23 / 84
023
しおりを挟む
「今日から一緒にクエストをするメンバーだ」
「ミードだ。宜しく」
「はい。ラシルです。宜しくお願いします」
やっと念願のギルドメンバーが入った。
今日は、Eランクのクエストだけど、魔獣討伐と採取を同時だ。前に採取した事がある三日月の実。
「では、行こう」
「あの、もう1人の人は?」
ミードさんがアイリさんの事を尋ねると、トムが僕をチラッと見た。余計な事を言うなって事だろうか。
「ケガをしたので、しばらくクエストには参加できない」
「へえ。そうなんですね」
ミードさんが、濃い緑色の瞳を細めてなぜか僕を睨んで来た。
まさか、僕のせいだと思ってる? トムはそんな事は言ってないじゃないか。
戦えないからって素直に言えば僕は睨まれる事ないんだけど、まあ彼女の事がきっかけで、前のギルドを抜けたんだし言いづらいのかな。
でもフォローはして欲しいよ。
「たしかミードは、風スキルで攻撃だったよな」
「はい。だいぶ当たるようになりました」
当たるように?
タイルさんやメーンさんは、普通に当てていたけど大変なものなのかな?
いや動く的だから大変か。
「あの、風って一番使いやすいスキルなんですか? 前のギルドでも扱っている人がいて……」
ギロリっとミードさんに睨まれた。
「まあまあ」
ポンとトムが、彼の肩に手を乗せる。
「1番外しても害がないスキルだ。水や火だと外したら、そこに攻撃を当てるだけなく、燃やしてしまったり水浸しにしてしまうからな。けど風なら切るだけだ。どちらにしても、外せばそこは傷つく。少し酷くなるだけだからな」
なるほど。言われればそうかもしれない。
「シルバーのくせに、何も知らないのかよ。それとも嫌味か」
ボソッと、ミードさんの呟いた言葉が耳に届いた。
ミードさんが睨んで来たのは、僕が彼をバカにしたと勘違いしたからか。
あまりミードさんの前では、質問をしないほうがいいかもしれない。
疑問に思った事は、後でトムに聞こう。
◇
「ミード。来た。いくぞ」
「はい」
もう少しで採取の場所という所で魔獣と遭遇した。
魔獣は2体で、2人が魔獣に手を突き出す。
「ダブルアタック」
「風の刃」
「あっ」
タイルさんやメーンさんの時より近いのに、ミードさんが放った風の刃が逸れた。
やっぱり攻撃って難しいんだ。
「大丈夫だ。ここら辺の魔獣ならまだナイフで何とかなる」
魔獣は、僕達を目指し一直線で向かって来る。
トムが一歩前に出た。僕が持っているより大きなナイフで、魔獣をかわしながら切りつけた。
体をひねり器用に魔獣を避けている。
魔獣が倒され霧の様に姿を消し、魔石がポトンと地面に落ちた。
「魔石をチェック」
トムの足元と、少し先で魔石が光る。
そうだ。取りに行かなくちゃ。僕の仕事だ。
トムの足元の魔石を拾い、魔石用巾着に入れる。
魔石は、邪霧がしみ込んでいるので森の中では、専用の袋に入れるらしい。
トムから預かった。
「向こうも取りに行っても?」
「ああ。行こう」
あまり離れる事ができないので、トムに聞くと頷いた。
チェックのスキルで光らせたものは、5分程で光は消えてしまう。消える前に見つけないと、もう一度スキルを使ってもらう事になるから、小走りになる。
もう1つの魔石を拾い、袋へと入れた。
よかった。消える前に拾えた。
「ちょうど採取場所だ。ラシルは俺達の間に居てくれ」
「はい」
こうして、採取して移動していく。
魔獣は3体なので、出合わなければ探す事になるけど、まずは採取優先だ。
魔獣は、Eランククエストの場合、見つからない事もあるらしい。
