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第39話 ☆でなくても凄いんです
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「誰もそんな事を言ってないだろう」
モーアンドが呆れてそう言うと、マイゼンドはじゃなぜ驚かれたという顔をする。
「ほら、アーシャリー出番だ」
モーアンドに言われ、私? と自分を指さした。
「あのね、本来ならモンスターが集まったら終了なのよ。その間に採取できる数が普通は、一人二個ぐらいなの。上限ではなくて能力的な感じ? だから上限はないわ」
「あ、そうなんだ。じゃ返さなくていいんだ」
三人は、そうだとうんうんと頷く。
「しかしどういう事でしょうね。たぶん拾うというスキルが関係しているとは思いますが、聞いた事がありませんね」
シバリが首を傾げた。
冒険者協会で働いているので、ある程度のスキルや魔法の効果などの詳細を把握しているが、拾うは拾っても疲れなくなるスキルなのだ。
「たしか、拾うのスキルは10レベル以上だったな」
「はい。13レベルです」
モーアンドの質問にマイゼンドは答えた。
「拾うスキルなど育てる奴はほぼいないだろうから、レベルが上がって何かしらの効果がついたのかもな」
「なるほど。そう言えば、拾うを持った方は数名知っていますが、全員10レベル以下ですね」
『拾う』スキルは、戦闘向けでない上に一番最初に手に入れるスキルで手にした者は少ないだろう。そして、もしそうだとしても、普通は10レベルなどあっという間に到達するので、新たに覚えるスキルか魔法に期待して使わない。いや、いもやゴミでも拾えばカウントされると気づいたのは、もしかしらマイゼンドぐらないのかもしれない。ならほとんど上がらないスキルだ。
「マイゼンド、拾うの説明は何と書いてある? そのまま読み上げてくれ」
「はい。拾う行為を行っても疲れない。目的のアイテムの取りこぼし防止:半径0.5メートル。ラッキーアイテム取得率3%」
モーアンドに言われて読み上げたマイゼンドだが、彼自身も驚いていた。拾うのスキルの効果など最初のみ確認しただけで、その後確認などしていない。拾っても疲れない以外の記載が増えていたのだ。
「なんだろう? このラッキーアイテム取得率って……」
そう本人が呟くので、彼らもマイゼンドが拾うの詳細を知らずにいたのだとわかった。
「半径0.5メートルとは言え、これってサーチ系と同系と言う事でしょうか。意外と凄いスキルだったんですね」
驚いてシバリが言う。
「いや、それ以上だろう。サーチはわかるだけだが、拾うは必ず拾えるという事だろう」
「勘で拾っていたわけではなかったのね。☆でなくても凄いスキルを持っているなんて……」
アーシャリーは、改めて凄い人物とパーティーを組んだんだと驚いていた。
「しかしよく上げましたね」
シバリが、そういうのもごもっともだ。10レベル以上に上げるのには500回は拾う行為をしなくてはいけない。少ないようだが魔鉱石の様な採取でないと、拾う行為にならない。薬草は、行為的には摘むだからだ。
また、自分で倒したモンスターから素材を取るのは、拾うにカウントされない為、拾うのスキルは上がりづらかった。
「★なしで、いもやゴミを拾って上げました」
マイゼンドがそう答えると、知っているモーアンドは驚かないが、シバリとアーシャリーは目を丸くする。
「僕、攻撃力がなかったからそういう仕事ばかりしていたんだ。そうしたら上がったんだ。って、もしかして持っている人はしてないの?」
「してないというより、知らないのだろう。君の様に、攻撃力もない冒険者は少ないからな」
モーアンドの言葉になるほどと、マイゼンドは頷く。
「さすが常識にとらわれない発想の持ち主ですね。驚きです。採取専門でやっていくといいでしょう」
「はい」
シバリが言うと、元気よくマイゼンドが返事を返すも、採取専門などあまりないパーティーだった。基本冒険者は、モンスターを倒す職業だからだ。
「まあそうね。攻撃力もないんだし」
攻撃力があるとはいえ、決して自分も強くないアーシャリーは、採取専門でもいいかと思った。
「ではこの魔鉱石で防具を作ってはいかがでしょうか? 残りは売って防具を作る資金に回せば、かなりいい防具が作れますよ」
「そうなんだ。アーシャリーさん、かっこいいのにしましょうね!」
「え? 私のも作る気?」
「うん? 作るんだよね? あ。お揃いじゃなくてもいいから、だ、大丈夫です!」
「別にそういう事を言ったのではないから!」
二人して赤面して叫ぶ。
「息ぴったりだな」
クククっと笑いながらモーアンドが言うと、さらにアーシャリーは顔を染めた。
「俺があげたお金は、当面の生活資金しな。お金の管理は、アーシャリーに任せたぞ」
「はい。きっちり管理します」
「え? 僕の分も」
「もちろん」
「美味しいモノ食べたいんだけど」
