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第29話 不思議な人
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「確認なのだが、二人は以前から知り合いという訳ではないのですよね?」
シバリが聞いた。
「違います」
アーシャリーが答える。
「マイゼンドさんは、助けた縁だけでそこまでするのですか?」
ここに一緒に来るだけでも協力的だ。自分が逆恨みされる可能性もあり、マイゼンドの様に首を突っ込む者はあまりいない。
「うん? 変ですか? アーシャリーさんが困っているんですよね? 僕が出来るのは探す事だけですけど……」
「ありがとう。うん。やりましょう!」
「そうですね。では、俺はこういう形でご協力を」
シバリが、スーッと紙を出した。それはこの街の地図だった。
「え? これって……」
「はい。我々冒険者協会が使っている地図です」
驚いているアーシャリーにシバリが言った。この地図は、裏路地など詳細な地図だ。しかも魔鉱石を取り扱っている所の記載まである。
「いいんですか?」
「あなた達なら悪用しないでしょう。本来ならこちらがして差し上げたいのですが……」
「いえ。ありがとうございます」
アーシャリーが嬉しそうに地図を受け取る。二人は、シバリにお礼を言って冒険者協会を後にした。
「探すと言っても30軒以上あるわね。今日中には無理ね」
時間が経てば経つほど、記憶は薄れる。荷物はおまけとして引き取った可能性が高いのだ。アーシャリーが使用していた鞄は結構ぼろぼろのリュックで、中に食料がちょっと入っているぐらいだった。食料は売らないだろうからぼろぼろの鞄のみになる。なので売らずに捨てた可能性もあった。
「あのね、僕にいい考えがあるんだ」
「いい考え?」
嬉しそうにマイゼンドが頷く。ちょっと不安もあるが彼がそういうので、アーシャリーはお願いしたがとんでもない方法だった。
□
「ちょ、ちょと~」
アーシャリーは、そう言うのが精一杯だった。周りの景色が凄い速さで過ぎて行く。人にぶつかると思った瞬間、避けている。彼女は、浮遊で浮かされマイゼンドが運んでいる形だ。なので二人で走っていた時より早く移動していた。
マイゼンドの作戦とは、アーシャリーを浮かせ彼が連れて移動して店を訪ね歩くという作戦だ。それが速く移動できていいとマイゼンドが言ったので、アーシャリーは首を傾げながらも従ってみる事にした。彼が言う通り、速かった!
マイゼンドは、アーシャリーがいないと彼女の鞄か確認が出来ないので、この方法が得策だと思いつき提案したのだ。森の中を走って移動したりもしていた彼は、木々を避けながら走っていた。その効果がこんなところに発揮されていた。
一件目につくと、出入り口でアーシャリーは座り込む。
「あの、今日男の人で、魔鉱石と一緒にリュックを売った人はいませんか?」
「うん? うちでは魔鉱石以外の買取はしてないよ」
「ありがとうございます」
動けないようなので、マイゼンドが店の人に確認を取った。
「ここじゃないみたい」
「あ、あのね……そうやって確認をとるなら私少し休んでいてもいいかな? 鞄も引き取ったというお店があったら教えてもらうという事で」
「あ、そっか! そういう手もあるね。うん。わかった。そうするよ。ごめん、酔った?」
マイゼンドは、アーシャリーが移動速度が速すぎて腰を抜かした事に気づかず、酔ったのかと思ったのだ。彼女にしてみれば、浮かされているので自分ではどうする事も出来ずここまで来たのだった。
アーシャリーは、心配そうに自分を見るマイゼンドを不思議な人だと見つめていた。彼は素性をかくしている。
自分の速さについて来ていたのではなく、合わせてくれていたのだ。なので、高レベルなのも隠していたのだと勘違いをした。
「私、ここで待ってるわ。動かない方が居場所わかりやすいでしょう?」
地図を持っているとはいえ、さっき来たばかりの街だ。
「うん。わかった。じゃ、ちょっと行ってきます」
マイゼンドは、手を振って店を出て行った。
こうしてすべての魔鉱石を取り扱う店を探し回ったが、リュックを一緒に引き取った店はなかったのだ。
「うーん。捨てられちゃったのかな……。だったらここかな?」
街に隣接した林があった。地図には、よくいらないものを放置する場所だと書かれている。その林に入る街の出入り口にマイゼンドは来ていた。
「よし、探してみよう」
彼らは、二人が街に着いた時には出入り口付近にいたのだから林に入ったとしてもそんなに奥には行っていないだろうと、マイゼンドはリュックを探して歩いた。
「あ、あった!」
