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19話
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その日のディナーは、家族揃って食べた。
思ったけど、イヴェットの食べ方がお淑やかになっている。
ガツガツは食べていない。だが、すべて平らげた。食欲が凄い。
その様子をニコニコと見守るブレナ夫人。
その後、私室へと戻りソフィアに寝かしつけられる。
彼女は、絵本を読んでくれた。ソフィアの声は優しく、いつの間にか眠りに就いてるのだった。
次の日の午後、義兄ブラインの部屋に私達は遊びに来ていた。
私達は並んでソファーに座り、向かい側に座っているブラインが絵本を読み聞かせてくれる。
一生懸命に兄として振舞おうとする姿が可愛らしい。
今のところ、何もされていない。もしかしたらこのまま大丈夫なのかも?
まあアーロイズ子爵みたいにすぐに、何かしてくるわけもないか。
まだエインズワイス侯爵も家にいる事だし。
次の日は、私達のドレスを作る為にデザイナーの人が来た。
イヴェットと私のドレスはブレナ夫人が選んでくれて、同じデザインの色違いがほとんどで、後は数着を自身で選ぶ事に。
「アイデラ様は、どのようなデザインがお好きですか? お色はどう致します?」
自身で数着選んで作れるらしいけど、そんな風に服など買った事がない。一から注文なんて結構難易度が高いんですけど。
「色は、薄いのがいいです」
ブレナ夫人が注文したドレスはどれも濃い色合いのものだった。派手ではないが色違いで並べば目立つのは間違いない。
「あと、軽いのでお願いします」
フリルがたっぷりだとそれだけ生地が多く使われるので重くなる。出来るだけシンプルにという意味で言ったのだけど。
「でしたらこちらの生地はいかがでしょうか。薄く軽いですが、しっかりとした生地です」
私は、それでいいと頷いた。
イヴェットは、嬉々として花柄など選んでいる。施設ではお下がりだし、花柄などなかったものね。
こうして、数時間かけやっと終わった。
「うふふ。私、女の子が欲しかったの。こうやって一緒に選ぶのは楽しいわね」
終わった後、四人でティータイムとなった。
ブレナ夫人が、嬉しそうに言う。
なんだか、凄く歓迎されているような気がするのだけど。
「うん。楽しかった」
「色々ありがとうございます」
「………」
元気よくイヴェットが目を輝かせて頷きながら言う。
私は、へとへとだけどね。
ブラインは、私達がドレス選びをしてる間、教師が来て勉強していて休憩がてら私達と一緒にお茶を飲んでいる。その彼は、つまらなそうだ。
そう言えばブラインの事は何と呼べばいいのだろうか。兄でいいのか?
ブレナ夫人は、自分の事を母親だと思っていいと言っていた。という事は、兄でいいのか?
ドレスの話はつまらないだろうから、何か違う話を振ろうかな。
彼とも仲良くしておかないとね。
「お兄様、あとで……」
「僕は、兄じゃない! 兄と呼ぶな」
ブラインが、私がお兄様と言ったとたん、そう言って私を睨みつけた。
「ブライン!? 仲良くするように言ったでしょう」
その態度に、ブレナ夫人が注意するも知らんぷりをしている。
というか、そこまで怒るのか。たしかに関係的には叔父と姪なのだろうけど、年齢的には兄妹じゃないかぁ。
「ご、ごめんなさいね。ちょっと機嫌が悪い様で」
「うわ~ん」
突然、イヴェットが泣き出した。
久しぶりに、鳴きまね炸裂ね。びっくりしたぁ。
ブレナ夫人が慌てて大丈夫よとイヴェットを抱きしめた。
「怖いよ」
と言って泣いている。
はぁ。私も泣きたい気分だよ。作戦は失敗してしまったのだから。
彼は、ブライン様と呼ばれたかったのね。
そうよね。私達のどちらかに、当主の座を奪われるかもしれないのだから。
兄妹として、仲良しこよしはできないという事なのね。
昨日のは、様子見だったのかしら。
ブラインは、ムッとした様子で立ち上がり、去っていく。
「ブライン! 待ちなさい」
ブレナ夫人が呼び止めるも、フンという感じで背を向けた。
その日からブラインは私達一緒に食事をしなくなり、ブレナ夫人は無口になっていく。何となく居心地が悪い。
これは、やっぱり仲良くするのは無理かもしれない。
思ったけど、イヴェットの食べ方がお淑やかになっている。
ガツガツは食べていない。だが、すべて平らげた。食欲が凄い。
その様子をニコニコと見守るブレナ夫人。
その後、私室へと戻りソフィアに寝かしつけられる。
彼女は、絵本を読んでくれた。ソフィアの声は優しく、いつの間にか眠りに就いてるのだった。
次の日の午後、義兄ブラインの部屋に私達は遊びに来ていた。
私達は並んでソファーに座り、向かい側に座っているブラインが絵本を読み聞かせてくれる。
一生懸命に兄として振舞おうとする姿が可愛らしい。
今のところ、何もされていない。もしかしたらこのまま大丈夫なのかも?
