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第一話
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「悪いが私には、彼女がふさわしい」
昨日唐突に、婚約者のコックレイド様に言い渡された。
えぇ、婚約破棄されたのです。
あぁ、やはり貧乏がいけないのでしょうか?
お父様が人が良すぎるから……。
でも、きっと、そのうち、それなりの方が……。うん。高望みはしませんわ!
それまでの間、バイトに励みましょう。
こうして私は、いつも通り町娘として身分を隠しバイトをするのでした。
◇◇
「リナ。これを一番テーブルにお願い」
「はい」
私はリナと名乗り、魔物退治を生業とする冒険者達が集う酒場でお金を稼いでおります。
本当の名は、リナーラ。16歳。紺色の髪に瞳と特段特徴のない顔立ち。凄くこの場所に馴染んでいる自分に驚いている。
令嬢がこんな所で働いているなど誰も思わないでしょう。それに、知り合いに会う事もない!
でも、調べられていたんでしょうね。だから理由をつけて破棄された。
「ようリナ。今度デートしようぜ」
「私とのデートは、これかかるわよ」
冗談ぽく言われ、私も冗談で返す。人差し指と親指で輪を作り、お金が掛かると言うとニヤッとダイトはしました。
「それって、OKって合図だよな?」
「もう。そんな暇ありません!」
「え~。一回ぐらいいいじゃん」
何故か、ここではモテモテなんですが。
令嬢だと知ったらダイトも驚くでしょうね。
◇◇
さて今日も終わったわ。
朝方、自宅へと帰る。絶対に人に見られてはいけません。だって、一応朝帰りですもの!
ガザ。
ビクッ。
うん? 私は辺りを見渡した。
道を歩くと見つかる恐れがあるので、森を突っ切って帰っています。
と言っても、道が見える程度の場所ですけが。
誰もいませんわよね?
あ、おりましたわ。黒い犬が……。
一応首輪をしているから飼い犬ね。
そっとしておきましょう――って、怪我をしているのね。
もう一度辺りを見渡した。
誰もいません。
困りましたわ。このまま放置しておくこともできませんので、連れ帰る事にしました。
手当をしたら森に帰しましょう。
昨日唐突に、婚約者のコックレイド様に言い渡された。
えぇ、婚約破棄されたのです。
あぁ、やはり貧乏がいけないのでしょうか?
お父様が人が良すぎるから……。
でも、きっと、そのうち、それなりの方が……。うん。高望みはしませんわ!
それまでの間、バイトに励みましょう。
こうして私は、いつも通り町娘として身分を隠しバイトをするのでした。
◇◇
「リナ。これを一番テーブルにお願い」
「はい」
私はリナと名乗り、魔物退治を生業とする冒険者達が集う酒場でお金を稼いでおります。
本当の名は、リナーラ。16歳。紺色の髪に瞳と特段特徴のない顔立ち。凄くこの場所に馴染んでいる自分に驚いている。
令嬢がこんな所で働いているなど誰も思わないでしょう。それに、知り合いに会う事もない!
でも、調べられていたんでしょうね。だから理由をつけて破棄された。
「ようリナ。今度デートしようぜ」
「私とのデートは、これかかるわよ」
冗談ぽく言われ、私も冗談で返す。人差し指と親指で輪を作り、お金が掛かると言うとニヤッとダイトはしました。
「それって、OKって合図だよな?」
「もう。そんな暇ありません!」
「え~。一回ぐらいいいじゃん」
何故か、ここではモテモテなんですが。
令嬢だと知ったらダイトも驚くでしょうね。
◇◇
さて今日も終わったわ。
朝方、自宅へと帰る。絶対に人に見られてはいけません。だって、一応朝帰りですもの!
ガザ。
ビクッ。
うん? 私は辺りを見渡した。
道を歩くと見つかる恐れがあるので、森を突っ切って帰っています。
と言っても、道が見える程度の場所ですけが。
誰もいませんわよね?
あ、おりましたわ。黒い犬が……。
一応首輪をしているから飼い犬ね。
そっとしておきましょう――って、怪我をしているのね。
もう一度辺りを見渡した。
誰もいません。
困りましたわ。このまま放置しておくこともできませんので、連れ帰る事にしました。
手当をしたら森に帰しましょう。
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