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11話
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王都まで、2時間で着いた。なんとこの世界には、ポータルがあった。領土と王都を結ぶワープゲート。魔法があるのだからあっても不思議ではないけど、小説では触れられていなかったから驚いた。
王都の近くに出て一時間ほどで王都に入り、私は別邸に連れていかれた。
アーロイズ子爵邸も大きいと思ったけど、その比ではないくらいでかい。門から玄関までが遠いので、そのまま馬車で敷地内に入っていく。
綺麗な花が咲き彩られた庭園。遠くに噴水が見える。
凄いわ。ここにはきっと、ネズミがいる小屋などないと思う。
馬車が玄関の前に停止すると、エインズワイス侯爵が降りる。続いて、侍女と一緒に私も降りた。
屋敷の人達が出て来て出迎える。そこには、イヴェットの姿もあった。
って、何だか見た目が変わったわね。
ちょっとふくよかになり過ぎじゃないかしら?
「あ! アイデラ」
私を見つけると、嬉しそうに駆け寄って来た。
「アイデラもここに来たの?」
「あ、うん……」
エインズワイス侯爵に挨拶しないの?
「元気そうだな」
「おじさん、誰?」
まさかエインズワイス侯爵の顔を忘れてたの? ずっと会っていなかった?
「………」
「イヴェット様、こちら当主のエインズワイス侯爵です」
「トウシュ?」
「お勉強で習ったはずですが……」
執事たと思われる男の人がそう言うと、そういえばと頷く。
「はじめまして、当主様」
いや初めましてじゃないから。
「はぁ……。まあいい。この子もお願いする。同じ待遇でな」
「はい。お任せください」
「では、まず湯船に浸かって体を綺麗にしましょうか」
「わーい。イヴェットも」
侍女が私に言うと、イヴェットも入ると私の手を引っ張った。
この子、何も変わってないんだけど。
「イヴェット様、お待ちください」
振り向けば、エインズワイス侯爵もゆっくりと中へ入って来る。屋敷によって行くようだ。
部屋に着くと、驚く事にポイポイと自分で服を脱ぐイヴェット。
「アイデラ早く~」
「イヴェット様はお入りになりませんよ」
「え~。脱いじゃったもん」
「さあ、アイデラ様も脱ぎましょうね」
あんぐりとしてイヴェットと侍女のやり取りを見ていると、もうひとりの侍女が私の服を脱がせていく。自分で脱げるんだけどね。
結局、イヴェットも入浴する事になった。
湯船は簡単に出来た。魔法で水を汲みそれを温める。なんと便利な。
魔法があるとはいえ全員が使えるわけでもないので、魔法を持った者をたくさん雇えるのは、お金持ちの貴族。アーロイズ子爵家にはいなかった。
「わぁ。アイデラ。凄く汚れてるね? 何して遊んだの?」
「遊んでないよ」
仕事、いや今日は小屋に閉じ込められたんだった。
すっぽんぽんのイヴェットに何か違和感を感じ、じーっと私は見つめる。なんだろうか。
「あ! ペンダントはどうしたのよ!」
「ペンダント?」
それってなーに? っていう顔をしてるんじゃないわよ。
「私のペンダントを奪っておいて、無くしたわけじゃないわよね?」
「……あ! しまってあるよ」
思い出したようにイヴェットがいう。でも怪しいな。本当にしまってあるの?
ここに来て違うものに目移りしたからペンダントに興味がなくなったのだろうと思うけど、あれは形見。そして、私を証明する物なのよ!
「どこに? 部屋にあるの?」
「うーん……そうだ。渡した」
「渡した? だ、誰に?」
渡す相手なんていないでしょう? 私達隠されているんだから。
そう思ったら、侍女を指さした。指を差された侍女が、私という顔をする。
適当に言ってるんじゃないわよ。
「違うみたいだけど?」
「嘘じゃないもん。ここに来た日に預かっておきますって言うから渡したもん。うわ~ん」
また泣き出した。これも変わってないのね。
「ここに来た日の侍女にお渡しになったのですか?」
ちょっと驚いて侍女が言った。
うん? もしかして、ここにいる侍女ではないのかな?
