19 / 30
第19話 お金の使い道
しおりを挟む
がらがら。
ガントが、引き取ってきた魔道具を雑に倉庫の山に加える。
「うん? なんか甘い匂いがしないか?」
「あ……」
オレンジジュースの香りだった。洗う事もできなかったので、そのままなのだ。
「えーと、お昼はオレンジジュースで……」
「お前は。それだけだと、体がもたないぞ。それ振り回すんだから」
エストキラが手にしたハンマーを指さし、ガントが言った。
「で、どれくらいになった」
虫眼鏡を持ってガントが覗く。
「おぉ、202か。凄いじゃないか。100ぐらいでへばると思ったが、思ったより根性あるな」
「あははは」
”たぶん重いままなら100も無理だった”
「今日はこれぐらいにして、夕飯にするか」
「わーい」
「その前に、銀貨20枚と銅貨200枚な」
「ありがとうございます!」
エストキラは、受け取ったお金をまじまじと見て、瞳をキラキラとさせる。
”凄い、一日でこんなに稼いじゃった”
「あのところで、変換された鉱石ってどうなってるんですか? 扉をあけてもないんですけど……」
もしかして、失敗しているのではないかとエストキラは思っていた。
「あぁ。反対側に鉱石を入れるケースがあってな、そこに自動的に入る仕組みだ。でないと、大量の鉱石を入れ物に移動させないといけないからな」
”確かに。あれは結構めんどくさかった”
「さあ、たらふく食って明日に備えるぞ!」
「はい!」
元気に返事を返すエストキラだった。
◇
「ふう。お腹いっぱい」
「それはよかった。じゃおやすみ。俺は家に帰るからな」
「はい。おやすみなさい」
ガントは、仕事場と住まいが別だった。なので、仕事場にエストキラを残し帰宅していった。
エストキラは、借りた毛布に包まりごろんと横になる。
”そういえば、どんなオプションを覚えたんだろう”
今までは、役に立たないと思っていたオプションだが、+50も付与出来れば効果はある。
*オプション
消費MP:1(マスター効果)
装備全般に有効
成功率:59%(マスター効果)
オプションが付いているモノは上書きになる。
*レベル8:素早さ+1/重さ-1/衝撃吸収+1/命中+1/回復+1/柔らかさ+1/硬さ+1/大きさ+1
次のレベルまで:6P/8000P
成功時4P、失敗時2P(マスター効果)
”うーん。回復ってどんな効果?”
*回復+1/このオプションがついているモノの状態を10秒に1回復させる。
発動条件:対象に触れながら『スキルカイフク』と発する。
「うわぁ。凄そうだけど、どういう事? 装備品の修復って事なのかな? それにこれ回復するまでずっと? 何度でも? だとしたら凄いけど……僕の装備じゃなぁ」
試したところで回復していっているのかわからないかと思うが、試したい気持ちが出てきた。
「うーん。強い装備でも目に見えて修復していかないとわからないよね。倉庫にある鑑定キットに見えるのあるかな? あ……あっても装備品がないからダメか」
”うーん、でも試したい。もし修復するなら中古品を買って装備すればすごく強くなるんじゃない。武器はいらないけど、身を護る装備はあってもいいよね”
お金を貯めなくてはいけないのはわかってはいるが、お金があると思うと使ってみたくなった。そもそも買い物など、ここにきて初めてしたのだ。見るだけではなく、買い物をもっとしたいと思うのだった。
◇
「では、今日も頼んだぞ」
「はい。任せて下さい」
次の日、一緒に倉庫に来たガントがまた顧客回りに出かけた。
”よし。ダメージ具合を見る虫眼鏡はないかな”
結局なかった。ここにある鑑定キットはどうやら魔道具用らしい。
”これ面白いかも”
最後に手に取った白い虫眼鏡越しに覗くと、魔法陣が見えた。
”うーん。魔法陣を扱えれば誰でも魔道具を作れるって言っていたよね。こうやって見れるんだから照らし合わせたらやれそうな気も……”
「よし! 200回叩いたら探しに行こう」
最初の決意はどこにいったのやら。どんどん違う方向に興味がむくエストキラは、魔法陣の解読の為にがんがん叩き、探しに街へ向かうのだった。
だが一般人側の通りには、それらしいのは売っていなかった。
”やっぱり貴族側の方のお店にいかないとだめかな? そっち側行った事ないけど大丈夫だろうか?”
