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第37話 認めてもらえたようですが

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 ゴーッと言う川が流れる音が聞こえると、ふとモーアンドは目を覚ますとなぜか見知らぬテントの中。しかも布団で寝ていた。
 まだふらつくがテントから出ると、すでに解体が始まっていてキラキラした目でそれをマイゼンドが見学している風景が飛び込んで来る。
 レアモンスターを討伐した後だとは思えない程の雰囲気だ。

 「あ、モーアンドさん」

 起きて来たモーアンドに気づき、ミュランドアラが声を掛けた。

 「みんなありがとう」

 「あ、起きたんですね」

 そう言うと、マイゼンドはテントに向かう。その行動を目で追っていたモーアンドは驚く。テントを消したのだ。いや収納した。

 「それは、マイゼンドのだったのか。そう言えば白星の空間系を持っていたな。やっぱり収納だったのか!」

 「俺がしまえないと言ったらレアモンスターをしまってくれたんですよ」

 実際は違うが、ナイトのメンバーはそう捉えていた。

 咄嗟にレアモンスターを転化空間にしまって振り返ったマイゼンドに、皆が驚きその後お礼を言った。ばれていないと安堵するマイゼンドとナイトのメンバーは、森を後にし川へ降りる。
 そして、テントにモーアンドを寝かせた後、レアモンスターを川辺に出し解体作業を開始。
 マイゼンドは、それを見て拍手を送ったり感動したして、緊張感から解放されたナイトのメンバーは、改めて☆の凄さを実感していたのだ。

 「マイゼンド、君には助けられたありがとう」

 モーアンドが、マイゼンドに頭を下げた。本来の目的は、マイゼンドに現実を見せる事だった。だが、その彼に助けられたのだ。彼が引き起こした事だが、マイゼンドが居なければ全員が無事に逃げきれていなかっただろう。

 「いえ、元と言えば僕のせいですし、お役に立ててよかったです」

 「ところで、我々は不思議な体験をした。回復魔法を使わずに傷が一気に回復したのだが、君がやったのか?」

 「え? あ、いえ……」

 「聞いたのですけど、全く知らない様です」

 全く知らないわけではないが、したとしたらザラであってマイゼンドではない。それに知っていると答えると、ザラの事を説明しなくてはいけないのだ。
 ただやはり、ザラが魔鉱石を使い回復させられる事がわかった。どうやっているかは、未だになぞだが。

 「なるほど。まあ何かしているようには見えなかったしなぁ」

 腑に落ちないが、確認のしようもないのでモーアンドもこれ以上追及をしない事にした。マイゼンドのスキルや魔法に、それらしきものがなかったのもあった。

 「あと、レアモンスターの動きを止めた方法ってもしかして、浮遊なのか?」

 「はい」

 やはりそうだったかとモーアンドは頷く。
 レアモンスターは、動いて・・・はいたのだ。ただその場から移動できないだけだった。本の少し浮かせその場から移動させないようにしたとモーアンドは気がついたのだ。
 ただモンスターに攻撃以外の魔法を掛けるのには条件がある。今回の様に浮遊なら相手より素早さが上でないと掛からない。つまり驚異的な素早さがあるマイゼンドだから出来たワザだ。

 「マイゼンド、一つ言っておくがその方法は、君にしか出来ないと思っておくといい。モンスターに浮遊を掛けられるのは、そのモンスターの素早さを上回った時のみ。しかも上回っていたとしても素早さがモンスターの倍以上ないと、成功率は100%にならないと言われている」

 「え!?」

 マイゼンドは、素早さが関係しているなど思いもよらなかった。ボアに掛かったから魔鉱石の森のモンスターにもかかるだろうと試したらかかったのだ。

 「やはり知らなかったか。まあ君には関係ないかもしれないが、万が一という事もある。ステータス異常などで素早さが下がった時に、知らないで使い失敗すれば命にかかわるからな。覚えて置け」

 「はい。ありがとうございます!」

 色々追及されたらどうしようと思っていたマイゼンドだが、あっさりしたモーアンドの反応に安堵する。

 「モーアンドさん、解体終わりました」

 「これはでかいな……」

 人の頭ほどの大きさがあるコアが採取された。
 青黒い球体。
 マイゼンドは、これがコアかとマジマジと見つめた。

 「今までで一番でかいな」

 モーアンドが言うと、ナイトのメンバーは頷く。

 「……マイゼンド、君は何か目的があって街を出て来たのか?」

 突然モーアンドが聞いた。

 「え? あ、知り合いを探しに来ました。アーシャリーさんとパーティーを組んで探す事になってます」

 そうマイゼンドが返すと、そうかとモーアンドが言うもナイトのメンバーはがっかりした様子だ。
 何も目的がないという事ならば、本気でメンバーに誘うおうかと思ったのだが、パーティーを組む事も決まっているというので、誘うのを止めた。メンバーも誘う気だとわかったからがっかりしたのだった。
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