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第31話 消えた魔鉱石の行方
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「あなたが羨ましいな」
アーシャリーがぽつりと呟いた。それを聞いたマイゼンドは凄く驚く。羨ましいなどと言われた事がないからだ。どちらかというと、かわいそうと言われていた。「攻撃力がなくてかわいそう」「拾う事しか出来なくてかわいそう」「モンスター退治できなくてかわいそう」などなど。羨ましい要素などないのだ。
「どこが羨ましいの?」
「え? あ、前向きな所かな。私、あなたのお蔭で命拾いしたというのに、崖から落ちた時に持っていた魔鉱石をその時に落としちゃったみたいでね。それさえあれば、宿屋に泊まれたのになぁって」
マイゼンドは、それを聞いて性格の事か……とはならず、違う事が気になった。
アーシャリーの話を聞いて気になる事があったのだ。ザラがアーシャリーの上にいたが、もしかしたら魔鉱石を食べていたのではないかと。
(モンスターだけではなく、鉱石も食べるのかもしれない!)
そう思ったマイゼンドは、調べる為にザラを鞄から出した。両手の平を上にして、そこにザラを乗せる。
その行動を不思議そうにアーシャリーは見つめていた。彼女には勿論、ザラは見えていない。マイゼンドが、ジーットと自分両手を見つめている様に見えていた。
マイゼンドは、選択が出ていないか確認していたのだが、選択は出ていないがいつの間にかスキルが一つ増えていた!
「え……」
マイゼンドがつい声を漏らすと、何だろうとアーシャリーは彼の手の平を覗き込む。当たり前だが何も見えない。
スキル「接続」
それが増えていた。
接続――子が触れている相手と親のパラメータを特殊な鉱石の力を使いリンクさせる。
(リンク?)
マイゼンドは首を傾げた。
「どうしたの?」
ジッと自分の手を見つめ首をかしげるマイゼンドを不思議に思ったアーシャリーが聞いた。
「え? あ……」
ザラはアーシャリーに見えない。しかも彼女の魔鉱石を勝手に使ったかもしれないのだ。そう思うと言えないマイゼンドは、首を横に振った。
「な、何でもない」
アーシャリーは、マイゼンドの態度を怪しいと思うもそうと引き下がる。
まだ何か秘密を持っている。
アーシャリーはそう直感した。
マイゼンドは、リンクの事を調べたいと思うも魔鉱石がいる。だがそれがあるのがあの魔鉱石の森だ。突風に流されるマイゼンドの浮遊の魔法ではたどり着けない。
「うーん」
「何か悩んでる?」
今度は何か悩んでいる風なマイゼンドに、アーシャリーは問いかけた。
「ねえ、魔鉱石ってあの魔鉱石の森にしかないの?」
「魔鉱石? 気にしなくていいわよ。もっとレベルを上げなきゃダメって事だから。あなたぐらい素早さがあればね」
「素早い方がいいの?」
「モンスターを倒して手に入れるわけではなく、落ちているのを持って来るのよ。だから別にモンスターと戦わなくてはいけないって事じゃないの。逃げ切れるなら拾うだけでいいのよ。マイゼンドのあの速さならモンスターの攻撃を交わしながら拾えると思うわよ」
「拾うか……」
マイゼンドにぴったしの内容なのだが、その場所へ行けない。
「ううん。崖に捉まって浮遊すれば何とか!」
「待って! あなたになら可能かもと言ったけど、魔鉱石を採って来て意味じゃないわ。危ないわよ」
「大丈夫。試すだけだから」
「試すだけって……」
アーシャリーは不安だが、マイゼンドはやる気満々だった。
□
「ねえ、本当にやるの?」
「うん。あ、アーシャリーさんはここで待っていて。あ、そうだ。もし万が一魔鉱石を採れた時に入れる袋みたいのって持ってる?」
「ないわ。マージが袋を持っていたから。袋って言ったらこの何も入ってないリュックになるかしら」
「じゃ、それ借りてもいい?」
「え? これ?」
マイゼンドは頷いた。
本当に何も入っていないので、アーシャリーはマイゼンドに渡す。
「む、無理しないでね。採れなくていいんだから」
「うん。いってくるね」
マイゼンドは、助走をつけてジャンプした。そして浮遊で浮いて川を渡る。前回同様、風に流されるが無事に向こう岸についた。
マイゼンドは、アーシャリーに行ってきますと手を振る。彼女は、それに小さく手を振り不安げに見つめていた。
「やっぱり止めるべきだったかしら」
マイゼンドは、風で吹き飛ばされても崖から離れない様に鎖鎌を崖に引っ掛け、浮遊で登って行く。それをアーシャリーは、何をしながら登っているかはわからないが、ハラハラしながら見ていた。何せマイゼンドの浮遊時間は、五分なのだ。まあ切れれば掛け直せばいいというのもあるが。
アーシャリーが川の向こう側から見守る中、無事マイゼンドは森へ到着。ガサゴソと森の中へと入って行った。
アーシャリーがぽつりと呟いた。それを聞いたマイゼンドは凄く驚く。羨ましいなどと言われた事がないからだ。どちらかというと、かわいそうと言われていた。「攻撃力がなくてかわいそう」「拾う事しか出来なくてかわいそう」「モンスター退治できなくてかわいそう」などなど。羨ましい要素などないのだ。
「どこが羨ましいの?」
「え? あ、前向きな所かな。私、あなたのお蔭で命拾いしたというのに、崖から落ちた時に持っていた魔鉱石をその時に落としちゃったみたいでね。それさえあれば、宿屋に泊まれたのになぁって」
マイゼンドは、それを聞いて性格の事か……とはならず、違う事が気になった。
アーシャリーの話を聞いて気になる事があったのだ。ザラがアーシャリーの上にいたが、もしかしたら魔鉱石を食べていたのではないかと。
(モンスターだけではなく、鉱石も食べるのかもしれない!)