泣きながら頷くイヴェットを見ると、侍女が慌てて出て行った。
なんだろうか。嫌な予感がするわ。
王都の近くに出て一時間ほどで王都に入り、私は別邸に連れていかれた。
アーロイズ子爵邸も大きいと思ったけど、その比ではないくらいでかい。門から玄関までが遠いので、そのまま馬車で敷地内に入っていく。
綺麗な花が咲き彩られた庭園。遠くに噴水が見える。
凄いわ。ここにはきっと、ネズミがいる小屋などないと思う。
馬車が玄関の前に停止すると、エインズワイス侯爵が降りる。続いて、侍女と一緒に私も降りた。
屋敷の人達が出て来て出迎える。そこには、イヴェットの姿もあった。
って、何だか見た目が変わったわね。
ちょっとふくよかになり過ぎじゃないかしら?
「あ! アイデラ」
私を見つけると、嬉しそうに駆け寄って来た。
「アイデラもここに来たの?」
「あ、うん……」
エインズワイス侯爵に挨拶しないの?
「元気そうだな」
「おじさん、誰?」
まさかエインズワイス侯爵の顔を忘れてたの? ずっと会っていなかった?
「………」
「イヴェット様、こちら当主のエインズワイス侯爵です」
「トウシュ?」
「お勉強で習ったはずですが……」
執事たと思われる男の人がそう言うと、そういえばと頷く。
「はじめまして、当主様」
いや初めましてじゃないから。
「はぁ……。まあいい。この子もお願いする。同じ待遇でな」
「はい。お任せください」
「では、まず湯船に浸かって体を綺麗にしましょうか」
「わーい。イヴェットも」
侍女が私に言うと、イヴェットも入ると私の手を引っ張った。
この子、何も変わってないんだけど。
「イヴェット様、お待ちください」
振り向けば、エインズワイス侯爵もゆっくりと中へ入って来る。屋敷によって行くようだ。
部屋に着くと、驚く事にポイポイと自分で服を脱ぐイヴェット。
「アイデラ早く~」
「イヴェット様はお入りになりませんよ」
「え~。脱いじゃったもん」
「さあ、アイデラ様も脱ぎましょうね」
あんぐりとしてイヴェットと侍女のやり取りを見ていると、もうひとりの侍女が私の服を脱がせていく。自分で脱げるんだけどね。
結局、イヴェットも入浴する事になった。
湯船は簡単に出来た。魔法で水を汲みそれを温める。なんと便利な。
魔法があるとはいえ全員が使えるわけでもないので、魔法を持った者をたくさん雇えるのは、お金持ちの貴族。アーロイズ子爵家にはいなかった。
「わぁ。アイデラ。凄く汚れてるね? 何して遊んだの?」
「遊んでないよ」
仕事、いや今日は小屋に閉じ込められたんだった。
すっぽんぽんのイヴェットに何か違和感を感じ、じーっと私は見つめる。なんだろうか。
「あ! ペンダントはどうしたのよ!」
「ペンダント?」
それってなーに? っていう顔をしてるんじゃないわよ。
「私のペンダントを奪っておいて、無くしたわけじゃないわよね?」
「……あ! しまってあるよ」
思い出したようにイヴェットがいう。でも怪しいな。本当にしまってあるの?
ここに来て違うものに目移りしたからペンダントに興味がなくなったのだろうと思うけど、あれは形見。そして、私を証明する物なのよ!
「どこに? 部屋にあるの?」
「うーん……そうだ。渡した」
「渡した? だ、誰に?」
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そう思ったら、侍女を指さした。指を差された侍女が、私という顔をする。
適当に言ってるんじゃないわよ。
「違うみたいだけど?」
「嘘じゃないもん。ここに来た日に預かっておきますって言うから渡したもん。うわ~ん」
また泣き出した。これも変わってないのね。
「ここに来た日の侍女にお渡しになったのですか?」
ちょっと驚いて侍女が言った。
うん? もしかして、ここにいる侍女ではないのかな?
泣きながら頷くイヴェットを見ると、侍女が慌てて出て行った。
なんだろうか。嫌な予感がするわ。
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