まあアーロイズ子爵みたいにすぐに、何かしてくるわけもないか。
まだエインズワイス侯爵も家にいる事だし。
次の日は、私達のドレスを作る為にデザイナーの人が来た。
イヴェットと私のドレスはブレナ夫人が選んでくれて、同じデザインの色違いがほとんどで、後は数着を自身で選ぶ事に。
「アイデラ様は、どのようなデザインがお好きですか? お色はどう致します?」
自身で数着選んで作れるらしいけど、そんな風に服など買った事がない。一から注文なんて結構難易度が高いんですけど。
「色は、薄いのがいいです」
ブレナ夫人が注文したドレスはどれも濃い色合いのものだった。派手ではないが色違いで並べば目立つのは間違いない。
「あと、軽いのでお願いします」
フリルがたっぷりだとそれだけ生地が多く使われるので重くなる。出来るだけシンプルにという意味で言ったのだけど。
「でしたらこちらの生地はいかがでしょうか。薄く軽いですが、しっかりとした生地です」
私は、それでいいと頷いた。
イヴェットは、嬉々として花柄など選んでいる。施設ではお下がりだし、花柄などなかったものね。
こうして、数時間かけやっと終わった。
「うふふ。私、女の子が欲しかったの。こうやって一緒に選ぶのは楽しいわね」
終わった後、四人でティータイムとなった。
ブレナ夫人が、嬉しそうに言う。
なんだか、凄く歓迎されているような気がするのだけど。
「うん。楽しかった」
「色々ありがとうございます」
「………」
元気よくイヴェットが目を輝かせて頷きながら言う。
私は、へとへとだけどね。
ブラインは、私達がドレス選びをしてる間、教師が来て勉強していて休憩がてら私達と一緒にお茶を飲んでいる。その彼は、つまらなそうだ。
そう言えばブラインの事は何と呼べばいいのだろうか。兄でいいのか?
ブレナ夫人は、自分の事を母親だと思っていいと言っていた。という事は、兄でいいのか?
ドレスの話はつまらないだろうから、何か違う話を振ろうかな。
彼とも仲良くしておかないとね。
「お兄様、あとで……」
「僕は、兄じゃない! 兄と呼ぶな」
ブラインが、私がお兄様と言ったとたん、そう言って私を睨みつけた。
「ブライン!? 仲良くするように言ったでしょう」
その態度に、ブレナ夫人が注意するも知らんぷりをしている。
というか、そこまで怒るのか。たしかに関係的には叔父と姪なのだろうけど、年齢的には兄妹じゃないかぁ。
「ご、ごめんなさいね。ちょっと機嫌が悪い様で」
「うわ~ん」
突然、イヴェットが泣き出した。
久しぶりに、鳴きまね炸裂ね。びっくりしたぁ。
ブレナ夫人が慌てて大丈夫よとイヴェットを抱きしめた。
「怖いよ」
と言って泣いている。
はぁ。私も泣きたい気分だよ。作戦は失敗してしまったのだから。
彼は、ブライン様と呼ばれたかったのね。
そうよね。私達のどちらかに、当主の座を奪われるかもしれないのだから。
兄妹として、仲良しこよしはできないという事なのね。
昨日のは、様子見だったのかしら。
ブラインは、ムッとした様子で立ち上がり、去っていく。
「ブライン! 待ちなさい」
ブレナ夫人が呼び止めるも、フンという感じで背を向けた。
その日からブラインは私達一緒に食事をしなくなり、ブレナ夫人は無口になっていく。何となく居心地が悪い。
これは、やっぱり仲良くするのは無理かもしれない。
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