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第21話
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「さあ、手を乗せて」
ランゼリー様の微笑みは、悪魔の微笑みに見える。どうしてもう一度調べようとするの。
「さ、先ほど行いましたわ……」
「それとは別よ。あれは、三属性を調べるものでしょう。これは、何の魔法か調べるものなの。さあ乗せて。怖がることはないわ」
いや怖いです。ランゼリー様のその期待に満ちた瞳が特に。
私は、プルプル震える手をそろそろと伸ばす。そして、触れないか触れるかぐらいでキープ……。
「えい」
「きゃ」
ランゼリー様が、私の手を押した。もちろん水晶玉に触れてしまう。
パーッと水晶が淡く光った。
「ほら見なさい。やっぱりそうよ」
私は、慌てて手を引っ込め立ち上がる。その行動にランゼリー様が驚いた。
水晶には古代文字が浮き出ていた。本当にさっきの水晶とは違う。
「あ、ごめんね。大丈夫だから」
「あ、姉上。こんな文字でしたか?」
「え? あれ、何か違う?」
そういうとがそごそと紙を出し見比べる。その紙に書かれた文字に私はギョッとした。紙には『交換召喚』と古代文字で書かれている。
「……ち、違うわ。どういう事!? あなた誰?」
クルっと私に向き直ってランゼリー様が聞くので頭が真っ白になってしまった。なんて答えればいいのよ。
「はぁ……。レイリーだろ。そもそも姉上が言った事は、一つもあってないではありませんか。たまたま違う魔法を持っていただけ」
「えー。うーん。おかしいなぁ」
「おかしくありません。俺の為に色々考えてくれるのは嬉しいのですが、他の方を巻き込むのはもうおやめください」
そうそう。やめてほしい。
「うーん。そうね」
「って、聞いておられますか?」
生返事で返すランゼリー様は、本で何やら探している様子。たぶん古代語の辞書みたいのだと思われる。古代語とその訳が書かれていた。読めてしまう自分が恨めしい。どうせばれるのなら……。
「言語理解……」
「「え?」」
私がポツリと呟くと、二人は驚いて私の方を向いた。
「この水晶玉に浮き出た文字が読めるのか?」
ルハルト様の質問に私はそうですと頷く。
「本当だわ。言語理解という言葉だわ」
私の言った事があっているか調べたランゼリー様が驚きの声を上げる。
「あぁ、もうどうなってるのよ」
それはこっちが聞きたい。どうしてレイリーが黒髪黒い瞳で交換召喚という魔法を持っていると知っていたのか。
「ですから姉上の話はただの夢という事でしょう」
「……いいえ。でも、このままだとまずいわ」
「大丈夫ですよ。二年後に会う人物に惚れて、龍を入れ替えるなんてありえない。どちらにしても……」
『龍を入れ替えるですって!』
龍を入れ替えるですって! え? ひー。
ルブックバシーが声を張り上げたものだから、二人が驚いて私を見ている。そりゃそうよ。声は私とは全然違うのだもの。
二人の視線が私から猫の姿をしたルブックバシーに移った。
「ネ、ネコが発したのか?」
「………」
答えずにいると、驚く事にルブックバシーがぴょんとテーブルの上に飛び乗り、私達は驚く。
ちょ、ちょっと一体何をする気なの?
