ」
困っていると、リラさんが後ろでぼそりと言った。
俺的には、これも縁だと思う。できればやめたい理由を聞いて、それを解決できるなら解決してやめないで仲間になってほしい。
ポイントを寄付してやめると言っているぐらいなのだから悪い人じゃないだろう。
「わかった。入れるよ」
「そんなにポイントほしいの? だったら私のをあげるわよ」
「あのね。そうじゃないから。彼女から話を聞きたいの。ここじゃ話しづらいだろう? ギルド部屋で聞こうかと思って」
「え……」
驚いたのは、モアレさんだ。
「こういう人なのよ。本当に困っちゃうわ」
とミチさんは、仕方がないと納得してくれた。
「やったぁ! 模様替え! じゃなかった、新しいメンバーだ!」
「ママルったらもう……。いいわ。エットがそう言うのなら入れましょう。ただし、モアレが話す気ないならギルドには入らないでほしいわ」
モアレさんが、ジーッと俺達を見つめている。
「話を聞いてどうするの?」
「このゲーム内の事なら解決のお手伝いをしようかなって」
「本当にお人好しなんだから……で、どうするの?」
「……そうね。最後に愚痴を聞いてもらおうかしら」
「では、ようこそ。俺達のギルドへ」
仮だけど、モアレさんがメンバーになった。
□ ◇ □ ◇ □
ギルド部屋にはいると、モアレさんは辺りを見渡した。
「思ったより質素でしょう? で、モアレさんの好きな色って何色?」
「え? 色? 紫かな?」
いきなり色の質問をされて戸惑うも答えてくれた。
「紫か……」
――Aデザイン(紫)の椅子1つ購入しました。
――ギルドコインを2使用して、8になりました。
紫色の椅子が出現する。それをママルさんが、自分の隣に設置した。リラさんとの間だ。
「私、ゲームをやめるっていったよね?」
「でも一つ分椅子足りないし。遠慮しないで座って」
俺もそういいながら白い椅子に腰を下ろす。そうすると、モアレさんも椅子に座った。
「あ、話したくない事は言わなくていいよ。どうしたら解決できると思っているのか、またはこれをどうにかしたいとかあったら話してみて。初心者だから出来ない事もあると思うけど……」
「なるほど。本当にお人好しなのね。いいわ、お話するわ。それでも仲間にしてくれると言うのなら仲間にしてもらうわ」
「まったくもう……」
モアレさんの隣で、リラさんが呟いた。そのリラさんをちらっと見てからモアレさんは、口を開く。
「カースド・バディって知ってる?」
「うーん。知らないかな? ねえ、ナビ。カースド・バディってわかる?」
『本来はそういう装備ではないのですが、そう呼ばれているバディのパッシブがあります。他のプレイヤーから吸収するタイプです』
「他のプレイヤーから吸収? うん? あ、ナビかな?」
ふとモアレさんを見ると、俺を不思議そうに見ていた。
「俺Sランクで、ナビ持ちなんだ。魔法で出せるだけど色々こうやって教えてくれるんだ」
「Sランクですって!」
「私もSランクよ」
「私は、Cだよ」
「さっき言ったでしょ? 私はE。ミチって言うわ」
「Eランク? 悪いけどやっぱり……」
そう言って立ち上がったモアレさんの手をリラさんが掴んだ。
「ランクを聞いて拒否するなんてひどくない?」
「それ、あなたが言う台詞?」
リラさんが言うと、ミチさんが言った。
「そうね。私もちょっと前まではこだわっていたわ。で? カースド・バディ持ちって事かしら?」
「………」
「リラさん、離してあげて。いいよ。Sランクの人に何か言われたのかもしれないし。話したくないら……」
リラさんが、手を離すとモアレさんは叫んだ。
「こうなるなんて思わなかったのよ!」
「ナビがいるから、何かいい方法が聞けるかもしれないわよ」
俺じゃなく、リラさんの台詞だ。
「座りなよ。エットは優しいよ。いつも守ってくれるんだ!」
ママルさんが言うと、モアレさんは座ってくれた。
「本当は私、剣士系だったの……」
そう言って、泣きそうな顔でモアレさんは語り始めた――。
「えーと……」
「やめておきなさいよ」
困っていると、リラさんが後ろでぼそりと言った。
俺的には、これも縁だと思う。できればやめたい理由を聞いて、それを解決できるなら解決してやめないで仲間になってほしい。
ポイントを寄付してやめると言っているぐらいなのだから悪い人じゃないだろう。
「わかった。入れるよ」
「そんなにポイントほしいの? だったら私のをあげるわよ」
「あのね。そうじゃないから。彼女から話を聞きたいの。ここじゃ話しづらいだろう? ギルド部屋で聞こうかと思って」
「え……」
驚いたのは、モアレさんだ。
「こういう人なのよ。本当に困っちゃうわ」
とミチさんは、仕方がないと納得してくれた。
「やったぁ! 模様替え! じゃなかった、新しいメンバーだ!」
「ママルったらもう……。いいわ。エットがそう言うのなら入れましょう。ただし、モアレが話す気ないならギルドには入らないでほしいわ」
モアレさんが、ジーッと俺達を見つめている。
「話を聞いてどうするの?」
「このゲーム内の事なら解決のお手伝いをしようかなって」
「本当にお人好しなんだから……で、どうするの?」
「……そうね。最後に愚痴を聞いてもらおうかしら」
「では、ようこそ。俺達のギルドへ」
仮だけど、モアレさんがメンバーになった。
□ ◇ □ ◇ □
ギルド部屋にはいると、モアレさんは辺りを見渡した。
「思ったより質素でしょう? で、モアレさんの好きな色って何色?」
「え? 色? 紫かな?」
いきなり色の質問をされて戸惑うも答えてくれた。
「紫か……」
――Aデザイン(紫)の椅子1つ購入しました。
――ギルドコインを2使用して、8になりました。
紫色の椅子が出現する。それをママルさんが、自分の隣に設置した。リラさんとの間だ。
「私、ゲームをやめるっていったよね?」
「でも一つ分椅子足りないし。遠慮しないで座って」
俺もそういいながら白い椅子に腰を下ろす。そうすると、モアレさんも椅子に座った。
「あ、話したくない事は言わなくていいよ。どうしたら解決できると思っているのか、またはこれをどうにかしたいとかあったら話してみて。初心者だから出来ない事もあると思うけど……」
「なるほど。本当にお人好しなのね。いいわ、お話するわ。それでも仲間にしてくれると言うのなら仲間にしてもらうわ」
「まったくもう……」
モアレさんの隣で、リラさんが呟いた。そのリラさんをちらっと見てからモアレさんは、口を開く。
「カースド・バディって知ってる?」
「うーん。知らないかな? ねえ、ナビ。カースド・バディってわかる?」
『本来はそういう装備ではないのですが、そう呼ばれているバディのパッシブがあります。他のプレイヤーから吸収するタイプです』
「他のプレイヤーから吸収? うん? あ、ナビかな?」
ふとモアレさんを見ると、俺を不思議そうに見ていた。
「俺Sランクで、ナビ持ちなんだ。魔法で出せるだけど色々こうやって教えてくれるんだ」
「Sランクですって!」
「私もSランクよ」
「私は、Cだよ」
「さっき言ったでしょ? 私はE。ミチって言うわ」
「Eランク? 悪いけどやっぱり……」
そう言って立ち上がったモアレさんの手をリラさんが掴んだ。
「ランクを聞いて拒否するなんてひどくない?」
「それ、あなたが言う台詞?」
リラさんが言うと、ミチさんが言った。
「そうね。私もちょっと前まではこだわっていたわ。で? カースド・バディ持ちって事かしら?」
「………」
「リラさん、離してあげて。いいよ。Sランクの人に何か言われたのかもしれないし。話したくないら……」
リラさんが、手を離すとモアレさんは叫んだ。
「こうなるなんて思わなかったのよ!」
「ナビがいるから、何かいい方法が聞けるかもしれないわよ」
俺じゃなく、リラさんの台詞だ。
「座りなよ。エットは優しいよ。いつも守ってくれるんだ!」
ママルさんが言うと、モアレさんは座ってくれた。
「本当は私、剣士系だったの……」
そう言って、泣きそうな顔でモアレさんは語り始めた――。
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