83 / 83
第83話
しおりを挟む
「ゲームを知らないのに、まるで知っていたかのようにわかっちゃうのね。驚いたわ。あ、もしかして、あのハーモニカも?」
「ハーモニカ?」
フロール嬢の言葉に私は首を傾げた。突然話が飛んだんだけど。
「あぁ、あれ。学園舞踏会はそれこそゲームのイベントに適しているだろう。突然楽団にしようとなって、イルデフォンソ殿下があれだったし。たぶん彼のイベントなんだろうなと思ったわけ。マルシアール殿下はフルートだったよな。だったらベビット殿下は? と調べたらハーモニカときたもんだ。だから俺が代わりにハーモニカを披露してやったってわけさ」
「やっぱり、私への当てつけだったのね」
「まあな。苦労したのは、ハーモニカの手配だったけどな」
そっか。見た事ないし、外国から輸入したって事よね。やる事が凄いわね。流石侯爵令息。
「あの時は、ファビア嬢がゲームの内容を知っていて、あなたに教えたと思っていたわ。推理して仕返しだなんてあり得ない。お手上げよ」
「まあ、俺にかかれば、こんなもんさ」
レオンス様はドヤ顔。
全く。負けず嫌いなんだから。
こうして一件落着となった。
◇
次の日に、馬車の事故やガムン公爵の噂が広まっていた。
まあノーモノミヤ公爵が宰相代理をしているのだからすぐに知れるわね。
数日後には、色んな憶測が飛び交っていた。
驚いたのは、ベビット殿下暗殺疑惑!
暗殺されそうになったベビット殿下が、密かに帰国した。その後の調べで、ガムン公爵が犯人だったとわかったのではないかと言うのよ。ビックリよ。
そのほかに、横領疑惑、病気など。色々噂されている。
私達のクラスでは、一切触れられていないけどね。
そのうち、馬車の事故はガムン公爵の馬車だったとなり、生死を彷徨っている。などと噂が流れていた。
あの日、ルイス様が連行されていったけど、次の日からちゃんと学園に通っている事からあまり噂にならなかった。
謹慎にすると、ガムン公爵との関連性を疑われるだろうという事らしいけど。
ナタリオ様は、レオンス様に言われた通り私達に普通に接していた。
フロール嬢は、陛下に許可を得て魔法学園を目指す事に。
そして驚く事に彼女は、アマート様を魔法学園に誘っていたのよ。
アマート様も両親に許可を得て、勉強を始めてみたい。
まさか、誘われて魔法学園を目指すとは思わなかったわ。だって彼は、無属性なのよ。普通、声を掛けられたからって目指さないわよ。
レオンス様は、驚いていた。
でも安堵もしていた。自分が魔法学園に行った事により、彼の人生を変えてしまったからなと。
そして、目まぐるしい一年はあっという間にすぎ、私達は二年生になった。
生徒会長となったレオンス様は、忙しくて嘆いている。
ごめん、私は手を抜いた。だって、一位になったら生徒会長でしょう? その役目は、イルデフォンソ殿下に譲ります。
ルイス様の姉のクリステル嬢は、ご結婚して嫁いだそうで、ルイス様が家名を継ぐ事に落ち着いた様子。よかったわ。
ガムン公爵は隠居し、宰相はそのままノーモノミヤ公爵が行う事になった。
義妹のマリーは、男爵令息との婚約が決まったとか。
季節は巡り、一足早くレオンス様は貴族学園を卒業。
次の年に無事に私も卒業した。まあ絶対に卒業できるのだけどね。
そして、フロール嬢とアマート様が一緒に魔法学園に合格し、貴族学園卒業に入学した生徒として、また婚約者だという事も注目の的になった。
後で聞いた話だけど、フロール嬢はアマート様を口説き落としていたのよ。
彼の秘密を話していた。その上で、一緒に魔法学園に行こうと誘い、どちらかが合格したら婚約しましょうと持ち掛けたらしい。
もちろん卒業しないと意味はないけどね。
どうやらアマート様は、フロール嬢に初めてあった時に一目ぼれしていたらしく、一緒に魔法学園に行きたいと猛勉強。
自分が彼女を幸せにする! とレオンス様に話したらしい。
二人が魔法学園に通う中、私達は結婚した。
めでたく私は、公爵夫人となったのだ。
けど、ケーキを食べまくりとはいかなかった。
のほほんとは過ごせず、研究する暇もない。お茶会だなんだと、色んなお付き合いが……。
おかしい。こんなはずではなかったぁ!
そして、男の子を出産。
お義母様達は、大喜び。跡取りだものね。
よかったわ。一人目が男の子で。
フロール嬢とアマート様も揃って魔法学園を卒業し結婚。
ナタリオ様も無事、家名を継いだと手紙を貰ったレオンス様は、いつ貸しを返してもらおうかなっと嬉しそうにしていた。
◇
「綺麗な夜空だな」
「そうね。でもこんな所にいたのが見つかったら騒ぎにならない?」
「新月だから大丈夫だろう」
ケロッとして言うレオンス様。
私達は、長年の夢? 自身が浮かぶを習得した。
つまり今私達がいる場所は、夜空。
誰かが見上げれば、何かいる! と思われるかもしれない。
「ファビア」
「うん? 何?」
「結婚してくれて、ありがとうな」
「へ?」
「幸せだぁ」
「もう。唐突なんだから。私もだよ」
「あなた達! そんなところで危ないから降りて来なさい! それとケーキよ!」
「はい! お義母様」
「おい! 俺よりケーキかよ」
私は、こくんと頷くと地上へと降り立つ。
「そりゃないだろう」
文句を言いつつレオンス様も降りて来た。
本当は、ケーキよりもレオンス様が大好きよ。
