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4話
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とりあえず今日は、二人とも子爵家に泊まる事になった。
初めて湯船につかる。施設では、湯をかけるだけだったから嬉しい。
私達は、侍女にゴシゴシと洗われ小綺麗になった。真新しい寝間着を着て広い寝室で寝る事に。
イヴェットは、興奮しまくりだ。夕飯も今まで見た事がない凄い料理。
彼女はガツガツ食べていたが、私は味わって食べた。というか、お菓子を食べたからおなかに入らない。イヴェットは、よく入るよ。
夜は、同じベッドに二人並んで寝る事になった。
「ねえ。明日もここに居れるかな?」
「さあ?」
彼女が聞いたのは、施設に帰らないでいられるかなって事だろうけど、私にすればどっちが子爵家に残るかだ。
本来は、私が侯爵家に行く。これが逆になれば、もう女神に見捨てられたという事だろうね。
侯爵家の養女になって、光魔法を扱えるようになれば、イヴェットの人生はバラ色だ。
逆に私は、不安しかない人生を送る事になる。
何せ小説の話で、子爵家にイヴェットが養子になったのは、もし彼女が侯爵家の娘だった事を考えてだ。10歳頃にちゃんとアイデラがエインズワイス侯爵の子だと確認が取れ、アーロイズ子爵家ではイヴェットをどうしようと思っていたところに、光魔法が扱えるとわかりそのまま養女として受け入れる。
光魔法を扱える者は、聖女の様な存在。手放すわけがない。
私が子爵家になったとして、小説の様に侯爵家の娘だと判明すればいいけど、そうでなければ、施設に戻される可能性もある。
どうやって判明したか、肝心なところを覚えていないのが恨めしい!
「ところでペンダント返してよ」
「いや。これイヴェットの!」
「何言っているのよ! 私のなのに!」
「違うもん。侯爵家に行くの私だもん」
侯爵家と子爵家の意味もわからないくせに!
エインズワイス侯爵の方が上だと、見てわかったからそう言っているだけ。
さてどうしたらいいのか。
預かると言うエインズワイス侯爵の言葉にも、泣いて抵抗したイヴェット。
その彼女から無理やり奪えば、悪者は私だろう。
なんで、ペンダントを渡しちゃったのよ! バカバカバカ。私のバカ!
次の日、美味しい朝食を頂いた後、イヴェットと別の部屋に連れていかれた。
昨日泊まった部屋より小さく寝室も別になっていない部屋。
「今日からここが君の部屋だよ。アイデラ」
私は驚いて、アーロイズ子爵を見上げた。やっぱりイヴェットはエインズワイス侯爵に引き取られたんだ。
「私が当主よ」
そう言ったのは、夫人だ。隣に立つ夫じゃないと言ったのだろう。
それで思い出した。
なぜアーロイズ子爵が施設に迎えに来たか。
エインズワイス侯爵が行くと目立つからアーロイズ子爵に頼んだ。エインズワイス侯爵と前アーロイズ当主は顔なじみだった。前アーロイズの当主は、5年程前に亡くなっているはず。この世界は、女性も家名が継げる。だから娘が継いだのだ。
散財して借金まであったので、借金を肩代わりしてもらう代わりに引き受けた。施設に子供を迎えに行くだけだ。そんな簡単な事で借金がチャラになるなら引き受けるだろう。
そして、私を養女にすればこれからも養育費としてお金を受け取れる。つまり私は金づる。
「私のいう事を聞くように。いいわね」
「はい」
「私の言う事も聞くのよ」
そう偉そうに言うのは、私と大した変わらない年の令嬢。本当の娘だ。年齢は一つ上だったか……。よく覚えていないや。
「私の事は、お嬢様と呼ぶように。間違ってもお姉さまなんて呼ばないでよね」
呼ばないわよ。私からしたらガキなんだし。
「大丈夫よ、カネシャ。私の子はあなただけよ。この子はただの居候。ではあなた、後はお願いね」
