どうやら俺は、未来のキスで魔法をかけられたみたいです

すみ 小桜(sumitan)

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第6話

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 俺は、ベッツの横で体はベットの方を向いて座り、手をベットの上に乗せていた。
 つーっと、ディーの指が俺の背中をなぞる。

 「あ……」

 俺は咄嗟に、口を押えた。
 恥ずかしい。声が出た。

 「もう動かないでよ。魔法陣を描いている時は、動くと大変だから」

 何! まだ描いていなかったのか。じゃ今のはなんだ!

 「あれだね。ディーはもう少し筋肉付けた方がいいかもね」

 そう言いながら、またスーッと背中を指でなぞる。

 「だぁ! さっさとしろよ!」
 「わかったけど、絶対に動かないでよ」

 俺は頷く。
 またディーの指が俺の背中をなぞる。
 さっきと違ってビリビリと痛い!
 俺は、ギュッとシーツを握る。

 「ちょ、待って……」
 「動かないでよ?」
 「痛いんだけど!」
 「最初からそう言ったけど? 我慢できない?」
 「う……いや、でも痛い」

 ゆっくりと動く指。それ早く動いて、早く終わらせてほしい!

 「あ、あのさ。もう少し早く描けない?」
 「一番痛くないスピードなんだけど」

 そうなのか……。
 痛くても動いちゃいけないし、ただジッと耐えるしかない。

 「肩の力抜いたら? ゆっくり息を吐いて……」
 「無理。痛いから力入るんだって」
 「そう。じゃそれで頑張って」

 こうして、20分間俺は耐え続けた。
 はぁはぁと肩で息する俺をディーは覗き込む。

 「大丈夫? 俺も初めてだったからさぁ」
 「……うん」

 描いたディーより描かれた俺の方が体力消耗してるんだけど……。

 「少し休んだら?」
 「そうする」

 俺は、ベットに這い上がり横になった。

 「僕もする事ないし、寝ようかな?」

 そう言ってディーが布団に入って来た!
 ドキドキドキ。
 って、なんでこんなに緊張してるんだ俺!

 「そんなに怖がらなくても大丈夫だって」

 ディーはそう言って、上半身を起こし俺の顔を覗き込んだ。

 「もう痛い事はしないから」
 「変な言い方するな!」
 「変なって?」
 「え? あぁ……別に……」

 ディーもパタンと横になる。

 「明日からどうしようか?」

 ディーが呟くように言った。
 確かにどうしよう。
 兄さんも探さなきゃだし……。

 「あ、あれしたらどうかな? う、うらない? だっけ?」
 「俺、母さんの様に自分から見に行けないけど……」

 本来ならもう、そう言うのも出来るぐらいになっていてもおかしくないんだけど、俺にはどうやらそこまでの能力はないらしい。

 「困ったね。ふぁ……魔力使ったから眠くなった。おやすみ」
 「え? あぁ、お、おやすみ」

 チラッと盗み見れば、平然として寝ている。
 とにかく、お金を稼いで別々の部屋で寝るようにしないと、俺が眠れない!!
 スースーと規則正しい寝息を聞きつつ、俺も寝ようと目をつぶった。
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