完
「ハーモニカ?」
フロール嬢の言葉に私は首を傾げた。突然話が飛んだんだけど。
「あぁ、あれ。学園舞踏会はそれこそゲームのイベントに適しているだろう。突然楽団にしようとなって、イルデフォンソ殿下があれだったし。たぶん彼のイベントなんだろうなと思ったわけ。マルシアール殿下はフルートだったよな。だったらベビット殿下は? と調べたらハーモニカときたもんだ。だから俺が代わりにハーモニカを披露してやったってわけさ」
「やっぱり、私への当てつけだったのね」
「まあな。苦労したのは、ハーモニカの手配だったけどな」
そっか。見た事ないし、外国から輸入したって事よね。やる事が凄いわね。流石侯爵令息。
「あの時は、ファビア嬢がゲームの内容を知っていて、あなたに教えたと思っていたわ。推理して仕返しだなんてあり得ない。お手上げよ」
「まあ、俺にかかれば、こんなもんさ」
レオンス様はドヤ顔。
全く。負けず嫌いなんだから。
こうして一件落着となった。
◇
次の日に、馬車の事故やガムン公爵の噂が広まっていた。
まあノーモノミヤ公爵が宰相代理をしているのだからすぐに知れるわね。
数日後には、色んな憶測が飛び交っていた。
驚いたのは、ベビット殿下暗殺疑惑!
暗殺されそうになったベビット殿下が、密かに帰国した。その後の調べで、ガムン公爵が犯人だったとわかったのではないかと言うのよ。ビックリよ。
そのほかに、横領疑惑、病気など。色々噂されている。
私達のクラスでは、一切触れられていないけどね。
そのうち、馬車の事故はガムン公爵の馬車だったとなり、生死を彷徨っている。などと噂が流れていた。
あの日、ルイス様が連行されていったけど、次の日からちゃんと学園に通っている事からあまり噂にならなかった。
謹慎にすると、ガムン公爵との関連性を疑われるだろうという事らしいけど。
ナタリオ様は、レオンス様に言われた通り私達に普通に接していた。
フロール嬢は、陛下に許可を得て魔法学園を目指す事に。
そして驚く事に彼女は、アマート様を魔法学園に誘っていたのよ。
アマート様も両親に許可を得て、勉強を始めてみたい。
まさか、誘われて魔法学園を目指すとは思わなかったわ。だって彼は、無属性なのよ。普通、声を掛けられたからって目指さないわよ。
レオンス様は、驚いていた。
でも安堵もしていた。自分が魔法学園に行った事により、彼の人生を変えてしまったからなと。
そして、目まぐるしい一年はあっという間にすぎ、私達は二年生になった。
生徒会長となったレオンス様は、忙しくて嘆いている。
ごめん、私は手を抜いた。だって、一位になったら生徒会長でしょう? その役目は、イルデフォンソ殿下に譲ります。
ルイス様の姉のクリステル嬢は、ご結婚して嫁いだそうで、ルイス様が家名を継ぐ事に落ち着いた様子。よかったわ。
ガムン公爵は隠居し、宰相はそのままノーモノミヤ公爵が行う事になった。
義妹のマリーは、男爵令息との婚約が決まったとか。
季節は巡り、一足早くレオンス様は貴族学園を卒業。
次の年に無事に私も卒業した。まあ絶対に卒業できるのだけどね。
そして、フロール嬢とアマート様が一緒に魔法学園に合格し、貴族学園卒業に入学した生徒として、また婚約者だという事も注目の的になった。
後で聞いた話だけど、フロール嬢はアマート様を口説き落としていたのよ。
彼の秘密を話していた。その上で、一緒に魔法学園に行こうと誘い、どちらかが合格したら婚約しましょうと持ち掛けたらしい。
もちろん卒業しないと意味はないけどね。
どうやらアマート様は、フロール嬢に初めてあった時に一目ぼれしていたらしく、一緒に魔法学園に行きたいと猛勉強。
自分が彼女を幸せにする! とレオンス様に話したらしい。
二人が魔法学園に通う中、私達は結婚した。
めでたく私は、公爵夫人となったのだ。
けど、ケーキを食べまくりとはいかなかった。
のほほんとは過ごせず、研究する暇もない。お茶会だなんだと、色んなお付き合いが……。
おかしい。こんなはずではなかったぁ!
そして、男の子を出産。
お義母様達は、大喜び。跡取りだものね。
よかったわ。一人目が男の子で。
フロール嬢とアマート様も揃って魔法学園を卒業し結婚。
ナタリオ様も無事、家名を継いだと手紙を貰ったレオンス様は、いつ貸しを返してもらおうかなっと嬉しそうにしていた。
◇
「綺麗な夜空だな」
「そうね。でもこんな所にいたのが見つかったら騒ぎにならない?」
「新月だから大丈夫だろう」
ケロッとして言うレオンス様。
私達は、長年の夢? 自身が浮かぶを習得した。
つまり今私達がいる場所は、夜空。
誰かが見上げれば、何かいる! と思われるかもしれない。
「ファビア」
「うん? 何?」
「結婚してくれて、ありがとうな」
「へ?」
「幸せだぁ」
「もう。唐突なんだから。私もだよ」
「あなた達! そんなところで危ないから降りて来なさい! それとケーキよ!」
「はい! お義母様」
「おい! 俺よりケーキかよ」
私は、こくんと頷くと地上へと降り立つ。
「そりゃないだろう」
文句を言いつつレオンス様も降りて来た。
本当は、ケーキよりもレオンス様が大好きよ。
完
154
お気に入りに追加
601
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説