そう思ったマイゼンドは、調べる為にザラを鞄から出した。両手の平を上にして、そこにザラを乗せる。
その行動を不思議そうにアーシャリーは見つめていた。彼女には勿論、ザラは見えていない。マイゼンドが、ジーットと自分両手を見つめている様に見えていた。
マイゼンドは、選択が出ていないか確認していたのだが、選択は出ていないがいつの間にかスキルが一つ増えていた!
「え……」
マイゼンドがつい声を漏らすと、何だろうとアーシャリーは彼の手の平を覗き込む。当たり前だが何も見えない。
スキル「接続」
それが増えていた。
接続――子が触れている相手と親のパラメータを特殊な鉱石の力を使いリンクさせる。
(リンク?)
マイゼンドは首を傾げた。
「どうしたの?」
ジッと自分の手を見つめ首をかしげるマイゼンドを不思議に思ったアーシャリーが聞いた。
「え? あ……」
ザラはアーシャリーに見えない。しかも彼女の魔鉱石を勝手に使ったかもしれないのだ。そう思うと言えないマイゼンドは、首を横に振った。
「な、何でもない」
アーシャリーは、マイゼンドの態度を怪しいと思うもそうと引き下がる。
まだ何か秘密を持っている。
アーシャリーはそう直感した。
マイゼンドは、リンクの事を調べたいと思うも魔鉱石がいる。だがそれがあるのがあの魔鉱石の森だ。突風に流されるマイゼンドの浮遊の魔法ではたどり着けない。
「うーん」
「何か悩んでる?」
今度は何か悩んでいる風なマイゼンドに、アーシャリーは問いかけた。
「ねえ、魔鉱石ってあの魔鉱石の森にしかないの?」
「魔鉱石? 気にしなくていいわよ。もっとレベルを上げなきゃダメって事だから。あなたぐらい素早さがあればね」
「素早い方がいいの?」
「モンスターを倒して手に入れるわけではなく、落ちているのを持って来るのよ。だから別にモンスターと戦わなくてはいけないって事じゃないの。逃げ切れるなら拾うだけでいいのよ。マイゼンドのあの速さならモンスターの攻撃を交わしながら拾えると思うわよ」
「拾うか……」
マイゼンドにぴったしの内容なのだが、その場所へ行けない。
「ううん。崖に捉まって浮遊すれば何とか!」
「待って! あなたになら可能かもと言ったけど、魔鉱石を採って来て意味じゃないわ。危ないわよ」
「大丈夫。試すだけだから」
「試すだけって……」
アーシャリーは不安だが、マイゼンドはやる気満々だった。
□
「ねえ、本当にやるの?」
「うん。あ、アーシャリーさんはここで待っていて。あ、そうだ。もし万が一魔鉱石を採れた時に入れる袋みたいのって持ってる?」
「ないわ。マージが袋を持っていたから。袋って言ったらこの何も入ってないリュックになるかしら」
「じゃ、それ借りてもいい?」
「え? これ?」
マイゼンドは頷いた。
本当に何も入っていないので、アーシャリーはマイゼンドに渡す。
「む、無理しないでね。採れなくていいんだから」
「うん。いってくるね」
マイゼンドは、助走をつけてジャンプした。そして浮遊で浮いて川を渡る。前回同様、風に流されるが無事に向こう岸についた。
マイゼンドは、アーシャリーに行ってきますと手を振る。彼女は、それに小さく手を振り不安げに見つめていた。
「やっぱり止めるべきだったかしら」
マイゼンドは、風で吹き飛ばされても崖から離れない様に鎖鎌を崖に引っ掛け、浮遊で登って行く。それをアーシャリーは、何をしながら登っているかはわからないが、ハラハラしながら見ていた。何せマイゼンドの浮遊時間は、五分なのだ。まあ切れれば掛け直せばいいというのもあるが。
アーシャリーが川の向こう側から見守る中、無事マイゼンドは森へ到着。ガサゴソと森の中へと入って行った。
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