ステータスに攻撃力はありませんが、☆《白星》スキルで乗り切ります

すみ 小桜(sumitan)

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第24話 落ちて来た!?

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 ずっと続く川辺に大きな川。反対がには高い崖の壁。歩けど歩けど同じ風景だ。かれこれ2時間ほど歩いたが、進んでいるのかなと思う程同じだった。

 「きゃー!」

 (うん? 悲鳴が聞こえた?)

 マイゼンドは、声の主を探し辺りを見渡すも誰もいない。と、マイゼンドの周りに影が落ちた。

 (上か?)

 見上げ驚いた。人が真上にいたのだ!

 「え? うわぁ!」

 慌てて浮遊を掛ける。
 手を伸ばすと触れられるほどの距離まで来ていて、ピタッと止まった。ゆっくりとおろす。

 気を失っている様だ。淡いオレンジの髪に皮の胸当て、手には弓をしっかりと握っていた。

 (狩りをしていたの?)

 マイゼンドは、崖の上にある森を見つめる。そして倒れている人物を見つめた。

 (どうやって入ったの?)

 地図上では、この崖の上の森は孤島だ。目の前の大きな川は、元々は一つのもっと大きい川だった。それが二手に分かれまた一つに戻る。その分かれた川の間にあるのがここだ。
 地図には、橋があるようには描かれていなかった。

 「そうだ。目が覚めたらトグリップ街の行き方を聞こう。でも大丈夫かな?」

 マイゼンドは、回復魔法は持っていない。というか、HPを回復という考えが全くなかったのだ。だからポーションすら持っていなかった。
 ただ持っていたとしても、ハイポーションなど買えないのだから買っても意味がないとも言える。最下位のポーションは、HPを300しか回復しないのだ。

 とりあえず安全な場所に寝かせないとと、辺りを見渡すもどこも同じように地面は石だ。
 マイゼンドは、壁側の方がいいだろうと、崖の横に転化空間からテントを出して置いた。そしてテントの中を整理する。調理器具セットについていた袋に、こまごまとした物を入れ転化空間にしまった。

 用意が整い布団に寝かせる為に戻ると――

 「食べちゃだめ!!」

 ザラが落ちて来た人物の上に乗っかっていたのだ。マイゼンドは、慌ててザラを持ち上げる。
 モンスターしか食べないと思っていたのに驚くが、まさかとジーッと横たわる人物を見た。優し気なかわいい顔。モンスターには見えない。

 「うん。人間。あのね、人間は絶対に食べちゃダメだからね!」

 ザラに言うが、伝わっているかどうかわからない。

 マイゼンドは、浮遊をかけ布団へと移動した。何となく顔色がよくなった気がする。

 「あ、弓……」

 しっかりと握ったままだった。弓を引っ張るもしっかり握っていて離さない。仕方がないので、指を広げようとするも堅い。開かないのだ。

 「うーん。そんなに大事な……」

 「きゃー! 何してるのよ!」

 がつん!

 「うぎゃ」

 弓が思いっきり頭にヒットしたマイゼンドは、頭を庇う様にして伏せ悶絶する。

 「え? ここどこ?」

 「……う……僕のテントの中です」

 マイゼンドは、涙目で答えた。
 驚いた様子でマイゼンドを見る彼女を女性だったのかと、マイゼンドも驚いて見つめる。髪が短く男性だと思っていたのだ。

 「………」

 彼女は、辺りを見渡すとジッともう一度マイゼンドを見つめる。

 「もしかして助けてくれたの? ごめんなさい。ありがとう」

 「うん、まあ。布団に寝かせただけだけど」

 「え? でも私吹き飛ばされて……怪我治ってるみたいだけど?」

 「あ、回復力で回復したんだね」

 「私は持ってないわ」

 「ふーん。あのさ、トグリップ街の行き方わかる? 僕、迷子になっちゃって」

 「……え? 待って、ここどこなの?」

 「だからテントの中」

 「そうじゃなくて、地図的にどこ?」

 「どこって、森の外の川辺」

 テントの入り口を開けて外を見せる。先ほどからゴーッと川の流れる凄い音が聞こえていたが、もっと大きく聞こえた。

 「……あなた、迷子って、ここで?」

 「うん。森を突っ切ろうとして失敗して川辺に落ちちゃったんだよね。地図も飛ばされて……」

 「森を突っ切ろうしたですって! 一人で? 仲間は?」

 「一人だけど。トグリップ街にいるかもしれない知り合いに会いに行くんだ」

 「あなた、何レベルなの?」

 「えーと、今は8レベルかな」

 「……? 108? 208? 308?」

 「何が?」

 「なんだろう。微妙に話がかみ合ってない気がするわ。じゃ★ランクは?」

 「1になったばかりなんだ」

 「……よく無事で、ここに辿り着いたわね。って、そんなわけあるわけないでしょう!! なんなのよ、あなた!」

 「え~!」

 なぜか怒鳴り返されて驚くマイゼンド。

 「★1になったばかりの者が、ここに来れるわけないでしょう! しかも何? この布団どうやって持って来たのよ! どうやって私を治したの? って、私に変な事をしてないでしょうね!」

 「……うーん」

 マイゼンドは、浮いてここに来て、布団は転化空間にしまって持って来たと言っていいのかと考える。シャーフに、人には言わない方がいいと言われていたからだ。

 「変な事って?」

 取りあえず疑問に思った事を聞いてみた。

 「どうもありがとう」

 と、なぜか顔を赤らめテントから出て行こうとする。

 「え? 教えてくれないの?」

 「自分で考えなさいよ!」

 「え~。迷子だって言ったのに」

 「そっち……?」

 なぜか脱力する彼女だった。
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