貧乏令嬢は下剋上を目指す

第七話

　「ほら、ごはんだ」

　夜のご飯も生肉の様です。
　皿に乗せたお肉をハニード殿下は、クロの前に置く。

　そうだわ。おもちゃ！

　「ハニード殿下、クロと遊ぶおもちゃが欲しいのですが」

　「おもちゃ？　どんなのだ？」

　「え？　えーと、木の枝を投げてとってくると聞いた事があるので、そういう感じので宜しいと思うのですが……」

　私自身、犬とこういう風に戯れるのが初めてなので、聞いた話しかわからない。

　「わかった。用意させる」

　「ありがとうございます」

　ご飯を食べ終わったクロは、床に座った私の膝の上に乗っかった。
　ブラッシングの時間です。
　今回は帰らずに、ハニード殿下はジッと私達を見ている。
　クロは気持ちよさそうです。

　「隣、いいか？」

　「はい。どうぞ」

　そう言うと、驚く事にハニード殿下も床に座った。
　その行動に周りも驚いている。

　「わ、私もブラッシングをしてみるかな？」

　やっぱりしたかったのね。

　「はい」

　ハニード殿下にブラシを渡す。

　「クロ、ハニード殿下かブラッシングをしてくださるそうよ」

　クロは私がそう言うと、チラッとハニード殿下を見るも私の膝の上から動こうとしない。

　「よい。このままブラッシングする」

　ハニード殿下は、私の膝の上にいるクロにブラッシングを始めた。
　クロは、大人しい。嫌ではないみたいね。

　「思ったより楽しいな」

　笑顔でハニード殿下は、ブラッシングをしている。
　素直にさせてくれて、嬉しいのかもしれない。
　よかったわ。これならクロもハニード殿下に懐くかも！
　ブラッシングを終えて、ハニード殿下は部屋を出て行った。

　そうだ。お掃除しなくちゃ。
　ここのお部屋のお掃除も私の仕事。
　ブラッシングの後は、モップで床のお掃除です。
　クロは、これが大好き。一緒になってついて回ります。

　本当にかわいいなぁ。
　ハニード殿下かも……お掃除は流石にしないわね。
　無事一日目が終わりそうです。