不安になりながらも好奇心の方が勝ち、貴族側の店に足を踏み入れる。特段文句は言われなかったが、売っているモノの値段が、0一つ多かった。
”た、高いんだけど。うん? 魔法陣の基礎? これだ!”
だが買えなかった。銀貨30枚したのだ。しかし、今日給金を貰えば買えるとにんまりして倉庫へ戻ったのだった。
ガントが、引き取ってきた魔道具を雑に倉庫の山に加える。
「うん? なんか甘い匂いがしないか?」
「あ……」
オレンジジュースの香りだった。洗う事もできなかったので、そのままなのだ。
「えーと、お昼はオレンジジュースで……」
「お前は。それだけだと、体がもたないぞ。それ振り回すんだから」
エストキラが手にしたハンマーを指さし、ガントが言った。
「で、どれくらいになった」
虫眼鏡を持ってガントが覗く。
「おぉ、202か。凄いじゃないか。100ぐらいでへばると思ったが、思ったより根性あるな」
「あははは」
”たぶん重いままなら100も無理だった”
「今日はこれぐらいにして、夕飯にするか」
「わーい」
「その前に、銀貨20枚と銅貨200枚な」
「ありがとうございます!」
エストキラは、受け取ったお金をまじまじと見て、瞳をキラキラとさせる。
”凄い、一日でこんなに稼いじゃった”
「あのところで、変換された鉱石ってどうなってるんですか? 扉をあけてもないんですけど……」
もしかして、失敗しているのではないかとエストキラは思っていた。
「あぁ。反対側に鉱石を入れるケースがあってな、そこに自動的に入る仕組みだ。でないと、大量の鉱石を入れ物に移動させないといけないからな」
”確かに。あれは結構めんどくさかった”
「さあ、たらふく食って明日に備えるぞ!」
「はい!」
元気に返事を返すエストキラだった。
◇
「ふう。お腹いっぱい」
「それはよかった。じゃおやすみ。俺は家に帰るからな」
「はい。おやすみなさい」
ガントは、仕事場と住まいが別だった。なので、仕事場にエストキラを残し帰宅していった。
エストキラは、借りた毛布に包まりごろんと横になる。
”そういえば、どんなオプションを覚えたんだろう”
今までは、役に立たないと思っていたオプションだが、+50も付与出来れば効果はある。
*オプション
消費MP:1(マスター効果)
装備全般に有効
成功率:59%(マスター効果)
オプションが付いているモノは上書きになる。
*レベル8:素早さ+1/重さ-1/衝撃吸収+1/命中+1/回復+1/柔らかさ+1/硬さ+1/大きさ+1
次のレベルまで:6P/8000P
成功時4P、失敗時2P(マスター効果)
”うーん。回復ってどんな効果?”
