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第2話 こんなスキルってありですか?
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あれから三日経った。マイゼンドは、いも拾いとごみ拾いを毎日こなし、とうとう10レベルになった!
――据え置きリセットを獲得しました!
「やったぁ! スキル覚えた!」
獲得確率は50%。半分の人しか得られないのに獲得したのだ。嬉しさは半端ない。彼にとって頼みの綱だ。
「よし、ゴミ拾い終わらせたらちゃんと確認しよう」
今マイゼンドの装備は、ごみ拾い用のトングだ。
仕事を終え、自宅へと帰った。自宅と言っても、冒険者用に貸し出されたアパートだ。冒険者になって一年目まで住める。
しかも最上階の10階。浮遊する魔法を持っていない限りは、階段を登らなくてはならない。でもその階しかなかったのだ。
「ふう。ただいま~っと」
戦闘をしていないのに、マイゼンドは疲れてしまった。
浮遊の魔法がほしい。
と思ってしまうぐらいだ。
「さてと……」
ワクワクしてステータスをマイゼンドは確認した。そして目を疑った!
「え~~~~~!!」
そう叫ぶ程の事が起きていたのだ!
加護を受けた名:マイゼンド
レベル:1
HP:190
MP:19
魔法防御:19
回復力:19
素早さ:133
適正属性:―
不適正属性:―
スキル:「拾う:レベル7」「☆据え置きリセット:パッシブ」
「レベル1に戻ってる!? なんで? あ、このスキルのせい?」
☆据え置きリセット――レベル10にレベルアップ後、ステータスの数値をそのままにレベルを1に戻す。
(え? どういう事? レベル10になったらレベル1に戻るって事? なんで~!!)
マイゼンドは、混乱していた。せっかくレベル10になってスキルまで手に入れたというのに、レベルが戻ってしまったのだ。これでは、スキルを手に入れても意味がない。
「はぁ……寝よう」
ふて寝である。
目を閉じると、目じりにあった涙が一筋顔をつたった。
「なんで僕だけ……神様に嫌われているのかな?」
そうとしか思えない出来事だった。
□
次の日、やる気も出ずマイゼンドはごろごろしていたが、がばっと起き上がった。
「あ~!! ステータスの数値が上がってる!」
気になって元に戻るはずもないステータスとにらめっこしていたのだ。
本来初期値は合計200。だが合計380になっていた。
ステータスは、レベルが上がるごとに初期値の一割が増える。計算すれば、レベル10の数値がそのまま、レベル1の初期値に置き換わっていた。
「え? レベルは下がったけど数値はそのままって事?」
マイゼンドは、身支度を始める。
思う所があって、仕事をしに行くことにしたのだ。
階段を転げ落ちそうになりながらも走って下りて、冒険者協会へ急ぐ。そして、ゴミ拾いのクエストを引き受け、ゴミを拾う。
すぐにレベルは上がった。
レベル1から2になるのには、100の経験値で上がるのだ。つまり10個拾えばいい。
「やっぱりだ」
レベル2の数値は――
HP:209
MP:20
魔法防御:20
回復力:20
素早さ:146
となっていて、上がった初期値の一割が加算された。しかも本来10レベルから11レベルになるのには、1,500の経験値が必要だ。それが100の経験値でレベルが一つ上がったのだ。
レベルは、どのレベルになっても均一に初期値の一割だ。つまりは、かなりのスピードで数値が上がると言う事だった!
「う、嬉しいけど、僕は攻撃も魔力も増えないからなぁ……」
でも次の10レベルのスキルと魔法獲得に期待が出来る。なにせ拾えば数日で上がるのだから。
□
「マイゼンド……」
ゴミ拾いをしている彼に声がかかる。マイゼンドには振り返らなくても誰か声でわかった。
「リトーン……」
「元気?」
「うん。なんとか」
「ごめんな。あのさ、レベル上がったか?」
「うーんと、9……」
「9か……そっか。じゃ無理だね。俺達のパーティーは、この街を出る事になったんだ。だからレベル11になっていたらもう一度入れて貰えるように言おうかと思ったんだけど……」
リトーンは、レベル11以上になっているのならパーティーに入れて貰える様に言おうと思って来たのだ。
「ありがとう。でも僕、まだ拾う事しか出来ないし」
そうリーダーは、拾う事でレベルを上げる事は望んでいないのだ。たぶんお願いしても無理だろう。
それに11レベルになる事はないのだ。
「心配しなくていいよ。お金には困らないから。まあ冒険者じゃないと言われたらそうだけど。でも神様がくれたスキルだから仕方ないよね」
「うん。間違ってもモンスターと戦闘するなよ。拾うだけにしとけ」
「あはは。うん。そう言えば、パーティー抜けたからいいよね」
リトーンは、うんと頷く。
「じゃ」
軽く手をあげ、リトーンは去って行った。
冒険者になる者は、大抵15,6歳でなる。マイゼンド達もそうだった。16歳でなった。そしてレベル10ぐらいまでは、本来なら一週間もかからない。
マイゼンドのレベルは、今日中にレベル10になるだろう。いやまた、1に戻る事になる。
「次も何か覚えるといいなぁ」
前向きなマイゼンドだった。
――据え置きリセットを獲得しました!