『あなた達、どういう事?』
パニックになっている私など気にした様子などなく、普通に話しかけるルブックバシー。
「こ、この情報は私は持ってないんだけど」
驚きながらもそう呟くランゼリー様。
「……もしかして君はレイリーの偽物?」
ルハルト様の核心的な言葉に私は、ビクッと体を震わせた。
『それを知りたいのなら話なさい!』
ちょっとルブックバシー……。味方だと思っていたけど龍の事になると見境なくなるのね。前足でバシッとテーブルを叩いたりしちゃってる。
ランゼリー様とルハルト様は、顔を見合わせた。
「そうね。ここまで来たら話しましょう」
「バカバカしい話だと思っていたけど、そうでもなさそうだ」
『クルスリン。これで情報が入るわ』
そうね。でも聞いたら最後、幽閉されそうだけどね。とほほ。
ランゼリー様の微笑みは、悪魔の微笑みに見える。どうしてもう一度調べようとするの。
「さ、先ほど行いましたわ……」
「それとは別よ。あれは、三属性を調べるものでしょう。これは、何の魔法か調べるものなの。さあ乗せて。怖がることはないわ」
いや怖いです。ランゼリー様のその期待に満ちた瞳が特に。
私は、プルプル震える手をそろそろと伸ばす。そして、触れないか触れるかぐらいでキープ……。
「えい」
「きゃ」
ランゼリー様が、私の手を押した。もちろん水晶玉に触れてしまう。
パーッと水晶が淡く光った。
「ほら見なさい。やっぱりそうよ」
私は、慌てて手を引っ込め立ち上がる。その行動にランゼリー様が驚いた。
水晶には古代文字が浮き出ていた。本当にさっきの水晶とは違う。
「あ、ごめんね。大丈夫だから」
「あ、姉上。こんな文字でしたか?」
「え? あれ、何か違う?」
そういうとがそごそと紙を出し見比べる。その紙に書かれた文字に私はギョッとした。紙には『交換召喚』と古代文字で書かれている。
「……ち、違うわ。どういう事!? あなた誰?」
クルっと私に向き直ってランゼリー様が聞くので頭が真っ白になってしまった。なんて答えればいいのよ。
「はぁ……。レイリーだろ。そもそも姉上が言った事は、一つもあってないではありませんか。たまたま違う魔法を持っていただけ」
「えー。うーん。おかしいなぁ」
「おかしくありません。俺の為に色々考えてくれるのは嬉しいのですが、他の方を巻き込むのはもうおやめください」
そうそう。やめてほしい。
「うーん。そうね」
「って、聞いておられますか?」
生返事で返すランゼリー様は、本で何やら探している様子。たぶん古代語の辞書みたいのだと思われる。古代語とその訳が書かれていた。読めてしまう自分が恨めしい。どうせばれるのなら……。
「言語理解……」
「「え?」」
私がポツリと呟くと、二人は驚いて私の方を向いた。
「この水晶玉に浮き出た文字が読めるのか?」
ルハルト様の質問に私はそうですと頷く。
「本当だわ。言語理解という言葉だわ」
私の言った事があっているか調べたランゼリー様が驚きの声を上げる。
「あぁ、もうどうなってるのよ」
それはこっちが聞きたい。どうしてレイリーが黒髪黒い瞳で交換召喚という魔法を持っていると知っていたのか。
「ですから姉上の話はただの夢という事でしょう」
「……いいえ。でも、このままだとまずいわ」
「大丈夫ですよ。二年後に会う人物に惚れて、龍を入れ替えるなんてありえない。どちらにしても……」
『龍を入れ替えるですって!』
龍を入れ替えるですって! え? ひー。
ルブックバシーが声を張り上げたものだから、二人が驚いて私を見ている。そりゃそうよ。声は私とは全然違うのだもの。
二人の視線が私から猫の姿をしたルブックバシーに移った。
「ネ、ネコが発したのか?」
「………」
答えずにいると、驚く事にルブックバシーがぴょんとテーブルの上に飛び乗り、私達は驚く。
ちょ、ちょっと一体何をする気なの?
『あなた達、どういう事?』
パニックになっている私など気にした様子などなく、普通に話しかけるルブックバシー。
「こ、この情報は私は持ってないんだけど」
驚きながらもそう呟くランゼリー様。
「……もしかして君はレイリーの偽物?」
ルハルト様の核心的な言葉に私は、ビクッと体を震わせた。
『それを知りたいのなら話なさい!』
ちょっとルブックバシー……。味方だと思っていたけど龍の事になると見境なくなるのね。前足でバシッとテーブルを叩いたりしちゃってる。
ランゼリー様とルハルト様は、顔を見合わせた。
「そうね。ここまで来たら話しましょう」
「バカバカしい話だと思っていたけど、そうでもなさそうだ」
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そうね。でも聞いたら最後、幽閉されそうだけどね。とほほ。
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