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40話 ミチェスラフ殿下視点
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私がパーティーに入場していけば、視線を集めた。
特にエインズワイス侯爵が、熱い視線を送って来る。その視線に気が付いたアイデラが驚いた顔つきになった。
彼女は私が贈ったドレスを着てくれたようだ。
クロリッセ陛下が、アイデラにドレスを贈ったらどうだと言ってきたからそれに乗った。「では我が国グランチェック魔術王国の正装ドレスを」と言えば満足してにんまりとしていたな。
彼女の企みなどわかっている。だから合わせてやった。
「彼は、そこにいるアイデラの婚約者でもあります。お似合いな二人ですね」
「ありがとうございます、女王陛下。できれば、彼女が大人になったらすぐに婚姻したいのですが、よろしいでしょうか」
私は予め、グランチェック魔術王国のドレスを贈るので婚約者だと紹介して欲しいと頼んでおいた。もちろん、こうして誘導しやすいようにね。
アイデラもエインズワイス侯爵も驚いている。最初から私の妻になる事は決定していたというに。
だがエインズワイス侯爵も負けてはいない。最善の手を打って来た。これなら私の元に来るまで守ってくれるだろう。
「ミチェスラフ殿下、素敵なドレスをありがとうございます」
『うん。君と同じ瞳の色でとてもお似合いだ』
『嬉しいです。それにこの国のドレスより動きやすいですね』
『それはよかった。普段着も送ろうか?』
『では、授業の時はそれを着て受けたいと思います』
アイデラはにっこりとして答えた。
やはり彼女は聡いな。突然グランチェック魔術王国語で話しかけてもすんなり返してきた。受け答えが6歳児とは思えない。それに彼女は、去年まで施設にいた。平民が受ける教育さえまともに受けていなかったというに。
半年ほどで、会話ならほぼ完ぺきに我が国の言葉を話せると聞いたが、驚く上達ぶりだな。これならすぐに難しい言葉も使いこなせるようになるだろう。
やはり、私の妻に欲しい。
メレンデレス卿には、感謝しないとな。彼の愚かな一時的な感情で生まれた子。
あのパーティーで、アイデラの賢さを知った。
この瞳が、彼とそっくりで確信に至ったが、エインズワイス侯爵が本人にも隠している様子に違和感を覚えるも、すぐに謎は解ける。
クロリッセ陛下から聞いた、ペンダントの存在だ。
そのペンダントをどちらとも首にかけていない。あれは形見だろう。証拠の品だとはいえ、取り上げはしないだろう。
現に聞いた話では、嫌がるイヴェットから取り上げなかったという。
エインズワイス侯爵の態度を見れば、アイデラを孫と確信している様子。なのでイヴェットから取り上げたのはわかるが、それをアイデラに返さず本人に自身の孫だという事を知らせていない様子。
だとすればペンダントは、彼らの元にないという事になる。
少し強引な手を使わせてもらう事にした。
兄上と私には、やはり差が生じてしまっていたからね。
次期王に選ばれるという事は、本当の意味で我が国のトップに立つのに相応しい者と、認められた事になり大変名誉な事なのだ。
これは、フォルデード王国の即位とは程遠い感情だ。
瞳だけで判断などしない。自身の力でつかみ取る主導権なのだから。
それに兄上は次の準備もぬかりない。王位継承の時までに子を産んでおけば、子供の王位継承権争いの時に自身の子が有利になる。
できるだけ他国から自身が大人だと認められる期間が長い方が色々と動ける。
私が大人として相手してもらえる年頃が王位継承次期なのだ。兄上が王位につけば、私の子もそうなるだろう。
それに兄上が王位についた時と私がついた時の、次の王位継承までの期間は10年違う。これもまた大きな差なのだ。
私が王位継承権を得れば、自身の子に他国と大人として交渉が出来るようになる。
国の為に競い合って王位につきたい、自身の子もそのようにと思ったとしても、できれば自身の子に王になってもらいたい。
それくらいの野心は持っている。
だからこそ、アイデラは手放せない。婚姻は13歳だとしても10歳になったら迎えに行くよ。
私と共に歩んでいけるように、我が国に愛国心を持ってもらわないといけないからね。
目があったアイデラにほほ笑めば、彼女もほほ笑み返してくれる。けど彼女の笑顔は、子供の屈託のない笑みではない。できれば、私には素を見せられる関係になって共に時間を過ごしたいものだ。
特にエインズワイス侯爵が、熱い視線を送って来る。その視線に気が付いたアイデラが驚いた顔つきになった。
彼女は私が贈ったドレスを着てくれたようだ。
クロリッセ陛下が、アイデラにドレスを贈ったらどうだと言ってきたからそれに乗った。「では我が国グランチェック魔術王国の正装ドレスを」と言えば満足してにんまりとしていたな。
彼女の企みなどわかっている。だから合わせてやった。
「彼は、そこにいるアイデラの婚約者でもあります。お似合いな二人ですね」
「ありがとうございます、女王陛下。できれば、彼女が大人になったらすぐに婚姻したいのですが、よろしいでしょうか」
私は予め、グランチェック魔術王国のドレスを贈るので婚約者だと紹介して欲しいと頼んでおいた。もちろん、こうして誘導しやすいようにね。
アイデラもエインズワイス侯爵も驚いている。最初から私の妻になる事は決定していたというに。
だがエインズワイス侯爵も負けてはいない。最善の手を打って来た。これなら私の元に来るまで守ってくれるだろう。
「ミチェスラフ殿下、素敵なドレスをありがとうございます」
『うん。君と同じ瞳の色でとてもお似合いだ』
『嬉しいです。それにこの国のドレスより動きやすいですね』
『それはよかった。普段着も送ろうか?』
『では、授業の時はそれを着て受けたいと思います』
アイデラはにっこりとして答えた。
やはり彼女は聡いな。突然グランチェック魔術王国語で話しかけてもすんなり返してきた。受け答えが6歳児とは思えない。それに彼女は、去年まで施設にいた。平民が受ける教育さえまともに受けていなかったというに。
半年ほどで、会話ならほぼ完ぺきに我が国の言葉を話せると聞いたが、驚く上達ぶりだな。これならすぐに難しい言葉も使いこなせるようになるだろう。
やはり、私の妻に欲しい。
メレンデレス卿には、感謝しないとな。彼の愚かな一時的な感情で生まれた子。
あのパーティーで、アイデラの賢さを知った。
この瞳が、彼とそっくりで確信に至ったが、エインズワイス侯爵が本人にも隠している様子に違和感を覚えるも、すぐに謎は解ける。
クロリッセ陛下から聞いた、ペンダントの存在だ。
そのペンダントをどちらとも首にかけていない。あれは形見だろう。証拠の品だとはいえ、取り上げはしないだろう。
現に聞いた話では、嫌がるイヴェットから取り上げなかったという。
エインズワイス侯爵の態度を見れば、アイデラを孫と確信している様子。なのでイヴェットから取り上げたのはわかるが、それをアイデラに返さず本人に自身の孫だという事を知らせていない様子。
だとすればペンダントは、彼らの元にないという事になる。
少し強引な手を使わせてもらう事にした。
兄上と私には、やはり差が生じてしまっていたからね。
次期王に選ばれるという事は、本当の意味で我が国のトップに立つのに相応しい者と、認められた事になり大変名誉な事なのだ。
これは、フォルデード王国の即位とは程遠い感情だ。
瞳だけで判断などしない。自身の力でつかみ取る主導権なのだから。
それに兄上は次の準備もぬかりない。王位継承の時までに子を産んでおけば、子供の王位継承権争いの時に自身の子が有利になる。
できるだけ他国から自身が大人だと認められる期間が長い方が色々と動ける。
私が大人として相手してもらえる年頃が王位継承次期なのだ。兄上が王位につけば、私の子もそうなるだろう。
それに兄上が王位についた時と私がついた時の、次の王位継承までの期間は10年違う。これもまた大きな差なのだ。
私が王位継承権を得れば、自身の子に他国と大人として交渉が出来るようになる。
国の為に競い合って王位につきたい、自身の子もそのようにと思ったとしても、できれば自身の子に王になってもらいたい。
それくらいの野心は持っている。
だからこそ、アイデラは手放せない。婚姻は13歳だとしても10歳になったら迎えに行くよ。
私と共に歩んでいけるように、我が国に愛国心を持ってもらわないといけないからね。
目があったアイデラにほほ笑めば、彼女もほほ笑み返してくれる。けど彼女の笑顔は、子供の屈託のない笑みではない。できれば、私には素を見せられる関係になって共に時間を過ごしたいものだ。
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