アーシャリーをリュックかはわからないが発見した。それを転化空間にしまう。日が暮れるまでマイゼンドは探し回り、5つのリュックを発見したのだった。
シバリが聞いた。
「違います」
アーシャリーが答える。
「マイゼンドさんは、助けた縁だけでそこまでするのですか?」
ここに一緒に来るだけでも協力的だ。自分が逆恨みされる可能性もあり、マイゼンドの様に首を突っ込む者はあまりいない。
「うん? 変ですか? アーシャリーさんが困っているんですよね? 僕が出来るのは探す事だけですけど……」
「ありがとう。うん。やりましょう!」
「そうですね。では、俺はこういう形でご協力を」
シバリが、スーッと紙を出した。それはこの街の地図だった。
「え? これって……」
「はい。我々冒険者協会が使っている地図です」
驚いているアーシャリーにシバリが言った。この地図は、裏路地など詳細な地図だ。しかも魔鉱石を取り扱っている所の記載まである。
「いいんですか?」
「あなた達なら悪用しないでしょう。本来ならこちらがして差し上げたいのですが……」
「いえ。ありがとうございます」
アーシャリーが嬉しそうに地図を受け取る。二人は、シバリにお礼を言って冒険者協会を後にした。
「探すと言っても30軒以上あるわね。今日中には無理ね」
時間が経てば経つほど、記憶は薄れる。荷物はおまけとして引き取った可能性が高いのだ。アーシャリーが使用していた鞄は結構ぼろぼろのリュックで、中に食料がちょっと入っているぐらいだった。食料は売らないだろうからぼろぼろの鞄のみになる。なので売らずに捨てた可能性もあった。
「あのね、僕にいい考えがあるんだ」
「いい考え?」
嬉しそうにマイゼンドが頷く。ちょっと不安もあるが彼がそういうので、アーシャリーはお願いしたがとんでもない方法だった。
□
「ちょ、ちょと~」
アーシャリーは、そう言うのが精一杯だった。周りの景色が凄い速さで過ぎて行く。人にぶつかると思った瞬間、避けている。彼女は、浮遊で浮かされマイゼンドが運んでいる形だ。なので二人で走っていた時より早く移動していた。
マイゼンドの作戦とは、アーシャリーを浮かせ彼が連れて移動して店を訪ね歩くという作戦だ。それが速く移動できていいとマイゼンドが言ったので、アーシャリーは首を傾げながらも従ってみる事にした。彼が言う通り、速かった!
マイゼンドは、アーシャリーがいないと彼女の鞄か確認が出来ないので、この方法が得策だと思いつき提案したのだ。森の中を走って移動したりもしていた彼は、木々を避けながら走っていた。その効果がこんなところに発揮されていた。
一件目につくと、出入り口でアーシャリーは座り込む。
「あの、今日男の人で、魔鉱石と一緒にリュックを売った人はいませんか?」
「うん? うちでは魔鉱石以外の買取はしてないよ」
「ありがとうございます」
動けないようなので、マイゼンドが店の人に確認を取った。
「ここじゃないみたい」
「あ、あのね……そうやって確認をとるなら私少し休んでいてもいいかな? 鞄も引き取ったというお店があったら教えてもらうという事で」
「あ、そっか! そういう手もあるね。うん。わかった。そうするよ。ごめん、酔った?」
マイゼンドは、アーシャリーが移動速度が速すぎて腰を抜かした事に気づかず、酔ったのかと思ったのだ。彼女にしてみれば、浮かされているので自分ではどうする事も出来ずここまで来たのだった。
アーシャリーは、心配そうに自分を見るマイゼンドを不思議な人だと見つめていた。彼は素性をかくしている。
自分の速さについて来ていたのではなく、合わせてくれていたのだ。なので、高レベルなのも隠していたのだと勘違いをした。
「私、ここで待ってるわ。動かない方が居場所わかりやすいでしょう?」
地図を持っているとはいえ、さっき来たばかりの街だ。
「うん。わかった。じゃ、ちょっと行ってきます」
マイゼンドは、手を振って店を出て行った。
こうしてすべての魔鉱石を取り扱う店を探し回ったが、リュックを一緒に引き取った店はなかったのだ。
「うーん。捨てられちゃったのかな……。だったらここかな?」
街に隣接した林があった。地図には、よくいらないものを放置する場所だと書かれている。その林に入る街の出入り口にマイゼンドは来ていた。
「よし、探してみよう」
彼らは、二人が街に着いた時には出入り口付近にいたのだから林に入ったとしてもそんなに奥には行っていないだろうと、マイゼンドはリュックを探して歩いた。
「あ、あった!」
アーシャリーをリュックかはわからないが発見した。それを転化空間にしまう。日が暮れるまでマイゼンドは探し回り、5つのリュックを発見したのだった。
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