*回復+1/このオプションがついているモノの状態を10秒に1回復させる。
発動条件:対象に触れながら『スキルカイフク』と発する。
「うわぁ。凄そうだけど、どういう事? 装備品の修復って事なのかな? それにこれ回復するまでずっと? 何度でも? だとしたら凄いけど……僕の装備じゃなぁ」
試したところで回復していっているのかわからないかと思うが、試したい気持ちが出てきた。
「うーん。強い装備でも目に見えて修復していかないとわからないよね。倉庫にある鑑定キットに見えるのあるかな? あ……あっても装備品がないからダメか」
”うーん、でも試したい。もし修復するなら中古品を買って装備すればすごく強くなるんじゃない。武器はいらないけど、身を護る装備はあってもいいよね”
お金を貯めなくてはいけないのはわかってはいるが、お金があると思うと使ってみたくなった。そもそも買い物など、ここにきて初めてしたのだ。見るだけではなく、買い物をもっとしたいと思うのだった。
◇
「では、今日も頼んだぞ」
「はい。任せて下さい」
次の日、一緒に倉庫に来たガントがまた顧客回りに出かけた。
”よし。ダメージ具合を見る虫眼鏡はないかな”
結局なかった。ここにある鑑定キットはどうやら魔道具用らしい。
”これ面白いかも”
最後に手に取った白い虫眼鏡越しに覗くと、魔法陣が見えた。
”うーん。魔法陣を扱えれば誰でも魔道具を作れるって言っていたよね。こうやって見れるんだから照らし合わせたらやれそうな気も……”
「よし! 200回叩いたら探しに行こう」
最初の決意はどこにいったのやら。どんどん違う方向に興味がむくエストキラは、魔法陣の解読の為にがんがん叩き、探しに街へ向かうのだった。
だが一般人側の通りには、それらしいのは売っていなかった。
”やっぱり貴族側の方のお店にいかないとだめかな? そっち側行った事ないけど大丈夫だろうか?”
不安になりながらも好奇心の方が勝ち、貴族側の店に足を踏み入れる。特段文句は言われなかったが、売っているモノの値段が、0一つ多かった。
”た、高いんだけど。うん? 魔法陣の基礎? これだ!”
だが買えなかった。銀貨30枚したのだ。しかし、今日給金を貰えば買えるとにんまりして倉庫へ戻ったのだった。
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
突然シーカーになったので冒険します〜駆け出し探索者の成長物語〜
平山和人
ファンタジー
スマートフォンやSNSが当たり前の現代社会に、ある日突然「ダンジョン」と呼ばれる異空間が出現してから30年が経過していた。
26歳のコンビニアルバイト、新城直人はある朝、目の前に「ステータス画面」が浮かび上がる。直人は、ダンジョンを攻略できる特殊能力者「探索者(シーカー)」に覚醒したのだ。
最寄り駅前に出現している小規模ダンジョンまで、愛用の自転車で向かう大地。初心者向けとは言え、実際の戦闘は命懸け。スマホアプリで探索者仲間とダンジョン情報を共有しながら、慎重に探索を進めていく。
レベルアップを重ね、新しいスキルを習得し、倒したモンスターから得た魔石を換金することで、少しずつではあるが確実に成長していく。やがて大地は、探索者として独り立ちしていくための第一歩を踏み出すのだった。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉
まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。
貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。
クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります
まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。
そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。
選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。
あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。
鈴木のハーレム生活が始まる!
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件
後藤蓮
ファンタジー
生まれてから12年間、東京にすんでいた如月零は中学に上がってすぐに、親の転勤で北海道の中高一貫高に学校に転入した。
転入してから直ぐにその学校でいじめられていた一人の女の子を助けた零は、次のいじめのターゲットにされ、やがて引きこもってしまう。
それから2年が過ぎ、零はいじめっ子に復讐をするため学校に行くことを決断する。久しぶりに家を出る決断をして家を出たまでは良かったが、学校にたどり着く前に零は突如謎の光に包まれてしまい気づいた時には森の中に転移していた。
これから零はどうなってしまうのか........。
お気に入り・感想等よろしくお願いします!!
異世界最強の賢者~二度目の転移で辺境の開拓始めました~
夢・風魔
ファンタジー
江藤賢志は高校生の時に、四人の友人らと共に異世界へと召喚された。
「魔王を倒して欲しい」というお決まりの展開で、彼のポジションは賢者。8年後には友人らと共に無事に魔王を討伐。
だが魔王が作り出した時空の扉を閉じるため、単身時空の裂け目へと入っていく。
時空の裂け目から脱出した彼は、異世界によく似た別の異世界に転移することに。
そうして二度目の異世界転移の先で、彼は第三の人生を開拓民として過ごす道を選ぶ。
全ての魔法を網羅した彼は、規格外の早さで村を発展させ──やがて……。
*小説家になろう、カクヨムでも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる