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第2話
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最悪な予知を見た。
幼馴染のディーがキスを……じゃなくて、死ぬかもしれない予知だ。
俺の家系は、予知を持っている。と言っても女性だけ。なのに何故か、俺も持って生まれた。兄さんは、普通に予知がなかったのに。
予知は、放っておけば訪れるだろう未来。どこかで何かが変わらなければ、避けられない。
母さんに相談しなければ……。勿論、あの事は伏せておこう。
……そこまで見えたりしないよな? 重要なのは、兄さんが何かと戦っていた事だ。俺にはそれが何かわからなかった。
はぁ……。夢だったらよかったのに。
予知は、実際にあった様な感覚だ。夢とは違う。
唇にあの感触が蘇る――。
だぁ!!
俺、ファーストキスまだだろう? なんだよこれ!
俺は屈んで、頭を抱え込む。
「何やってるの?」
後ろから声が掛けられた。
この声は……ディーだ。
俺達は、今日、村を出る事になっていた。
一応儀式みたいなのがあって、母さんはその儀式の間にいる。だからそこへ向かっていた。
ギギギと音が鳴りそう感じに俺は振り向く。
ディーは、俺を見下ろしていた。
水色の柔らかい髪が風になびき、ジッと俺を見るサファイヤブルーの瞳が細められる。
「もしかして、お腹痛くなった?」
「あ、いやぁ……。ちょっと心臓が痛いかな?」
「緊張してるの?」
凄く驚いてディーは言う。
緊張してるというか、どうしたらいいかわからなくなっていた。けど、よく考えればディーは、俺を好きなだという事を俺が知っているとは、知らないから普通にすればいいんだ。うん!
「ふう。お前の顔を見たら治った」
「何それ……」
「あははは……いや、笑っている場合じゃなかったんだ」
ディーは、このままだと死ぬ。
こっちの方が重要だった。そう思うと、本当に心臓が痛くなってきた。
やっと儀式の間につく。
「あら、浮かない顔ね」
母さんが、僕を見て言った。
そりゃあんな予知を見ればね。
「昨日までは、ウキウキしていたのに。何かあった?」
「……予知を見た」
「なんだと!」
母さんと一緒に並ぶ村長が、驚いた顔をした。
浮かない顔なのだからいい予知でないのはわかっただろう。
「で? どんな内容なの?」
俺は、ディーに振り向く。
「……ディーが血だらけで、兄さんが何かと戦っている予知」
三人が、息をのんだ。
「僕が血だらけ?」
「私も見てみます」
母さんがそう言うと、村長は頷いた。
母さんぐらいになると、自分から予知を見にいけるらしい。
椅子に座り、母さんは目を閉じた。
シーンと静まり返った時間は、凄く長く感じられたけど10分程だ。母さんは、目を開けた。
「見えたわ。たぶんあれは、呼び出された魔物。ダルニールは、魔物ハンターになるようね」
「それって伝説の?」
俺が聞くと、母さんは頷いた。
魔物ハンターとは、その名の通り魔物を狩る者の事だ。
稀に召喚が失敗したり意図して呼びされた魔物は、特別な力がないと倒せない。その力を持った者が魔物ハンターだ。
幼馴染のディーがキスを……じゃなくて、死ぬかもしれない予知だ。
俺の家系は、予知を持っている。と言っても女性だけ。なのに何故か、俺も持って生まれた。兄さんは、普通に予知がなかったのに。
予知は、放っておけば訪れるだろう未来。どこかで何かが変わらなければ、避けられない。
母さんに相談しなければ……。勿論、あの事は伏せておこう。
……そこまで見えたりしないよな? 重要なのは、兄さんが何かと戦っていた事だ。俺にはそれが何かわからなかった。
はぁ……。夢だったらよかったのに。
予知は、実際にあった様な感覚だ。夢とは違う。
唇にあの感触が蘇る――。
だぁ!!
俺、ファーストキスまだだろう? なんだよこれ!
俺は屈んで、頭を抱え込む。
「何やってるの?」
後ろから声が掛けられた。
この声は……ディーだ。
俺達は、今日、村を出る事になっていた。
一応儀式みたいなのがあって、母さんはその儀式の間にいる。だからそこへ向かっていた。
ギギギと音が鳴りそう感じに俺は振り向く。
ディーは、俺を見下ろしていた。
水色の柔らかい髪が風になびき、ジッと俺を見るサファイヤブルーの瞳が細められる。
「もしかして、お腹痛くなった?」
「あ、いやぁ……。ちょっと心臓が痛いかな?」
「緊張してるの?」
凄く驚いてディーは言う。
緊張してるというか、どうしたらいいかわからなくなっていた。けど、よく考えればディーは、俺を好きなだという事を俺が知っているとは、知らないから普通にすればいいんだ。うん!
「ふう。お前の顔を見たら治った」
「何それ……」
「あははは……いや、笑っている場合じゃなかったんだ」
ディーは、このままだと死ぬ。
こっちの方が重要だった。そう思うと、本当に心臓が痛くなってきた。
やっと儀式の間につく。
「あら、浮かない顔ね」
母さんが、僕を見て言った。
そりゃあんな予知を見ればね。
「昨日までは、ウキウキしていたのに。何かあった?」
「……予知を見た」
「なんだと!」
母さんと一緒に並ぶ村長が、驚いた顔をした。
浮かない顔なのだからいい予知でないのはわかっただろう。
「で? どんな内容なの?」
俺は、ディーに振り向く。
「……ディーが血だらけで、兄さんが何かと戦っている予知」
三人が、息をのんだ。
「僕が血だらけ?」
「私も見てみます」
母さんがそう言うと、村長は頷いた。
母さんぐらいになると、自分から予知を見にいけるらしい。
椅子に座り、母さんは目を閉じた。
シーンと静まり返った時間は、凄く長く感じられたけど10分程だ。母さんは、目を開けた。
「見えたわ。たぶんあれは、呼び出された魔物。ダルニールは、魔物ハンターになるようね」
「それって伝説の?」
俺が聞くと、母さんは頷いた。
魔物ハンターとは、その名の通り魔物を狩る者の事だ。
稀に召喚が失敗したり意図して呼びされた魔物は、特別な力がないと倒せない。その力を持った者が魔物ハンターだ。
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