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27話 エインズワイス侯爵視点

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 どうしたものか。
 アイデラとイヴェットの二人に婚約の打診が来た。
 アイデラが孫であるとアーロイズ子爵に聞き、探りを入れる為に茶会を開いたのであろうとは思っていたが、まさかこう来るとはな。

 光魔法を扱えるイヴェットとエステバン殿下を婚約させようとするだろうとは思ってはいた。
 光魔法を扱えるのはなぜか女子に多い。いや文献を見る限り女性だ。
 そして、王家はその光魔法を扱える者を聖女と呼び王子と結婚させていた。その事により、王家の生まれる王女に光魔法を扱える者が産まれる確率が上がった。
 どういう条件でそうなるかはわからない。だが、遺伝は少なからずあるようだ。
 聖女となった王女の婿に大国の王子を迎え、揺るがない国を作り上げて来た。

 だからイヴェットが平民だったとしても聖女として祭り上げ、エステバン王子と結婚させようとするだろうとは思っていたのだが。
 アイデラがイリスの子、つまり私の孫だと確信出来れば、好条件で向こうがイヴェットを嫁に差し出すだろうと企んでいると。
 アイデラが醜聞にならないように、取り計らうとかでな。
 それが、王家からはただ打診が来ただけ。
 そして、アイデラには事もあろうに、アルディネ伯爵家のエドガーとの婚約の打診が来た。

 先日、あんな事を言っておいてよくもまあ、婚約の申し出をしてきたものだ。
 だが困った。普通なら格下の伯爵だ。断ればいいだけ。
 厄介なのが、エドガーの祖母であるアルディネ伯爵夫人と王女殿下の母親が姉妹だという事だ。つまりアルディネ伯爵夫人は王女殿下の叔母にあたる。しかもアルディネ伯爵夫人は、元は侯爵の娘だ。
 断ったとしてもアルディネ伯爵夫人の実家、ゲスバラン侯爵家がしゃしゃり出てくるだろう。だからこそ、王家はアイデラの事にノータッチ。
 しかも断れば、アーロイズ子爵を使ってアイデラのいや娘イリスの醜聞をバラまくに違いない。

 あの時、王女殿下がブラインを後継者にするのかと聞いたのは、この為か。アイデラが私の血を継いでいても後継者にはしないと、言質をとる為。王女殿下に直接そう言ったのだから覆す事はできない。まあする気はないがな。
 アルディネ伯爵夫人は野心のある方。そこと婚約させればアイデラをすぐにでも引き込もうとするだろうな。今から手懐ければ、思いのまま。
 アイデラは、自分が私の孫だとは知らない。今からでも言っておいた方がいいだろうか。ただな。ちゃんとした証拠がまだ手元に戻って来ていない。
 あのペンダントさえあれば……。

 「旦那様。お手紙が届いております」
 「今度は誰からだ……」

 これは、メレンデス辺境伯からのアイデラの婚約の打診だと!?
 グラチェック王国の第二王子ミチェスラフ殿下との婚約……。何! あの子はグラチェック王国の王子だったのか。
 確かメレンデス辺境伯の領地隣りがグランチェック王国だったな。だから直接交流があったのか。
 しかし、嘘っぽいな。ミチェスラフ殿下がアイデラに一目ぼれしたなど。
 まあ顔立ちはイリスに似て美人だがな。

 こっちもこっちで何を企んでいるのやら。
 アイデラが私の孫だろうと推測してきている。だから引き取ったのだろうと。
 しかし、こちらを受ければアルディネ伯爵家の婚約は断れる。しかも何も言い返せないだろうな。

 うーむ。書いてある通りとりあえずは、ミチェスラフ殿下にお会いしてみるか。アルディネ伯爵家でもこちらの動向を監視しているだろう。
 それなら堂々とミチェスラフ殿下とお会いしておき、婚約の話を進めれば良い。
 ただ彼らにメリットがない。まあ王家への当てつけなのだろうが、ミチェスラフ殿下には何も特にならないな。本当に惚れたのだろうか。
 まあ会ってみないとなんとも言えんか。

 私も魔法便で手紙を送り返した。魔法により瞬間的に相手に送るモノだ。これは、送った相手が必ず特定出来るので、なりすましはできない。
 確実ではあるが普通は、知った者同士が行うのだがな。
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