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12話
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あぁ、すっきりした。
やっぱりお風呂はいいわね。
アーロイズ子爵家では、汚れているのが屋敷に居るのが嫌なのか、湯浴みはさせられた。そう湯をかぶるだけ。石鹸などはなし。
ここに来て綺麗に洗ってもらって、さっぱりだわ。
一緒にもう一度洗ってもらったイヴェットも、髪を魔法で乾かしてもらって上機嫌だ。
「凄いよね、魔法って。私ももう少ししたら習うんだ。私も使える様になるんだよ」
「……そう」
あなたには適性があるから魔法を使えるようになるわよ。
私にはない。そこだけは羨ましい。
「では、行きましょうか」
お風呂からあがったら私室に来るようにエインズワイス侯爵が言っていたらしく、これから二人で向かう。
王都に別邸まであるなんて、王都の端にあるとは言えこの広さ凄すぎる。
玄関から入ると大きなホールがあり、そこから二階へつづく階段で上に上がると、一番最初の部屋がイヴェットの部屋だった。
そこには、勉強机にくつろげるソファーとテーブルセット。それに、お遊び用のラグが敷いてある。
5歳児だからそこで座って遊んでいるらしい。もちろん侍女相手に。
施設では、私や他の子供たちが遊び相手だったものね。
一番年下の私達のちょっとした我儘……たとえば、何して遊ぶかは聞いてくれた。だからイヴェットはそれが当たり前だと思っているだろうから、それが出来ないと泣き叫ぶのだろうなぁ。目に浮かぶ。
施設では、すぐに泣いていたからね。
エインズワイス侯爵の私室は、一番奥だった。
「そこに座りなさい」
部屋に入ると、凄く高そうなソファーが置いてあって、そこに座るように促される。
イヴェットは、喜んでソファーにポンと座った。
深く座ると、背もたれに背を預けお人形の様にソファーの上に足を延ばして座る事になる為、私は膝までしか腰かけなかった。それでも下ろしている足は床から浮いている。
「イヴェット。ここに来るまで手放さなかったペンダントをどうしたか、もう一度教えてくれないか」
「ペンダントは、お姉さんに渡したよ。着替えるのに邪魔になるから外しましょうと言われて、しまっておくって言っていた」
「どこにしまったか見たかね?」
見ていないと、イヴェットは首を横に振る。
ここに来るまでは、エインズワイス侯爵が外して見せて欲しいと言っても、泣いて嫌だと抵抗したのに、知らないお姉さんに渡してそのペンダントをどうしたのかも確認をしていないと聞いたエインズワイス侯爵が、大きなため息をつく。
気持ちがすご~くわかる。私が前世の記憶を思い出し、精神年齢が5歳児ではなくなってから思った事だ。5歳児って我儘って!
食べ物に関して他の人のが欲しいと喚いた事はないけれど、選ぶとなれば我儘を突き通す。まあそれを許していたから、彼女にはそれが当たり前なのかもしれない。
でも、あれは私のだったのだけどね!
