上 下
5 / 5

最終話(★)

しおりを挟む
 どうしたらいいのでしょうか?
 気が付けば卒業まじかです。
 結婚の日取りが決まってしまい、リヤルド様はおどおどしています。それはそうですよね。本当は、卒業後婚約破棄するつもりだったのですから。それが、結婚する所まで決まってしまって、今更婚約破棄できるわけがありません。
 彼の予定は、狂ってしまった。

 この二年間は楽しかった。
 リヤルド様は優しく傍に居てくれて。本当に嬉しそうに笑顔を向けてくれたのです。
 最悪、私が婚約破棄されるような事をすれば言いやすいだろうと思うもできないのです。だって私は、リヤルド様と結婚したいのですから!



 もう引き返せない。いやもう、彼女を振り向かせるしかなくなった。
 シラーヌ嬢と結婚してしまった。嬉しい。嬉しいけど気まずい。
 とりあえず一度自分口から伝えないと……今更だけど。

 「本当にすまない。約束を違えてしまって……」
 「……今更言われましても」

 で、ですよね。でも……。

 「ぼ、僕は、君を幸せにします!」
 「え? ありがとう」
 「い、言えなかったことがあります」
 「な、なんでしょうか?」
 「僕が愛しているのは、あなたです。シラーヌ」

 僕が見つめて言うと、ぱちくりとしている。
 凄く驚いている。



 彼は今、なんと言いました? 愛しているのは私!?

 「わ、私もリヤルド様を愛しています」

 そう返すと、リヤルド様は驚いた顔をしたと思ったらぎゅっと抱きしめてきたのです。

 「う、嘘じゃないですよね?」
 「嘘ではありません。ずっと好きでした」
 「……え!?」

 かなり驚かれてしまいましたけど、顔を見合わせて私たちは笑いあいました。
 お互い好きあっているのに気づかずに結婚までしてしまったのは、奇跡なのかもしれませんね。

 「婚約破棄してもいいなんて条件受け入れてごめんね」
 「ううん。私も変な条件だしてごめんなさい。そして結婚してくれてありがとう」
 「こちらこそ。もう一度言うよ。君を幸せにするよ」
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

【完結】大嫌いなあいつと結ばれるまでループし続けるなんてどんな地獄ですか?

恋愛
公爵令嬢ノエルには大嫌いな男がいる。ジュリオス王太子だ。彼の意地悪で傲慢なところがノエルは大嫌いだった。 ある夜、ジュリオス主催の舞踏会で鉢合わせる。 「踊ってやってもいいぞ?」 「は?誰が貴方と踊るものですか」 ノエルはさっさと家に帰って寝ると、また舞踏会当日の朝に戻っていた。 そしてまた舞踏会で言われる。 「踊ってやってもいいぞ?」 「だから貴方と踊らないって!!」 舞踏会から逃げようが隠れようが、必ず舞踏会の朝に戻ってしまう。 もしかして、ジュリオスと踊ったら舞踏会は終わるの? それだけは絶対に嫌!! ※ざまあなしです ※ハッピーエンドです ☆☆ 全5話で無事完結することができました! ありがとうございます!

【完結】巻き戻りを望みましたが、それでもあなたは遠い人

白雨 音
恋愛
14歳のリリアーヌは、淡い恋をしていた。相手は家同士付き合いのある、幼馴染みのレーニエ。 だが、その年、彼はリリアーヌを庇い酷い傷を負ってしまった。その所為で、二人の運命は狂い始める。 罪悪感に苛まれるリリアーヌは、時が戻れば良いと切に願うのだった。 そして、それは現実になったのだが…短編、全6話。 切ないですが、最後はハッピーエンドです☆《完結しました》

「君を愛す気はない」と宣言した伯爵が妻への片思いを拗らせるまで ~妻は黄金のお菓子が大好きな商人で、夫は清貧貴族です

朱音ゆうひ
恋愛
アルキメデス商会の会長の娘レジィナは、恩ある青年貴族ウィスベルが婚約破棄される現場に居合わせた。 ウィスベルは、親が借金をつくり自殺して、後を継いだばかり。薄幸の貴公子だ。 「私がお助けしましょう!」 レジィナは颯爽と助けに入り、結果、彼と契約結婚することになった。 別サイトにも投稿してます(https://ncode.syosetu.com/n0596ip/)

伯爵令嬢の苦悩

夕鈴
恋愛
伯爵令嬢ライラの婚約者の趣味は婚約破棄だった。 婚約破棄してほしいと願う婚約者を宥めることが面倒になった。10回目の申し出のときに了承することにした。ただ二人の中で婚約破棄の認識の違いがあった・・・。

勘違い

ざっく
恋愛
貴族の学校で働くノエル。時々授業も受けつつ楽しく過ごしていた。 ある日、男性が話しかけてきて……。

婚約者に好きな人ができたらしい(※ただし事実とは異なります)

彗星
恋愛
主人公ミアと、婚約者リアムとのすれ違いもの。学園の人気者であるリアムを、婚約者を持つミアは、公爵家のご令嬢であるマリーナに「彼は私のことが好きだ」と言われる。その言葉が引っかかったことで、リアムと婚約解消した方がいいのではないかと考え始める。しかし、リアムの気持ちは、ミアが考えることとは違うらしく…。

王太子に婚約破棄されたら、王に嫁ぐことになった

七瀬ゆゆ
恋愛
王宮で開催されている今宵の夜会は、この国の王太子であるアンデルセン・ヘリカルムと公爵令嬢であるシュワリナ・ルーデンベルグの結婚式の日取りが発表されるはずだった。 「シュワリナ!貴様との婚約を破棄させてもらう!!!」 「ごきげんよう、アンデルセン様。挨拶もなく、急に何のお話でしょう?」 「言葉通りの意味だ。常に傲慢な態度な貴様にはわからぬか?」 どうやら、挨拶もせずに不躾で教養がなってないようですわね。という嫌味は伝わらなかったようだ。傲慢な態度と婚約破棄の意味を理解できないことに、なんの繋がりがあるのかもわからない。 --- シュワリナが王太子に婚約破棄をされ、王様と結婚することになるまでのおはなし。 小説家になろうにも投稿しています。

最愛のために婚約破棄を望む令嬢は、最愛からの愛を知る

下菊みこと
恋愛
お互いにヤンデレが発覚するお話。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...