ステータスに攻撃力はありませんが、☆《白星》スキルで乗り切ります

すみ 小桜(sumitan)

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第23話 一直線のはずが……

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 「準備はOKなのか?」

 「うん。貰ったお肉も体内空間にしまったし」

 「では、部屋の退室届だしておくからな。部屋に残ってるのは、全部処分されるからな」

 「うん。お世話になりました」

 「あぁ、何というか感無量だな」

 まさか一人で冒険に出るなど、最初の頃は考えられなかった。心配なのは、モンスターより人間関係だろう。

 「リトーンに会えるといいな」

 「うん」

 「いいか。上手い事言って来る奴がいるからその場ですぐに決めるなよ。どうしても困ったら冒険者協会を頼れよ」

 「はい!」

 「元気でな」

 「シャーフさんも、お元気で!」

 嬉しそうに手を振ってマイゼンドは出て行く。

 「寂しくなるな……」

 何だかんだと楽しかったとシャーフは、元気に出て行くマイゼンドを見送った。

 マイゼンドは、トグリップ街には早く着きたかったが、地図を見ても距離が今一わからないのだ。なので、出来るだけ一直線に進む事にした。つまり道に沿って進まないという事だ。

 まずは、最初の川だね。
 昨日寝泊りした川辺に来たマイゼンドは、崖すれすれに立ちふわっと浮き上がる。そして崖を蹴った。その反動で、そのまま横に移動する。

 森での狩りは、浮遊をよく使って移動していた為に、浮遊はレベル6になっていた。浮いている時間は5分になっていて、消費MPはそのままだ。
 マイゼンドは、時計を持っていない。時間を計れないので、適当に下りないと落ちる。

 川を渡り、反対側の崖まで飛んだ。そのまま森の中へと入る。

 「そう言えば、ここのモンスターってどんなのだろう? レベルとかも確認すればよかった」

 すっかりそういう事は忘れていたのだ。
 シャーフは、道なりに行くと思っているので、ここら辺のモンスターの事は言わなかった。

 「まあいいか。飛んで進むから」

 マイゼンドの今回の旅の目的は、リトーン会う事なので狩りをしながら進むつもりはなかった。コンパスで方向を確認しながら森の中を枝つたいで進む。
 そして五時間ぐらいで、谷間に着いた。

 「あれ? もうついたの?」

 地図とコンパスで位置を確認しながら周りを見渡す。
 地図上には、二つの谷間があって、この谷間の間には森があり名前は「魔鉱石の森」という。

 「それにしても凄い谷間……」

 だいぶ浮遊に慣れたマイゼンドだが、この高さには恐怖を感じた。向こうの森の方が高さがあるので、結構浮いてから進まないといけない。

 「う……やっぱり普通に道で行けばよかったかな? まあいいや休憩しらた行ってみよう」

 シャーフには、あまり人前で浮くなと言われていた。なので森を選んだ。だが速さで言えば走る方が早いという事実に、マイゼンドは気づいていなかった。
 転化空間から燻製を出して、昼食にした。木の上でもぐもぐと食べる。ザラも鞄から出て来たので、自分のを食べればいいのにと思いつつ一枚あげた。

 食べ終わったマイゼンドは、高い木に登る。風が強い。木から落ちそうだ。やっぱり道を走って行くかなと思いつつも戻るが面倒だと、浮くと木を蹴った。

 「うわぁ」

 浮いた途端、突風にあおられ蹴った事は蹴ったが、前に進むより横に流される割合の方が多かった。体制も崩しくるくる回転していてどっちが上か一瞬わからなくなる。

 ハッと気づくと谷間のど真ん中だ。進み方がかなり緩やかな上、斜めに進んでいた。五分では着かないかもしれないが、今浮遊を解けば、真下に落ちるだけ。川の中だ。

 「うううう。早く進んで~」

 風に煽られるなど今までになかったので、どうしたらいいかわからなかった。横に動くスピードは、蹴った強さだ。弱く蹴らさったので進みが遅い。

 何とか反対側の川辺へと降りる事が出来て、マイゼンドはホッとする。
 マイゼンドは、さてどうしようと崖を見上げた。浮かんでも風に煽られる可能性の方が高い。飛び立った場所からもだいぶずれていもいる。
 地図で確認する事にした。

 「あぁ!! 待って!」

 地図を広げた途端、突風が吹き地図が吹き飛ばされた!

 「………」

 茫然と地図を見送るしかなく、困ったことになったのだ。地図なしで、ここを越えなければならない。やっぱり道なりに行けばよかったと、今更後悔するマイゼンドだった。

 仕方がないので川が流れている方向へと歩き出す。食料はいっぱいある。万が一なくなれば、モンスターを狩って……いや、魚を取る方が安全だ。
 走って移動すればいいのだが、そんな気にもならいのでトボトボと歩く。まだ昼間でよかったと歩くのだった。
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