「やったぁ! スキル覚えた!」
獲得確率は50%。半分の人しか得られないのに獲得したのだ。嬉しさは半端ない。彼にとって頼みの綱だ。
「よし、ゴミ拾い終わらせたらちゃんと確認しよう」
今マイゼンドの装備は、ごみ拾い用のトングだ。
仕事を終え、自宅へと帰った。自宅と言っても、冒険者用に貸し出されたアパートだ。冒険者になって一年目まで住める。
しかも最上階の10階。浮遊する魔法を持っていない限りは、階段を登らなくてはならない。でもその階しかなかったのだ。
「ふう。ただいま~っと」
戦闘をしていないのに、マイゼンドは疲れてしまった。
浮遊の魔法がほしい。
と思ってしまうぐらいだ。
「さてと……」
ワクワクしてステータスをマイゼンドは確認した。そして目を疑った!
「え~~~~~!!」
そう叫ぶ程の事が起きていたのだ!
加護を受けた名:マイゼンド
レベル:1
HP:190
MP:19
魔法防御:19
回復力:19
素早さ:133
適正属性:―
不適正属性:―
スキル:「拾う:レベル7」「☆据え置きリセット:パッシブ」
「レベル1に戻ってる!? なんで? あ、このスキルのせい?」
☆据え置きリセット――レベル10にレベルアップ後、ステータスの数値をそのままにレベルを1に戻す。
(え? どういう事? レベル10になったらレベル1に戻るって事? なんで~!!)
マイゼンドは、混乱していた。せっかくレベル10になってスキルまで手に入れたというのに、レベルが戻ってしまったのだ。これでは、スキルを手に入れても意味がない。
「はぁ……寝よう」
ふて寝である。
目を閉じると、目じりにあった涙が一筋顔をつたった。
「なんで僕だけ……神様に嫌われているのかな?」
そうとしか思えない出来事だった。
□
次の日、やる気も出ずマイゼンドはごろごろしていたが、がばっと起き上がった。
「あ~!! ステータスの数値が上がってる!」
気になって元に戻るはずもないステータスとにらめっこしていたのだ。
本来初期値は合計200。だが合計380になっていた。
ステータスは、レベルが上がるごとに初期値の一割が増える。計算すれば、レベル10の数値がそのまま、レベル1の初期値に置き換わっていた。
「え? レベルは下がったけど数値はそのままって事?」
マイゼンドは、身支度を始める。
思う所があって、仕事をしに行くことにしたのだ。
階段を転げ落ちそうになりながらも走って下りて、冒険者協会へ急ぐ。そして、ゴミ拾いのクエストを引き受け、ゴミを拾う。
すぐにレベルは上がった。
レベル1から2になるのには、100の経験値で上がるのだ。つまり10個拾えばいい。
「やっぱりだ」
レベル2の数値は――
HP:209
MP:20
魔法防御:20
回復力:20
素早さ:146
となっていて、上がった初期値の一割が加算された。しかも本来10レベルから11レベルになるのには、1,500の経験値が必要だ。それが100の経験値でレベルが一つ上がったのだ。
レベルは、どのレベルになっても均一に初期値の一割だ。つまりは、かなりのスピードで数値が上がると言う事だった!
「う、嬉しいけど、僕は攻撃も魔力も増えないからなぁ……」
でも次の10レベルのスキルと魔法獲得に期待が出来る。なにせ拾えば数日で上がるのだから。
□
「マイゼンド……」
ゴミ拾いをしている彼に声がかかる。マイゼンドには振り返らなくても誰か声でわかった。
「リトーン……」
「元気?」
「うん。なんとか」
「ごめんな。あのさ、レベル上がったか?」
「うーんと、9……」
「9か……そっか。じゃ無理だね。俺達のパーティーは、この街を出る事になったんだ。だからレベル11になっていたらもう一度入れて貰えるように言おうかと思ったんだけど……」
リトーンは、レベル11以上になっているのならパーティーに入れて貰える様に言おうと思って来たのだ。
「ありがとう。でも僕、まだ拾う事しか出来ないし」
そうリーダーは、拾う事でレベルを上げる事は望んでいないのだ。たぶんお願いしても無理だろう。
それに11レベルになる事はないのだ。
「心配しなくていいよ。お金には困らないから。まあ冒険者じゃないと言われたらそうだけど。でも神様がくれたスキルだから仕方ないよね」
「うん。間違ってもモンスターと戦闘するなよ。拾うだけにしとけ」
「あはは。うん。そう言えば、パーティー抜けたからいいよね」
リトーンは、うんと頷く。
「じゃ」
軽く手をあげ、リトーンは去って行った。
冒険者になる者は、大抵15,6歳でなる。マイゼンド達もそうだった。16歳でなった。そしてレベル10ぐらいまでは、本来なら一週間もかからない。
マイゼンドのレベルは、今日中にレベル10になるだろう。いやまた、1に戻る事になる。
「次も何か覚えるといいなぁ」
前向きなマイゼンドだった。
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