はぁ……。
私もつい、ため息をついてしまった。
これで、私が孫だと証明する物がなくなった。ペンダントで証明できたはず。どうやってかは思い出してないけど、手にして調べれば証拠が出て来たと言うのに。
「イヴェット悪い? ごめんなさ~い。うわ~ん」
私達の態度を見て一応謝ってはいるけど、これ叱られない様に先に泣いて謝る彼女の必殺技だ。
困り顔のエインズワイス侯爵は、私達を部屋へ戻した。
ちなみに私達は同室。
部屋の奥に寝室があり、そこで一緒に寝るらしい。
まだ入ってないから見ていないけど、大きくふかふかのベッドがあって、すごいよとイヴェットが言った。
そりゃね。施設では、一つの部屋の床に布団を敷いて寝ていたからね。
「これで夜も寂しくないね」
イヴェットが嬉しそうに言った。
あぁそう言えばそうかもね。今まで一人で寝ていなかったのに、一人で寝れと言われても無理だろう。
きっと侍女が寝かしつけていたに違いない。ご苦労様です。
やっぱりお風呂はいいわね。
アーロイズ子爵家では、汚れているのが屋敷に居るのが嫌なのか、湯浴みはさせられた。そう湯をかぶるだけ。石鹸などはなし。
ここに来て綺麗に洗ってもらって、さっぱりだわ。
一緒にもう一度洗ってもらったイヴェットも、髪を魔法で乾かしてもらって上機嫌だ。
「凄いよね、魔法って。私ももう少ししたら習うんだ。私も使える様になるんだよ」
「……そう」
あなたには適性があるから魔法を使えるようになるわよ。
私にはない。そこだけは羨ましい。
「では、行きましょうか」
お風呂からあがったら私室に来るようにエインズワイス侯爵が言っていたらしく、これから二人で向かう。
王都に別邸まであるなんて、王都の端にあるとは言えこの広さ凄すぎる。
玄関から入ると大きなホールがあり、そこから二階へつづく階段で上に上がると、一番最初の部屋がイヴェットの部屋だった。
そこには、勉強机にくつろげるソファーとテーブルセット。それに、お遊び用のラグが敷いてある。
5歳児だからそこで座って遊んでいるらしい。もちろん侍女相手に。
施設では、私や他の子供たちが遊び相手だったものね。
一番年下の私達のちょっとした我儘……たとえば、何して遊ぶかは聞いてくれた。だからイヴェットはそれが当たり前だと思っているだろうから、それが出来ないと泣き叫ぶのだろうなぁ。目に浮かぶ。
施設では、すぐに泣いていたからね。
エインズワイス侯爵の私室は、一番奥だった。
「そこに座りなさい」
部屋に入ると、凄く高そうなソファーが置いてあって、そこに座るように促される。
イヴェットは、喜んでソファーにポンと座った。
深く座ると、背もたれに背を預けお人形の様にソファーの上に足を延ばして座る事になる為、私は膝までしか腰かけなかった。それでも下ろしている足は床から浮いている。
「イヴェット。ここに来るまで手放さなかったペンダントをどうしたか、もう一度教えてくれないか」
「ペンダントは、お姉さんに渡したよ。着替えるのに邪魔になるから外しましょうと言われて、しまっておくって言っていた」
「どこにしまったか見たかね?」
見ていないと、イヴェットは首を横に振る。
ここに来るまでは、エインズワイス侯爵が外して見せて欲しいと言っても、泣いて嫌だと抵抗したのに、知らないお姉さんに渡してそのペンダントをどうしたのかも確認をしていないと聞いたエインズワイス侯爵が、大きなため息をつく。
気持ちがすご~くわかる。私が前世の記憶を思い出し、精神年齢が5歳児ではなくなってから思った事だ。5歳児って我儘って!
食べ物に関して他の人のが欲しいと喚いた事はないけれど、選ぶとなれば我儘を突き通す。まあそれを許していたから、彼女にはそれが当たり前なのかもしれない。
でも、あれは私のだったのだけどね!
はぁ……。
私もつい、ため息をついてしまった。
これで、私が孫だと証明する物がなくなった。ペンダントで証明できたはず。どうやってかは思い出してないけど、手にして調べれば証拠が出て来たと言うのに。
「イヴェット悪い? ごめんなさ~い。うわ~ん」
私達の態度を見て一応謝ってはいるけど、これ叱られない様に先に泣いて謝る彼女の必殺技だ。
困り顔のエインズワイス侯爵は、私達を部屋へ戻した。
ちなみに私達は同室。
部屋の奥に寝室があり、そこで一緒に寝るらしい。
まだ入ってないから見ていないけど、大きくふかふかのベッドがあって、すごいよとイヴェットが言った。
そりゃね。施設では、一つの部屋の床に布団を敷いて寝ていたからね。
「これで夜も寂しくないね」
イヴェットが嬉しそうに言った。
あぁそう言えばそうかもね。今まで一人で寝ていなかったのに、一人で寝れと言われても無理だろう。
きっと侍女が寝かしつけていたに違いない。ご苦労様です。
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