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7話
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「また、あなたね! 人の物を盗むなんて!」
「ち、違います!」
「また反省の色がないようね。追い出されないからといい気になっているのね! 反省部屋に入れておきなさい!」
「はい」
「え! 待って! 本当に……」
「いいから来なさい」
私は、ずるずるとメイドに連れていかれる。場所は、敷地内にある窓もない小屋。捨てる粗大ごみを入れてある場所で、彼女らはそこを反省部屋と呼び私を閉じ込めた。
あれから半年。アーロイズ子爵に念願の男児が生まれた。
アーロイズ子爵は大喜びし、カネシャを連れ王都の別邸で暮らしている。どうやら私の為の養育費をカネシャに使って、王都で彼女の教育をしているみたい。
一応、彼の計画は順調なのでしょう。
けどこっちは大変な目に遭っている。
私のせいにして、メイド達が盗みを働いている。それを夫人は、証拠もなしに私のせいにして、このごろはここに閉じ込められていた。
ここ嫌なのよ! 子爵家の敷地内なのにネズミがいるの!
真っ暗だし、ネズミが出るから座るのも嫌。だから突っ立ったまま、数時間過ごすのは地獄。
向こうもそれをわかっていて、嘲笑っている。
普段大人しくて、いじめがいがないらしく、私が反応を見せるこの場所へ入れるのが彼女らの今のブーム。そう思う様にした。早くおさまってよ、そのブーム。
「はぁ。これ5年も続くの? もう脱走して施設に戻っちゃおうかな……」
そうしよう!
私は、光魔法を覚える事もないから、5年後には追い出される。というか、この子爵家だって破産するかもしれない。このままだと、私が盗みをしたせいだと、私にまで被害が来るかも。
私が居た施設は、この区域らしい。まあ馬車で1時間半もかかる場所だけど。
朝、ここを出ていけば、その日のうちに着くでしょう。
なんて考えていたらドアがバンと開き、私は驚いた。
考えがバレた? なんてありもしない事を思ってしまう。
「今すぐ着替えるわよ。来なさい」
ガシッと手を掴まれて、私はあの部屋へ連れていかれた。
エインズワイス侯爵が来た時だけの私の部屋だ。彼か彼の遣いの者が来たみたい。
「さっさと、それを脱いで」
着ていた質素なワンピースを脱ぐと、キレイなドレスを着せられた。
髪も櫛を通す。
「ついて来なさい」
メイドの後をついて行くと、夫人の所へ連れていかれた。
「いい? あなたは余計な事は言わない。いいわね?」
私は、わかったと頷いた。
今度は夫人の後ろについていく。
応接室には、エインズワイス侯爵にアーロイズ子爵も居た。帰って来たんだ。カネシャはいないようだけど。
アーロイズ子爵は、青ざめた顔だ。
あぁ、養育費の件バレたのかしらね。
エインズワイス侯爵は、私を見ると眉間にしわを寄せる。
「私は、あなた達を信頼して彼女を任せたのだが、間違いだったようだな」
「まあ、お待ちください。誤解ですわ。彼女は、王都よりここがいいと……」
「だとしても、私は彼女に貴族の教育を施してほしいとお願いしたのだが、教育どころか世話自体していないようだな。アイデラこちらに来なさい」
チラッと夫人を見れば、ぎろりと睨まれる。
こうなったのは、私のせいではないでしょう。
呼ばれたのだから睨まれたとしても行くしかない。
エインズワイス侯爵の前に立てば、彼は私の手を取った。
「随分と痩せたな。施設にいた時より痩せるとはどういう事だ? それに随分と匂う」
それはすまない。湯浴びは一応してはいるが、さっきまでネズミが居るような場所に居たから匂うんだと思う。
「それに靴……君はいつも何をして過ごしている?」
ジッと見つめられ、エインズワイス侯爵に問われるも何と答えたら正解かわからない。
エインズワイス侯爵が、引き取ってくれるなら素直に話した方がいいけど、そうでないなら夫人達に何をされるかわからない。
それにしても小説では5年間、いや結局ずっとヒロインは放って置かれたはずだけど、やはり小説とは話が変わったのね。
「ち、違います!」
「また反省の色がないようね。追い出されないからといい気になっているのね! 反省部屋に入れておきなさい!」
「はい」
「え! 待って! 本当に……」
「いいから来なさい」
私は、ずるずるとメイドに連れていかれる。場所は、敷地内にある窓もない小屋。捨てる粗大ごみを入れてある場所で、彼女らはそこを反省部屋と呼び私を閉じ込めた。
あれから半年。アーロイズ子爵に念願の男児が生まれた。
アーロイズ子爵は大喜びし、カネシャを連れ王都の別邸で暮らしている。どうやら私の為の養育費をカネシャに使って、王都で彼女の教育をしているみたい。
一応、彼の計画は順調なのでしょう。
けどこっちは大変な目に遭っている。
私のせいにして、メイド達が盗みを働いている。それを夫人は、証拠もなしに私のせいにして、このごろはここに閉じ込められていた。
ここ嫌なのよ! 子爵家の敷地内なのにネズミがいるの!
