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第四話
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場所を移して、ハニード殿下と側近の男性と私の三人でお茶を飲む事になりました。
そうそう、クロは私の膝の上です。
ここでは、ハニード殿下は、ニッコリとしておりません。どちらかと言うと、ムッとしているご様子。
私と居るのが嫌ならば、何故招待したのですか?
断れないのがわかっているのに。
「お願いがあるのだが……」
そうハニード殿下が呟いた。しかも顔は、不服そうです。
「何でしょうか?」
「クロージュのお世話係をして頂けないだろうか?」
うん? クロのお世話?
それを頼むがそんなに不服なのでしょうか?
「私にですか?」
「クロージュは、本来、主人にしか懐かないはずなのだが、何故か私に懐かなくて困っていたところだったのです」
自分に懐かないのに、私にべったりなのが不服でしたのね。
これ受けても受けなくても、私はハニード殿下に恨まれますわね……。
だったら――。
「それは、お仕事という事でしょうか?」
「うん?」
私の質問に、二人は驚いた顔を見せた。言っている意味がわからないと言う顔です。
「お金を頂けるのならお受けしますという事です。招待状を送って来たのですから家の事は、ご存知なのですよね?」
「驚いたな。そんな交渉してこようとはな。いいだろう。ただし、仕事でというのなら住み込みで行って頂く」
「殿下!?」
ハニード殿下の条件に私も驚いたけど、隣に座る側近も驚いている。
でもこれは、受けない訳にはいきませんわね。
犬のお世話を住み込みでなんて、流石発想が王族ですわ!
「わかりました。お受けします。ですが、今お仕事をしている所がありますので、一日待って頂けますか?」
「いいだろう。ザン、後の事は任せた。クロージュ、おいで」
彼は、ザンさんと言うのですか。……あ、またハニード殿下の顔が険しく。
「クロ、明日の夜には行きますから先に待っていて下さい」
顔を上げたクロは、撫でていた手を舐めた。
わかってくれたみたいね。
立ち上がったクロを見て、何故か更にハニード殿下は顔を険しくされた。
そうそう、クロは私の膝の上です。
ここでは、ハニード殿下は、ニッコリとしておりません。どちらかと言うと、ムッとしているご様子。
私と居るのが嫌ならば、何故招待したのですか?
断れないのがわかっているのに。
「お願いがあるのだが……」
そうハニード殿下が呟いた。しかも顔は、不服そうです。
「何でしょうか?」
「クロージュのお世話係をして頂けないだろうか?」
うん? クロのお世話?
それを頼むがそんなに不服なのでしょうか?
「私にですか?」
「クロージュは、本来、主人にしか懐かないはずなのだが、何故か私に懐かなくて困っていたところだったのです」
自分に懐かないのに、私にべったりなのが不服でしたのね。
これ受けても受けなくても、私はハニード殿下に恨まれますわね……。
だったら――。
「それは、お仕事という事でしょうか?」
「うん?」
私の質問に、二人は驚いた顔を見せた。言っている意味がわからないと言う顔です。
「お金を頂けるのならお受けしますという事です。招待状を送って来たのですから家の事は、ご存知なのですよね?」
「驚いたな。そんな交渉してこようとはな。いいだろう。ただし、仕事でというのなら住み込みで行って頂く」
「殿下!?」
ハニード殿下の条件に私も驚いたけど、隣に座る側近も驚いている。
でもこれは、受けない訳にはいきませんわね。
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「わかりました。お受けします。ですが、今お仕事をしている所がありますので、一日待って頂けますか?」
「いいだろう。ザン、後の事は任せた。クロージュ、おいで」
彼は、ザンさんと言うのですか。……あ、またハニード殿下の顔が険しく。
「クロ、明日の夜には行きますから先に待っていて下さい」
顔を上げたクロは、撫でていた手を舐めた。
わかってくれたみたいね。
立ち上がったクロを見て、何故か更にハニード殿下は顔を険しくされた。
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