それは、Dランク以上のクエストの際に出合ったら倒してしまうからだと言う。
「よし、一旦休憩にしよう」
トムはそう言うと、近場の大きな岩に腰かけた。
その岩に、ミードさんも腰かける。
詰めれば座れそうだけど、僕は木にもたれかかって地べたに座った。
はぁ。何だかミードさんには最初から嫌われているみたいだ。
僕には知り合いがいないから、噂を耳にした事がないけど、トムの言う通りみたい。
「ラシル。隣いいか」
「あ、どうぞ」
トムは、すとんと僕の隣に座った。
「やりづらいとは思うけど、一緒にやっていれば噂と違うとわかってくれるはずだ。それまでは、クエスト後は別々に報酬を渡すよ。クエスト後も一緒に食事とか嫌だろう」
「ありがとう。僕って、そんなに嫌われているんだね」
「まあ、シルバーだからな。妬みだよ。靴さえ買えば、近くに来た魔獣はキックで倒せるから。まあ、そんな場面があったらヤバいのだけどな」
確かに。普通は、近づく前にスキルで倒す。
トムは、それなりの装備だけど、ミードさんは僕とさほど変わらない。靴は、錬金術で作った装備品だと思う。
僕だけ、靴がよれよれなんだよね。
◇
「これが今回の分、5,200ハカリだ」
「ありがとう」
採取を終えて、最後の1体を探して歩いたけど見つからず、魔獣は2体だけとなった。
魔獣討伐は、討伐依頼数に達していなくても、1体でも倒していれば成功とカウントされる。だから依頼数はあくまでも目安らしい。
ただし、倒したら必ず魔石を回収する事がルール。
また、依頼数に達せば、報酬額の一割が上乗せされる。
3体だと30,000ハカリだったから3,000ハカリ上乗せになるはずだった。
採取も一緒にしたけど今回は魔獣が2体だし、1人増えたからその分報酬が減った。
だからいつもより報酬が少ない。
「もう1体魔獣を倒せていたらもう少し多かったのだが、今日はいなかった」
「うん。仕方ないよね」
「彼の命中率がもう少し上がらないと、Dランクはきついだろう。大変だろうけど、明日も頼むわ。じゃな」
僕が借りている部屋からトムが出て行った。
このままだと、靴が買えない。防具の中で一番安いのが靴だ。けど安価でも、150,000ハカリだった。
稀に僕が買ったナイフの様に安いのが売っている事がある。
初めて作った装備品だと格安だと言う。
靴が防具の中で一番安いのは、劣化が激しいとか。モノによっては、一年もたないと聞いた。
だったら僕的には、靴以外の防具が先に欲しいところだけど、ミードさんも靴から先に買ってるみたいだから、そうした方がいいんだろうなぁ。
「ミードだ。宜しく」
「はい。ラシルです。宜しくお願いします」
やっと念願のギルドメンバーが入った。
今日は、Eランクのクエストだけど、魔獣討伐と採取を同時だ。前に採取した事がある三日月の実。
「では、行こう」
「あの、もう1人の人は?」
ミードさんがアイリさんの事を尋ねると、トムが僕をチラッと見た。余計な事を言うなって事だろうか。
「ケガをしたので、しばらくクエストには参加できない」
「へえ。そうなんですね」
ミードさんが、濃い緑色の瞳を細めてなぜか僕を睨んで来た。
まさか、僕のせいだと思ってる? トムはそんな事は言ってないじゃないか。
戦えないからって素直に言えば僕は睨まれる事ないんだけど、まあ彼女の事がきっかけで、前のギルドを抜けたんだし言いづらいのかな。
でもフォローはして欲しいよ。
「たしかミードは、風スキルで攻撃だったよな」
「はい。だいぶ当たるようになりました」
当たるように?
タイルさんやメーンさんは、普通に当てていたけど大変なものなのかな?