「あぁ……」
夫人は、子供と一緒に部屋を出て行った。
初めて湯船につかる。施設では、湯をかけるだけだったから嬉しい。
私達は、侍女にゴシゴシと洗われ小綺麗になった。真新しい寝間着を着て広い寝室で寝る事に。
イヴェットは、興奮しまくりだ。夕飯も今まで見た事がない凄い料理。
彼女はガツガツ食べていたが、私は味わって食べた。というか、お菓子を食べたからおなかに入らない。イヴェットは、よく入るよ。
夜は、同じベッドに二人並んで寝る事になった。
「ねえ。明日もここに居れるかな?」
「さあ?」
彼女が聞いたのは、施設に帰らないでいられるかなって事だろうけど、私にすればどっちが子爵家に残るかだ。
本来は、私が侯爵家に行く。これが逆になれば、もう女神に見捨てられたという事だろうね。
侯爵家の養女になって、光魔法を扱えるようになれば、イヴェットの人生はバラ色だ。
逆に私は、不安しかない人生を送る事になる。
何せ小説の話で、子爵家にイヴェットが養子になったのは、もし彼女が侯爵家の娘だった事を考えてだ。10歳頃にちゃんとアイデラがエインズワイス侯爵の子だと確認が取れ、アーロイズ子爵家ではイヴェットをどうしようと思っていたところに、光魔法が扱えるとわかりそのまま養女として受け入れる。
光魔法を扱える者は、聖女の様な存在。手放すわけがない。
私が子爵家になったとして、小説の様に侯爵家の娘だと判明すればいいけど、そうでなければ、施設に戻される可能性もある。
どうやって判明したか、肝心なところを覚えていないのが恨めしい!
「ところでペンダント返してよ」
「いや。これイヴェットの!」
「何言っているのよ! 私のなのに!」
「違うもん。侯爵家に行くの私だもん」
侯爵家と子爵家の意味もわからないくせに!
エインズワイス侯爵の方が上だと、見てわかったからそう言っているだけ。
さてどうしたらいいのか。
預かると言うエインズワイス侯爵の言葉にも、泣いて抵抗したイヴェット。
その彼女から無理やり奪えば、悪者は私だろう。
なんで、ペンダントを渡しちゃったのよ! バカバカバカ。私のバカ!
次の日、美味しい朝食を頂いた後、イヴェットと別の部屋に連れていかれた。
昨日泊まった部屋より小さく寝室も別になっていない部屋。
「今日からここが君の部屋だよ。アイデラ」
私は驚いて、アーロイズ子爵を見上げた。やっぱりイヴェットはエインズワイス侯爵に引き取られたんだ。
「私が当主よ」
そう言ったのは、夫人だ。隣に立つ夫じゃないと言ったのだろう。
それで思い出した。
なぜアーロイズ子爵が施設に迎えに来たか。
エインズワイス侯爵が行くと目立つからアーロイズ子爵に頼んだ。エインズワイス侯爵と前アーロイズ当主は顔なじみだった。前アーロイズの当主は、5年程前に亡くなっているはず。この世界は、女性も家名が継げる。だから娘が継いだのだ。
散財して借金まであったので、借金を肩代わりしてもらう代わりに引き受けた。施設に子供を迎えに行くだけだ。そんな簡単な事で借金がチャラになるなら引き受けるだろう。
そして、私を養女にすればこれからも養育費としてお金を受け取れる。つまり私は金づる。
「私のいう事を聞くように。いいわね」
「はい」
「私の言う事も聞くのよ」
そう偉そうに言うのは、私と大した変わらない年の令嬢。本当の娘だ。年齢は一つ上だったか……。よく覚えていないや。
「私の事は、お嬢様と呼ぶように。間違ってもお姉さまなんて呼ばないでよね」
呼ばないわよ。私からしたらガキなんだし。
「大丈夫よ、カネシャ。私の子はあなただけよ。この子はただの居候。ではあなた、後はお願いね」
「あぁ……」
夫人は、子供と一緒に部屋を出て行った。
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