【完結】護衛騎士と令嬢の恋物語は美しい・・・傍から見ている分には
月白ヤトヒコ
恋愛
没落寸前の伯爵令嬢が、成金商人に金で買われるように望まぬ婚約させられ、悲嘆に暮れていたとき、商人が雇った護衛騎士と許されない恋に落ちた。
令嬢は屋敷のみんなに応援され、ある日恋する護衛騎士がさる高位貴族の息子だと判明した。
愛で結ばれた令嬢と護衛騎士は、商人に婚約を解消してほしいと告げ――――
婚約は解消となった。
物語のような展開。されど、物語のようにめでたしめでたしとはならなかった話。
視点は、成金の商人視点。
設定はふわっと。

夫から「余計なことをするな」と言われたので、後は自力で頑張ってください
今川幸乃
恋愛
アスカム公爵家の跡継ぎ、ベンの元に嫁入りしたアンナは、アスカム公爵から「息子を助けてやって欲しい」と頼まれていた。幼いころから政務についての教育を受けていたアンナはベンの手が回らないことや失敗をサポートするために様々な手助けを行っていた。
しかしベンは自分が何か失敗するたびにそれをアンナのせいだと思い込み、ついに「余計なことをするな」とアンナに宣言する。
ベンは周りの人がアンナばかりを称賛することにコンプレックスを抱えており、だんだん彼女を疎ましく思ってきていた。そしてアンナと違って何もしないクラリスという令嬢を愛するようになっていく。
しかしこれまでアンナがしていたことが全部ベンに回ってくると、次第にベンは首が回らなくなってくる。
最初は「これは何かの間違えだ」と思うベンだったが、次第にアンナのありがたみに気づき始めるのだった。
一方のアンナは空いた時間を楽しんでいたが、そこである出会いをする。

【完結】許婚の子爵令息から婚約破棄を宣言されましたが、それを知った公爵家の幼馴染から溺愛されるようになりました
八重
恋愛
「ソフィ・ルヴェリエ! 貴様とは婚約破棄する!」
子爵令息エミール・エストレが言うには、侯爵令嬢から好意を抱かれており、男としてそれに応えねばならないというのだ。
失意のどん底に突き落とされたソフィ。
しかし、婚約破棄をきっかけに幼馴染の公爵令息ジル・ルノアールから溺愛されることに!
一方、エミールの両親はソフィとの婚約破棄を知って大激怒。
エミールの両親の命令で『好意の証拠』を探すが、侯爵令嬢からの好意は彼の勘違いだった。
なんとかして侯爵令嬢を口説くが、婚約者のいる彼女がなびくはずもなく……。
焦ったエミールはソフィに復縁を求めるが、時すでに遅し──

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

婚約破棄ですか? 優しい幼馴染がいるので構いませんよ
マルローネ
恋愛
伯爵令嬢のアリスは婚約者のグリンデル侯爵から婚約破棄を言い渡された。
悲しみに暮れるはずの彼女だったが問題はないようだ。
アリスには優しい幼馴染である、大公殿下がいたのだから。

今、私は幸せなの。ほっといて
青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。
卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。
そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。
「今、私は幸せなの。ほっといて」
小説家になろうにも投稿しています。
【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい
春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。
そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか?
婚約者が不貞をしたのは私のせいで、
婚約破棄を命じられたのも私のせいですって?
うふふ。面白いことを仰いますわね。
※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。
※カクヨムにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
今日は何のケーキを食べるのかな?と思いながら読んで、釣られて食べたくなるので買いには行けない状況にしてから読み始めます、でも今日は食べなかった!明日はどんなケーキかな🍰🎂🧁
感想ありがとうございます。ケーキって美味しいですよね。
魔法博士になれるのかも気になりますが、恋愛カテゴリーなので誰とくっつくのかも楽しみにしてます
感想ありがとうございます