いや動く的だから大変か。
「あの、風って一番使いやすいスキルなんですか? 前のギルドでも扱っている人がいて……」
ギロリっとミードさんに睨まれた。
「まあまあ」
ポンとトムが、彼の肩に手を乗せる。
「1番外しても害がないスキルだ。水や火だと外したら、そこに攻撃を当てるだけなく、燃やしてしまったり水浸しにしてしまうからな。けど風なら切るだけだ。どちらにしても、外せばそこは傷つく。少し酷くなるだけだからな」
なるほど。言われればそうかもしれない。
「シルバーのくせに、何も知らないのかよ。それとも嫌味か」
ボソッと、ミードさんの呟いた言葉が耳に届いた。
ミードさんが睨んで来たのは、僕が彼をバカにしたと勘違いしたからか。
あまりミードさんの前では、質問をしないほうがいいかもしれない。
疑問に思った事は、後でトムに聞こう。
◇
「ミード。来た。いくぞ」
「はい」
もう少しで採取の場所という所で魔獣と遭遇した。
魔獣は2体で、2人が魔獣に手を突き出す。
「ダブルアタック」
「風の刃」
「あっ」
タイルさんやメーンさんの時より近いのに、ミードさんが放った風の刃が逸れた。
やっぱり攻撃って難しいんだ。
「大丈夫だ。ここら辺の魔獣ならまだナイフで何とかなる」
魔獣は、僕達を目指し一直線で向かって来る。
トムが一歩前に出た。僕が持っているより大きなナイフで、魔獣をかわしながら切りつけた。
体をひねり器用に魔獣を避けている。
魔獣が倒され霧の様に姿を消し、魔石がポトンと地面に落ちた。
「魔石をチェック」
トムの足元と、少し先で魔石が光る。
そうだ。取りに行かなくちゃ。僕の仕事だ。
トムの足元の魔石を拾い、魔石用巾着に入れる。
魔石は、邪霧がしみ込んでいるので森の中では、専用の袋に入れるらしい。
トムから預かった。
「向こうも取りに行っても?」
「ああ。行こう」
あまり離れる事ができないので、トムに聞くと頷いた。
チェックのスキルで光らせたものは、5分程で光は消えてしまう。消える前に見つけないと、もう一度スキルを使ってもらう事になるから、小走りになる。
もう1つの魔石を拾い、袋へと入れた。
よかった。消える前に拾えた。
「ちょうど採取場所だ。ラシルは俺達の間に居てくれ」
「はい」
こうして、採取して移動していく。
魔獣は3体なので、出合わなければ探す事になるけど、まずは採取優先だ。
魔獣は、Eランククエストの場合、見つからない事もあるらしい。
それは、Dランク以上のクエストの際に出合ったら倒してしまうからだと言う。
「よし、一旦休憩にしよう」
トムはそう言うと、近場の大きな岩に腰かけた。
その岩に、ミードさんも腰かける。
詰めれば座れそうだけど、僕は木にもたれかかって地べたに座った。
はぁ。何だかミードさんには最初から嫌われているみたいだ。
僕には知り合いがいないから、噂を耳にした事がないけど、トムの言う通りみたい。
「ラシル。隣いいか」
「あ、どうぞ」
トムは、すとんと僕の隣に座った。
「やりづらいとは思うけど、一緒にやっていれば噂と違うとわかってくれるはずだ。それまでは、クエスト後は別々に報酬を渡すよ。クエスト後も一緒に食事とか嫌だろう」
「ありがとう。僕って、そんなに嫌われているんだね」
「まあ、シルバーだからな。妬みだよ。靴さえ買えば、近くに来た魔獣はキックで倒せるから。まあ、そんな場面があったらヤバいのだけどな」
確かに。普通は、近づく前にスキルで倒す。
トムは、それなりの装備だけど、ミードさんは僕とさほど変わらない。靴は、錬金術で作った装備品だと思う。
僕だけ、靴がよれよれなんだよね。
◇
「これが今回の分、5,200ハカリだ」
「ありがとう」
採取を終えて、最後の1体を探して歩いたけど見つからず、魔獣は2体だけとなった。
魔獣討伐は、討伐依頼数に達していなくても、1体でも倒していれば成功とカウントされる。だから依頼数はあくまでも目安らしい。
ただし、倒したら必ず魔石を回収する事がルール。
また、依頼数に達せば、報酬額の一割が上乗せされる。
3体だと30,000ハカリだったから3,000ハカリ上乗せになるはずだった。
採取も一緒にしたけど今回は魔獣が2体だし、1人増えたからその分報酬が減った。
だからいつもより報酬が少ない。
「もう1体魔獣を倒せていたらもう少し多かったのだが、今日はいなかった」
「うん。仕方ないよね」
「彼の命中率がもう少し上がらないと、Dランクはきついだろう。大変だろうけど、明日も頼むわ。じゃな」
僕が借りている部屋からトムが出て行った。
このままだと、靴が買えない。防具の中で一番安いのが靴だ。けど安価でも、150,000ハカリだった。
稀に僕が買ったナイフの様に安いのが売っている事がある。
初めて作った装備品だと格安だと言う。
靴が防具の中で一番安いのは、劣化が激しいとか。モノによっては、一年もたないと聞いた。
だったら僕的には、靴以外の防具が先に欲しいところだけど、ミードさんも靴から先に買ってるみたいだから、そうした方がいいんだろうなぁ。
112
あなたにおすすめの小説
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる