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第2話 隠れていた印
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なぜか今、ちゃんと説明するからとグレンパール侯爵夫人の隣に座らされている。目の前に座っているのは王妃。
これで緊張するなというのは無理よ。
私が固まっている中、淡々とグレンパール侯爵は話していた。
その内容は、驚くものだった。
私達が生まれたばかりの病院でボヤ騒ぎがあった。もちろんそれは、グレンパール侯爵ご夫妻の子供の事だけど。そこには、数日違いで生まれた双子のサラディラ様とアーデセトル様もいたらしい。
本来なら王宮内で出産するが、双子だろうと思われていたので病院で産むことになった。そんな事を知る者は数人。
そうなれば、ほぼ双子の王子と王女、それに王妃の守りに徹する。
他の者も各々建物からいったん外に出た。だがグレンパール侯爵の子供が一時的に行方不明に!
誘拐かと思いきや、看護師が連れ出してくれていた。安堵するも次の日、自分の子ではないと判明し、子供を連れ出した看護師を捕まえたが子供は殺したといったのだった――。
殺され死んだものだと思っていたが、その子供は生きていて私だったという事らしいけど、どうして私なのかしら? 孤児でもないし。
「こほん。どうして自分の子ではないとわかったかだが、病院では生まれてすぐに赤子に印を施す。それは退院する時に削除する。次の日、その印があるか確かめたところ、なかったというわけだ」
そう陛下が説明してくれたけど、私には印どころか痣の様なものもないんだけどなぁ。
「私には印はありませんが……」
「いや首の後ろにあるはずだ。それは光の魔力に反応する」
「誘拐された赤子の印は削除されていない。まだ残ったままのはず」
陛下の言葉にうなずき、確信したようにグレンパール侯爵が言った。
「ミリルイナ。確認してもよいか?」
そう陛下に言われ素直に頷いた。というか、頷くしかない。でもこれで違うと判明するはず。
「そのままでよい。背を向けよ」
陛下が立ち上がったので、私も立ち上がろうとしたらそう言われ座ったまま下を向く。
首の辺りがざわりとする。
「おぉ!!」
「まあ」
グレンパール侯爵ご夫妻が抱き合っている……。
ま、まさかあるの?
「見てみなさい」
わざわざ二面鏡で王妃が首の後ろを見せてくださった。そこにはくっきりと☆型のマークに数字が入った印が浮かび上がっていた!
「う、うそ!」
どうして? だって、そうなるとお母さんが嘘をついていたって事になるんだけど……。
そう思うと、自然と涙があふれてきた。
愛情があると思っていたけど違うの?
「泣かないで。大丈夫。あなたに会う前にあなたの育ての親に会って来たわ。当時の事を聞いてきたの」
そっと私の手の上に手を重ねて、優しくグレンパール侯爵夫人が言った。
「赤子と一緒に身を投げようとしていた人がいて、とっさに赤子を奪ったそうよ。死んではダメって言ったところ、では子供をお願いしますと去って行った。まさか誘拐された子供だとは知らず、自分の子として育てたそうよ」
え……じゃ、本当に私はお母さんの子ではないの?
「あなたは、正真正銘、私たちの子よ。できれば私たちと暮らしてほしいの」
「今すぐに決断すれとは言わないが、君は侍女をする身分ではないのだよ」
グレンパール侯爵ご夫妻にそう言われても、何と返していいかわからない。身分? 令嬢だから侍女をやめろってこと? ここまでそれなりに苦労してなった。
それに学費などお金がかかったから、稼いで返そうと思っていたのに。
令嬢って、早くて十六には結婚したりしない? 遅くても二十歳までには結婚するわよね? 一緒にいるのって数年でしょう?
「む、無理です。私は今の仕事に誇りを持っています。それに令嬢の教養もありません。今から云々って言っていたら行き遅れになりますよ。私達平民は、結婚できない人も多いけど、令嬢はそうではないでしょう? だとしたら数年ですよね、一緒に居る時間って」
そう言ってしまっていた。
これで緊張するなというのは無理よ。
私が固まっている中、淡々とグレンパール侯爵は話していた。
その内容は、驚くものだった。
私達が生まれたばかりの病院でボヤ騒ぎがあった。もちろんそれは、グレンパール侯爵ご夫妻の子供の事だけど。そこには、数日違いで生まれた双子のサラディラ様とアーデセトル様もいたらしい。
本来なら王宮内で出産するが、双子だろうと思われていたので病院で産むことになった。そんな事を知る者は数人。
そうなれば、ほぼ双子の王子と王女、それに王妃の守りに徹する。
他の者も各々建物からいったん外に出た。だがグレンパール侯爵の子供が一時的に行方不明に!
誘拐かと思いきや、看護師が連れ出してくれていた。安堵するも次の日、自分の子ではないと判明し、子供を連れ出した看護師を捕まえたが子供は殺したといったのだった――。
殺され死んだものだと思っていたが、その子供は生きていて私だったという事らしいけど、どうして私なのかしら? 孤児でもないし。
「こほん。どうして自分の子ではないとわかったかだが、病院では生まれてすぐに赤子に印を施す。それは退院する時に削除する。次の日、その印があるか確かめたところ、なかったというわけだ」
そう陛下が説明してくれたけど、私には印どころか痣の様なものもないんだけどなぁ。
「私には印はありませんが……」
「いや首の後ろにあるはずだ。それは光の魔力に反応する」
「誘拐された赤子の印は削除されていない。まだ残ったままのはず」
陛下の言葉にうなずき、確信したようにグレンパール侯爵が言った。
「ミリルイナ。確認してもよいか?」
そう陛下に言われ素直に頷いた。というか、頷くしかない。でもこれで違うと判明するはず。
「そのままでよい。背を向けよ」
陛下が立ち上がったので、私も立ち上がろうとしたらそう言われ座ったまま下を向く。
首の辺りがざわりとする。
「おぉ!!」
「まあ」
グレンパール侯爵ご夫妻が抱き合っている……。
ま、まさかあるの?
「見てみなさい」
わざわざ二面鏡で王妃が首の後ろを見せてくださった。そこにはくっきりと☆型のマークに数字が入った印が浮かび上がっていた!
「う、うそ!」
どうして? だって、そうなるとお母さんが嘘をついていたって事になるんだけど……。
そう思うと、自然と涙があふれてきた。
愛情があると思っていたけど違うの?
「泣かないで。大丈夫。あなたに会う前にあなたの育ての親に会って来たわ。当時の事を聞いてきたの」
そっと私の手の上に手を重ねて、優しくグレンパール侯爵夫人が言った。
「赤子と一緒に身を投げようとしていた人がいて、とっさに赤子を奪ったそうよ。死んではダメって言ったところ、では子供をお願いしますと去って行った。まさか誘拐された子供だとは知らず、自分の子として育てたそうよ」
え……じゃ、本当に私はお母さんの子ではないの?
「あなたは、正真正銘、私たちの子よ。できれば私たちと暮らしてほしいの」
「今すぐに決断すれとは言わないが、君は侍女をする身分ではないのだよ」
グレンパール侯爵ご夫妻にそう言われても、何と返していいかわからない。身分? 令嬢だから侍女をやめろってこと? ここまでそれなりに苦労してなった。
それに学費などお金がかかったから、稼いで返そうと思っていたのに。
令嬢って、早くて十六には結婚したりしない? 遅くても二十歳までには結婚するわよね? 一緒にいるのって数年でしょう?
「む、無理です。私は今の仕事に誇りを持っています。それに令嬢の教養もありません。今から云々って言っていたら行き遅れになりますよ。私達平民は、結婚できない人も多いけど、令嬢はそうではないでしょう? だとしたら数年ですよね、一緒に居る時間って」
そう言ってしまっていた。
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