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31話
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はぁ……。
エインズワイス侯爵が大きなため息をついた。悩ましく頭を抱えている。
「一つ聞いても宜しいか、ミチェスラフ殿下」
「はい。どうぞ」
「その王位継承の事は、メレンデレス辺境伯はご存じで?」
「もちろんです」
「知っていて、彼は私に打診をしてきたと言うのか……」
うん? 打診をしてきた。
え? ではこちらから婚約を持ちかけたわけではなく、ミチェスラフ王子から? しかも間に後見人であるメレンデレス辺境伯を挟んで。
「まさか、彼は謀反を企てているわけではあるまいな」
恐ろしい事をエインズワイス侯爵が口にする。
というか、なぜそこまで飛躍するのよ。
「そんな事を企てる者を後見人にするわけがないだろう。まあ彼に思惑がないわけではないが」
「ミチェスラフ殿下は、その内容をご存じで?」
「さあね。で、どうする? このまま婚約をするというのなら我が国の王位継承権の事を話そう。指名制だという事以外にこれは、あまり知られていないからな」
なんだかどんどん、厄介ごとに巻き込まれていくような気がする。
ここで私が嫌だと言えばきっと、エインズワイス侯爵ならなしにしてくれると思う。けど、王族の婚約を蹴るなんて事をすれば、どうなるか。
「大丈夫。彼女の事は守るよ。ただ知らずに婚約するのはフェアではないと思ったから話したまで」
「そちらで反対の声はでないのでしょうか?」
「出ないよ」
速攻ね。ミチェスラフ王子が誰と結婚しようが関係ない? でも指名制で、王になりたいのよね? それって私と婚約する事にメリットがあるって事? まさか、イヴェットと間違えているとか……ないか。あの時に光魔性を扱えるのがイヴェットだとわかっていて、注意したのだから。
だったらなぜ私なのよ。
「そうですか。しかしフォルデード陛下は、大反対されると思いますよ」
「でしょうね。ですが、ご心配に及びません。ある作戦がございますから。まああなたに恨まれそうですがね」
って、ニヤッとしてミチェスラフ王子が言うものだから、エインズワイス侯爵が青ざめた。
見た目10歳。中身は大人。ミチェスラフ王子って私と同じ転生者じゃないのって思ってしまうほどだわ。
「わかりました。私も腹を括りましょう」
「ありがとうございます。エインズワイス侯爵。必ず彼女を幸せにしてみせます」
「……えぇ。あなたに託します」
託されちゃったよ。
「さてでは、我が国、王位継承権の事についてお話ししましょう。先ほど話したように王によって指名された者が次期王になります。この指名の時期はすでに決まっています」
「そうなのですか? いつでしょう」
「8年後です」
「8年。ミチェスラフ殿下が18歳になる年ですね。あの若すぎませんか……」
「10歳で大人として認められる国ですので。それでは王位継承権を持つ者が誰なのかを話しましょう。まずは、陛下の子供。つまり王子や王女ですね。それと、前回王位継承権を持っていた者の子供も王位継承権を持ちます」
「なるほど。ではミチェスラフ殿下の従兄弟も王位継承権をお持ちという事ですね」
「はい。そうです」
「ただ他国と違うのは、王位継承権は一度きりなのです。つまり王となった者と争った者に継承権はありません」
「なんですと? それでよく、熾烈な争いになりませんね」
エインズワイス侯爵が驚きの声を上げた。
それもそのはず、先ほど私がミチェスラフ王子の婚約者になったとしても、グランチェック魔術王国の者に命を狙われる事はないときっぱりいったのだから。
でも今の話を聞けば、蹴落とすだけで終わるはずもない。次はないのだから。
現王に媚びを売り指名を受ける為に翻弄する事になると思うのだけど。
エインズワイス侯爵が大きなため息をついた。悩ましく頭を抱えている。
「一つ聞いても宜しいか、ミチェスラフ殿下」
「はい。どうぞ」
「その王位継承の事は、メレンデレス辺境伯はご存じで?」
「もちろんです」
「知っていて、彼は私に打診をしてきたと言うのか……」
うん? 打診をしてきた。
え? ではこちらから婚約を持ちかけたわけではなく、ミチェスラフ王子から? しかも間に後見人であるメレンデレス辺境伯を挟んで。
「まさか、彼は謀反を企てているわけではあるまいな」
恐ろしい事をエインズワイス侯爵が口にする。
というか、なぜそこまで飛躍するのよ。
「そんな事を企てる者を後見人にするわけがないだろう。まあ彼に思惑がないわけではないが」
「ミチェスラフ殿下は、その内容をご存じで?」
「さあね。で、どうする? このまま婚約をするというのなら我が国の王位継承権の事を話そう。指名制だという事以外にこれは、あまり知られていないからな」
なんだかどんどん、厄介ごとに巻き込まれていくような気がする。
ここで私が嫌だと言えばきっと、エインズワイス侯爵ならなしにしてくれると思う。けど、王族の婚約を蹴るなんて事をすれば、どうなるか。
「大丈夫。彼女の事は守るよ。ただ知らずに婚約するのはフェアではないと思ったから話したまで」
「そちらで反対の声はでないのでしょうか?」
「出ないよ」
速攻ね。ミチェスラフ王子が誰と結婚しようが関係ない? でも指名制で、王になりたいのよね? それって私と婚約する事にメリットがあるって事? まさか、イヴェットと間違えているとか……ないか。あの時に光魔性を扱えるのがイヴェットだとわかっていて、注意したのだから。
だったらなぜ私なのよ。
「そうですか。しかしフォルデード陛下は、大反対されると思いますよ」
「でしょうね。ですが、ご心配に及びません。ある作戦がございますから。まああなたに恨まれそうですがね」
って、ニヤッとしてミチェスラフ王子が言うものだから、エインズワイス侯爵が青ざめた。
見た目10歳。中身は大人。ミチェスラフ王子って私と同じ転生者じゃないのって思ってしまうほどだわ。
「わかりました。私も腹を括りましょう」
「ありがとうございます。エインズワイス侯爵。必ず彼女を幸せにしてみせます」
「……えぇ。あなたに託します」
託されちゃったよ。
「さてでは、我が国、王位継承権の事についてお話ししましょう。先ほど話したように王によって指名された者が次期王になります。この指名の時期はすでに決まっています」
「そうなのですか? いつでしょう」
「8年後です」
「8年。ミチェスラフ殿下が18歳になる年ですね。あの若すぎませんか……」
「10歳で大人として認められる国ですので。それでは王位継承権を持つ者が誰なのかを話しましょう。まずは、陛下の子供。つまり王子や王女ですね。それと、前回王位継承権を持っていた者の子供も王位継承権を持ちます」
「なるほど。ではミチェスラフ殿下の従兄弟も王位継承権をお持ちという事ですね」
「はい。そうです」
「ただ他国と違うのは、王位継承権は一度きりなのです。つまり王となった者と争った者に継承権はありません」
「なんですと? それでよく、熾烈な争いになりませんね」
エインズワイス侯爵が驚きの声を上げた。
それもそのはず、先ほど私がミチェスラフ王子の婚約者になったとしても、グランチェック魔術王国の者に命を狙われる事はないときっぱりいったのだから。
でも今の話を聞けば、蹴落とすだけで終わるはずもない。次はないのだから。
現王に媚びを売り指名を受ける為に翻弄する事になると思うのだけど。
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