「そうね。一個だけね」
「え!? 一個?」
さっそく、美味しい物でもいっぱい買って食べようと思っていたマイゼンドは、がっくしと項垂れるのだった。
モーアンドが呆れてそう言うと、マイゼンドはじゃなぜ驚かれたという顔をする。
「ほら、アーシャリー出番だ」
モーアンドに言われ、私? と自分を指さした。
「あのね、本来ならモンスターが集まったら終了なのよ。その間に採取できる数が普通は、一人二個ぐらいなの。上限ではなくて能力的な感じ? だから上限はないわ」
「あ、そうなんだ。じゃ返さなくていいんだ」
三人は、そうだとうんうんと頷く。
「しかしどういう事でしょうね。たぶん拾うというスキルが関係しているとは思いますが、聞いた事がありませんね」
シバリが首を傾げた。
冒険者協会で働いているので、ある程度のスキルや魔法の効果などの詳細を把握しているが、拾うは拾っても疲れなくなるスキルなのだ。
「たしか、拾うのスキルは10レベル以上だったな」
「はい。13レベルです」
モーアンドの質問にマイゼンドは答えた。
「拾うスキルなど育てる奴はほぼいないだろうから、レベルが上がって何かしらの効果がついたのかもな」
「なるほど。そう言えば、拾うを持った方は数名知っていますが、全員10レベル以下ですね」
『拾う』スキルは、戦闘向けでない上に一番最初に手に入れるスキルで手にした者は少ないだろう。そして、もしそうだとしても、普通は10レベルなどあっという間に到達するので、新たに覚えるスキルか魔法に期待して使わない。いや、いもやゴミでも拾えばカウントされると気づいたのは、もしかしらマイゼンドぐらないのかもしれない。ならほとんど上がらないスキルだ。
「マイゼンド、拾うの説明は何と書いてある? そのまま読み上げてくれ」
「はい。拾う行為を行っても疲れない。目的のアイテムの取りこぼし防止:半径0.5メートル。ラッキーアイテム取得率3%」
モーアンドに言われて読み上げたマイゼンドだが、彼自身も驚いていた。拾うのスキルの効果など最初のみ確認しただけで、その後確認などしていない。拾っても疲れない以外の記載が増えていたのだ。
「なんだろう? このラッキーアイテム取得率って……」
そう本人が呟くので、彼らもマイゼンドが拾うの詳細を知らずにいたのだとわかった。
「半径0.5メートルとは言え、これってサーチ系と同系と言う事でしょうか。意外と凄いスキルだったんですね」
驚いてシバリが言う。
「いや、それ以上だろう。サーチはわかるだけだが、拾うは必ず拾えるという事だろう」
「勘で拾っていたわけではなかったのね。☆でなくても凄いスキルを持っているなんて……」
アーシャリーは、改めて凄い人物とパーティーを組んだんだと驚いていた。
「しかしよく上げましたね」
シバリが、そういうのもごもっともだ。10レベル以上に上げるのには500回は拾う行為をしなくてはいけない。少ないようだが魔鉱石の様な採取でないと、拾う行為にならない。薬草は、行為的には摘むだからだ。
また、自分で倒したモンスターから素材を取るのは、拾うにカウントされない為、拾うのスキルは上がりづらかった。
「★なしで、いもやゴミを拾って上げました」
マイゼンドがそう答えると、知っているモーアンドは驚かないが、シバリとアーシャリーは目を丸くする。
「僕、攻撃力がなかったからそういう仕事ばかりしていたんだ。そうしたら上がったんだ。って、もしかして持っている人はしてないの?」
「してないというより、知らないのだろう。君の様に、攻撃力もない冒険者は少ないからな」
モーアンドの言葉になるほどと、マイゼンドは頷く。
「さすが常識にとらわれない発想の持ち主ですね。驚きです。採取専門でやっていくといいでしょう」
「はい」
シバリが言うと、元気よくマイゼンドが返事を返すも、採取専門などあまりないパーティーだった。基本冒険者は、モンスターを倒す職業だからだ。
「まあそうね。攻撃力もないんだし」
攻撃力があるとはいえ、決して自分も強くないアーシャリーは、採取専門でもいいかと思った。
「ではこの魔鉱石で防具を作ってはいかがでしょうか? 残りは売って防具を作る資金に回せば、かなりいい防具が作れますよ」
「そうなんだ。アーシャリーさん、かっこいいのにしましょうね!」
「え? 私のも作る気?」
「うん? 作るんだよね? あ。お揃いじゃなくてもいいから、だ、大丈夫です!」
「別にそういう事を言ったのではないから!」
二人して赤面して叫ぶ。
「息ぴったりだな」
クククっと笑いながらモーアンドが言うと、さらにアーシャリーは顔を染めた。
「俺があげたお金は、当面の生活資金しな。お金の管理は、アーシャリーに任せたぞ」
「はい。きっちり管理します」
「え? 僕の分も」
「もちろん」
「美味しいモノ食べたいんだけど」
「そうね。一個だけね」
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