真っ暗だし、ネズミが出るから座るのも嫌。だから突っ立ったまま、数時間過ごすのは地獄。
向こうもそれをわかっていて、嘲笑っている。
普段大人しくて、いじめがいがないらしく、私が反応を見せるこの場所へ入れるのが彼女らの今のブーム。そう思う様にした。早くおさまってよ、そのブーム。
「はぁ。これ5年も続くの? もう脱走して施設に戻っちゃおうかな……」
そうしよう!
私は、光魔法を覚える事もないから、5年後には追い出される。というか、この子爵家だって破産するかもしれない。このままだと、私が盗みをしたせいだと、私にまで被害が来るかも。
私が居た施設は、この区域らしい。まあ馬車で1時間半もかかる場所だけど。
朝、ここを出ていけば、その日のうちに着くでしょう。
なんて考えていたらドアがバンと開き、私は驚いた。
考えがバレた? なんてありもしない事を思ってしまう。
「今すぐ着替えるわよ。来なさい」
ガシッと手を掴まれて、私はあの部屋へ連れていかれた。
エインズワイス侯爵が来た時だけの私の部屋だ。彼か彼の遣いの者が来たみたい。
「さっさと、それを脱いで」
着ていた質素なワンピースを脱ぐと、キレイなドレスを着せられた。
髪も櫛を通す。
「ついて来なさい」
メイドの後をついて行くと、夫人の所へ連れていかれた。
「いい? あなたは余計な事は言わない。いいわね?」
私は、わかったと頷いた。
今度は夫人の後ろについていく。
応接室には、エインズワイス侯爵にアーロイズ子爵も居た。帰って来たんだ。カネシャはいないようだけど。
アーロイズ子爵は、青ざめた顔だ。
あぁ、養育費の件バレたのかしらね。
エインズワイス侯爵は、私を見ると眉間にしわを寄せる。
「私は、あなた達を信頼して彼女を任せたのだが、間違いだったようだな」
「まあ、お待ちください。誤解ですわ。彼女は、王都よりここがいいと……」
「だとしても、私は彼女に貴族の教育を施してほしいとお願いしたのだが、教育どころか世話自体していないようだな。アイデラこちらに来なさい」
チラッと夫人を見れば、ぎろりと睨まれる。
こうなったのは、私のせいではないでしょう。
呼ばれたのだから睨まれたとしても行くしかない。
エインズワイス侯爵の前に立てば、彼は私の手を取った。
「随分と痩せたな。施設にいた時より痩せるとはどういう事だ? それに随分と匂う」
それはすまない。湯浴びは一応してはいるが、さっきまでネズミが居るような場所に居たから匂うんだと思う。
「それに靴……君はいつも何をして過ごしている?」
ジッと見つめられ、エインズワイス侯爵に問われるも何と答えたら正解かわからない。
エインズワイス侯爵が、引き取ってくれるなら素直に話した方がいいけど、そうでないなら夫人達に何をされるかわからない。
それにしても小説では5年間、いや結局ずっとヒロインは放って置かれたはずだけど、やはり小説とは話が変わったのね。
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